問題
Ⅲ-18 JIS Z8101-2:2015 統計-用語及び記号-第2部:統計の応用における管理図に関する次の記述のうち、最も不適切なのはどれか。
① \(\bar{X}\)管理図は、サンプルの個々の観測値を用いて工程水準を評価するための計量値管理図である。
② c管理図は、サンプルサイズが一定の場合に、発生数を評価するための計数値管理図である。
③ 工程調節用管理図は、プロセスの予測モデルを用い、変更を行わないのであればプロセスの将来の状態を予測し、打点するとともに、プロセスの偏差を規格幅内に維持できるように変更すべき量を求めるための管理図である。
④ 管理限界線は、プロセスの安定性を判定するために用いる管理図上の線である。
⑤ シューハート管理図は、打点された値の変動が、主として偶然原因あるいは異常原因のどちらに起因するのかを見分けることを意図したシューハートの管理限界線を用いた管理図である。

解答
正解は 1 になります。
管理図に関する基礎と問題の全体像
管理図(コントロールチャート)は、工程(プロセス)が安定しているか、品質が安定して生産されているかを連続的に監視するための代表的な統計的品質管理手法です。
JIS Z8101-2:2015では、統計の応用としての管理図について詳細な用語や定義がまとめられています。
本問題では、管理図の種類、目的、構成要素に関する知識が問われています。
各選択肢を一つずつ丁寧に解説しながら、正しい理解に導きます。
各選択肢の詳細解説
① Xˉ管理図について
- 解説: \(\bar{X}\)管理図(エックスバー管理図、平均管理図)は、サンプル(検体)ごとに複数の観測値をまとめてその平均値を求め、その平均値の推移を監視する計量値管理図です。
\(\bar{X}\)管理図はあくまで「サンプル内の個々の観測値そのもの」ではなく、「サンプルごとの平均値」の変動で工程水準を評価します。 - ここが重要:『個々の観測値を用いて工程水準を評価』という記載は正確ではなく、『平均値を用いる』が正しい。
② c管理図について
- 解説:「c管理図」は計数値管理図の一種で、一定サンプルサイズのもとで単位あたりの不適合件数や、特定の現象の発生数(カウント数)を監視する際に使用されます。
工程の不具合件数やエラー数などを評価する際によく使われます。 - ここがポイント:サンプルサイズが一定であれば、c管理図が適用されます。記述内容は正しいです。
③ 工程調節用管理図について
- 解説:工程調節用管理図(プロセスコントロールチャート)は、工程の将来の状態を予測モデルを用いて予測し、その結果に基づいて工程の状態が基準から逸脱しそうな場合に調整量を決定する役割を持ちます。
ポイントは、「プロセスの将来の状態を予測しつつ、工程が基準(規格)に収まるように調整する」「打点(プロット)を行う」役割があることです。 - ここがポイント:現代の管理図は、『調節(コントロール)』という考えも含まれるため、この説明は妥当です。
④ 管理限界線について
- 解説:「管理限界線」とは、管理図上に書かれる“上限”と“下限”のラインで、一般的に工程が安定であればこの範囲内で推移します。
この線を使って、工程が統計的に安定しているかどうか(異常がないか)を判定します。 - ここがポイント:記述通り、安定性の判定に用いられます。内容は正しいです。
⑤ シューハート管理図について
- 解説:シューハート管理図は、ウォルター・A・シューハートによって考案された管理図の基本形で、プロセスデータを用いて『偶然原因(自然なばらつき)』と『異常原因(突発的な逸脱)』の判別を主目的としています。
管理限界線もシューハート方式に基づいて設定します。 - ここがポイント:記述通り、シューハート管理図の目的と特徴を説明しています。
まとめと重要ポイント
- 管理図は、工程の安定性や異常の検知のために不可欠な品質管理ツール。
- \(\bar{X}\)管理図は「サンプル平均値」を監視するものであって、「個々の観測値」そのものを対象としない。
- c管理図は「一定サンプルサイズ、発生数評価」に最適。
- 管理限界線は、工程の安定性判定のために用いる。
- シューハート管理図は、「原因の特定」にフォーカスし、幅広い品質管理現場で活用されている。
以上から、最も不適切な記述は【①】となります。
感想
今日は不正解でした。
管理図、よくわかっていないですね。
しっかり復習しよう。

これだけでなく、たくさん過去問ありますからね。
苦手は克服だ!
