問題
Ⅲ-5 PTS法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① PTS法は、ストップウォッチをつかわないで、作業時間を求める方法である。
② PTS法は、個人的判断によらないで一貫した基準を与え、正確かつ公平な時間値を設定する方法である。
③ WF法は、基本動作、動作距離及び動作時間に影響を及ぼす変数を考慮して作業時間を求める方法である。
④ MTM法は、基本動作、動作距離及び条件に応じて作業時間を求める方法である。
⑤ MTM法で用いられる時間単位は、MODである。

解答
正解は 5 になります。
問題の概要
本問題では、作業時間を分析・設定する代表的な方法「PTS法」について、複数の選択肢から最も不適切な記述を選ぶ内容です。
PTS法は、作業の標準化や効率化を目指す経営工学の重要な手法の一つであり、製造現場やオフィス業務の改善に広く利用されています。
選択肢にはPTS法自体に加え、関連するWF法やMTM法に関する記述も含まれています。
選択肢ごとの詳細解説
① PTS法は、ストップウォッチをつかわないで、作業時間を求める方法である。
PTS法(Predetermined Time Standards:作業研究用既定時間法)は、作業を細かい動作単位に分解し、それぞれにあらかじめ設定された標準時間値を充てて合計することで、全体の作業時間を算出します。
この方法はストップウォッチなどで直接計測するのではなく、過去のデータや基準値に基づいて客観的に時間値を設定できるのが特徴です。
したがって、「ストップウォッチは使わない」という記述は正しい内容です。
② PTS法は、個人的判断によらないで一貫した基準を与え、正確かつ公平な時間値を設定する方法である。
PTS法は、個人ごとの主観や経験値に依存せずに、標準化された基準に基づいて作業時間を算定します。
これは企業間での時間比較や、作業者ごとの公平な評価を可能とするうえでとても重要なポイントです。
一貫性・公平性・精度が保たれるという説明はPTS法のメリットそのものと言えます。
③ WF法は、基本動作、動作距離及び動作時間に影響を及ぼす変数を考慮して作業時間を求める方法である。
WF法(Work Factor法)は、作業を基本動作に分け、それぞれの動作距離や負荷といった複数の変数(要因)を加味して標準時間を積み上げる方法です。
動作の種類だけでなく、その到達距離や重量などにより所要時間が異なることも考慮しているのがWF法の特徴です。
この記述も正しい内容になっています。
④ MTM法は、基本動作、動作距離及び条件に応じて作業時間を求める方法である。
MTM法(Methods-Time Measurement)は、作業動作を細かく分類し、それぞれに既定の標準時間(MOD単位)を割り当てて作業時間を合計する手法です。
各動作の距離やコンディション(障害の有無等)が時間算定に影響します。
基本動作の種類・距離・条件まで考慮するという点で、記述は正しいです。
⑤ MTM法で用いられる時間単位は、MODである。
ここが 不適切 な記述です。MTM法では確かに「MOD」という単位も関わりますが、MTM(特にMTM-1)で用いられる基本単位は「TMU(Time Measurement Unit)」です。
1 TMUは0.00001時間(0.036秒)に相当します。
「MOD(Motion Descriptor)」はWF法で用いられる単位であり、MTM法の基準時間単位はTMUです。
よって、この選択肢の内容は誤りです。
MTM法とWF法の比較(図表例)
手法 | 分析対象 | 時間単位 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
MTM法 | 基本動作 | TMU | 動作ごとの既定値の合算 |
WF法 | 基本動作+変数 | MOD | 距離・重量等も考慮 |
PTS法 | 基本動作 | 各種 | 事前設定値を合計 |
まとめ
- PTS法はストップウォッチ不要で、客観的・公平な作業時間設定ができる標準化手法
- WF法は動作距離や重さなど変数も考慮して作業時間を算定する高精度な方法
- MTM法は作業を細分化し、動作ごとに標準時間(TMU)を加算する分析手法
- MTM法の単位はTMU、MODはWF法の単位であり、両者を混同しないことが重要
- 本問の不適切な記述は「⑤ MTM法で用いられる時間単位は、MODである」
→ MTM法は「TMU」を使用する
感想
う。今日は正解でしたが。
1 TMUは0.00001時間(0.036秒)に相当というのはしっかりインプット出来ていなかった。
過去にも出たような気がするけども。


PTS法も結構問題に出てきますよね。
もう一度、しっかりとおさらいする必要があるようです。