令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-33

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問題

Ⅲ―33 労働安全衛生マネジメントシステムにおけるPDCAサイクルに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 事業者あるいは経営トップによる安全衛生方針の表明は、Pに該当する。

② 危険性又は有害性等の調査の実施は、Cに該当する。

③ 労働災害発生原因の調査等は、Pに該当する。

④ システム監査の実施は、Aに該当する。

⑤ 安全衛生計画の実施等は、Dに対応する。

解答

正解は 5 になります。

問題の概要と背景

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、職場の安全と健康を管理し、労働災害を防止するために導入される重要な仕組みです。
このシステムの運用で欠かせない基本が「PDCAサイクル」です。
PDCAとは「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)」の4段階循環のことで、継続的に安全衛生水準を高めていくための枠組みです。
技術士試験でもPDCAサイクルの理解と、各段階で実施される主な活動への知識が問われます。


PDCAサイクルとは

PDCAサイクルの4つの段階

  • P(Plan) – 計画
    目的や方針の設定、達成すべき目標や具体的な取り組み方法を定める。
  • D(Do) – 実行
    計画に基づいて実際の業務や活動を行う段階。
  • C(Check) – 評価
    実行した活動の成果や問題点を、データや調査で確認・評価する。
  • A(Act) – 改善
    評価した結果をもとに、課題への対策や仕組みの見直しを行い、次の計画につなげる。

各選択肢の詳細解説

① 事業者あるいは経営トップによる安全衛生方針の表明は、Pに該当する。

  • 解説
    「安全衛生方針の表明」は、組織のリーダーが職場の安全衛生に対する基本的な考え方や指針を示すものです。
    これは、「どんな方向で安全管理を進めるのか」を明確にする活動であり、PDCAで言えば「Plan(計画)」の最初に行う重要なステップとなります。
    したがって、本選択肢の内容は正しい流れに沿っています。

② 危険性又は有害性等の調査の実施は、Cに該当する。

  • 解説
    「危険性又は有害性の調査」は、作業現場にどのようなリスクがあるかを把握するために行うものです。
    本来、これは計画を作るうえでの基礎資料となるものなので、「Plan(計画)」段階で実施されるべきです。
    一方、Check(評価)は実際に計画を実行した結果を調べる段階なので、この選択肢は適切ではありません。

③ 労働災害発生原因の調査等は、Pに該当する。

  • 解説
    「労働災害発生原因の調査」は、事故が起きた際に何が原因だったのかを詳しく調べる活動です。
    これはPDCAでは「Check(評価)」に当たります。
    事故発生後、実行した安全対策や手順が適切だったかを改めて評価するための活動です。
    P(計画)段階とは異なりますので、この選択肢も誤りです。

④ システム監査の実施は、Aに該当する。

  • 解説
    「システム監査」は、安全衛生マネジメントシステムが計画どおり機能しているか、改善すべき点はないかを専門的にチェックする活動です。
    これは「Check(評価)」の中でも高度な評価手法ですが、PDCAの「A(改善)」は、評価結果を受けて具体的な改善策を実施する段階です。
    したがって、「監査の実施」は正確には「Check(評価)」段階に属しますので、本選択肢は誤りです。

⑤ 安全衛生計画の実施等は、Dに対応する。 (正解)

  • 解説
    「安全衛生計画の実施」は、「Do(実行)」に該当します。
    これはPDCAサイクルの中で策定した計画(P)を実際に現場で動かしていく段階です。
    例えば、決められた教育訓練や危険防止策、設備の導入・点検などを現場で実行することがこれに当たります。
    サイクルを正しく運用するうえで、「計画の実行」は非常に重要な役割を担っています。

まとめ・問題の要点

  • PDCAサイクルは「計画→実行→評価→改善」の4段階で構成され、職場の安全衛生の向上に不可欠である
  • 各段階には具体的な実務が結び付いており、「計画の実施」はDo(実行)に該当する
  • 「安全衛生方針の表明」はPlan、「危険性調査」はPlan、「災害原因の調査」はCheck、「システム監査」はCheck、「計画実施」はDoである
  • 労働安全衛生マネジメントシステムでは、各活動がどの段階なのかを正しく理解することが基本となる

PDCAサイクル、労働安全衛生マネジメントシステム、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)──これらのキーワードは試験対策や現場実務の両面で非常に重要なポイントとなります。

感想

労働安全や衛生に関しても過去問ではよく出てきていました。

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今日のは思いっきり間違えました。

Pが2個もある!そしたらどっちかが間違いだ!!と判断して問題をよく読まなかったのが敗因。

とはいえ、①も正解なんじゃないの?と思いますね。

⑤が正しいのは理解できるんだけど。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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