平成25年度 経営工学部門 Ⅲ-2PR含む

問題

III-2 JIS Z8206工程図記号に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 工程図記号では、要素工程を加工、運搬、貯蔵、滞留、数量検査及び品質検査に区分している。

② 工程図では工程系列の始まる状態と終わりの状態とを滞留記号を用いて示す。

③ 2つの要素工程がもつ機能又は状態が、1つの要素工程で同時にとられる場合は、それぞれの要素工程の記号を複合して図示することができる。

④ 工程系列における加工順序を示すには、加工記号内にその順序番号を記入する。

⑤ 品質検査とは、原材、材料、部品又は製品の品質特性を試験し、その結果を基準と比較してロットの合格、不合格又は個品の良、不良を判定する過程を表す。

解答

正解は 2 になります。

JIS Z8206工程図記号について

JIS Z8206は、日本工業規格で定められた工程図記号の規格です。この規格は、製造過程や業務の流れを視覚的に表現するための標準化された記号を定めています。

各選択肢の解説

① 正しい記述

工程図記号では、要素工程を以下の6つに区分しています:

  1. 加工(○)
  2. 運搬(小さい○もしくは→)
  3. 貯蔵(▽)
  4. 滞留(D)
  5. 数量検査(□)
  6. 品質検査(◇)

これらの記号を使用することで、作業の種類を一目で理解できるようになっています。

② 不適切な記述(正解)

この記述が最も不適切です。JIS Z8206では、工程系列の始まりと終わりを示すための特別な記号は定義されていません。滞留記号(D)は、作業の一時的な中断や待機状態を表すために使用されるもので、工程の開始や終了を示すものではありません。

工程の開始と終了を表現する場合は、一般的に注記を付けるか、または別の方法で明示します。

③ 正しい記述

1つの工程で2つ以上の機能や状態が同時に行われる場合、それぞれの記号を組み合わせて表現できます。これにより、複雑な工程も簡潔に表現することができます。

④ 正しい記述

加工の順序を示すために、加工記号(○)の中に番号を入れることができます。これにより、複数の加工工程がある場合でも、その順序を明確に示すことができます。

⑤ 正しい記述

品質検査の定義が正確に述べられています。製品やその材料が定められた基準を満たしているかどうかを確認する過程を表しています。

工程図記号の例

以下に、主な工程図記号の例を示します:

複合記号では運搬は矢印のものを用います。

まとめ

JIS Z8206工程図記号は、製造プロセスや業務フローを標準化された方法で表現するための重要なツールです。各記号は特定の作業や状態を表し、これらを組み合わせることで複雑な工程も視覚的に理解しやすくなります。

特に重要なのは、この規格では工程の開始と終了を表す特別な記号は定義されていないという点です。工程の開始と終了を明示する必要がある場合は、注記を付けるなどの別の方法で対応する必要があります。

正確な工程図を作成し理解するためには、JIS Z8206で定められた各記号の意味と使用方法を正しく把握することが重要です。

感想

そうか、これか!

たまにお客様から受領した参考図の中にこういうのがあって。

何だろうと思っていました。

今回、いろんな参考サイトを見たんですが記号の意味がいろいろ違っていて。

ちゃんとしたものがいいと思い、こちらに登録しました。

これでもうバッチリです。