問題
III－4 次のうち、作業の習熟に関する説明として最も不適切なものはどれか。
① 作業における習熟は、心理学の分野でいう学習に相当する。
② 習熟とは、同じ作業を何回も繰り返すことによって、作業に対する慣れ、動作や作業方法の改善によって次第に作業時間が減少していく現象といえる。
③ 習熟は、作業者個人はもとより、作業者グループによる集団活動にもみられる。
④ 新規の作業を開始する際、又は未熟練者が作業を行う場合、標準の作業ペースに到達するまでの間に考慮される余裕を習熟余裕という。
⑤ 習熟は同じ動作や身体の同じ動きの物理的な繰り返し作業に現れるもので、精神的・知的判断作業の場合に習熟はない。
解答
正解は 5 になります。
作業の習熟とは？
作業の習熟とは、同じ作業を繰り返し行うことで、作業者がその作業に慣れ、効率が向上する現象を指します。たとえば、最初は時間がかかっていた作業が、繰り返すうちにスムーズにできるようになり、作業時間が短縮されることがあります。この現象は心理学や経営工学の分野で「学習曲線」や「経験曲線」としても知られています。
経営工学では、この習熟効果を理解し、生産性向上やコスト削減に活用します。たとえば、新しい作業を導入する際には、初期段階での非効率を見越して計画を立てることが重要です。
選択肢①
「作業における習熟は、心理学の分野でいう学習に相当する。」
- 解説
この説明は正しいです。作業の習熟は、人間が新しいスキルや知識を身につける「学習」の一種と考えられます。心理学では「学習」として捉えられ、特定の動作や知識を繰り返すことで効率が向上するプロセスを指します。たとえば、自転車の乗り方を覚える過程や、タイピング速度が向上する現象も同様です。
選択肢②
「習熟とは、同じ作業を何回も繰り返すことによって、作業に対する慣れ、動作や作業方法の改善によって次第に作業時間が減少していく現象といえる。」
- 解説
この説明も正しいです。習熟効果は、繰り返しによって動作が洗練されることで発生します。たとえば、最初はぎこちなかった手作業が、繰り返すうちに無駄な動きが減り、効率的になります。この結果として、1回あたりの作業時間が短縮されます。
選択肢③
「習熟は、作業者個人はもとより、作業者グループによる集団活動にもみられる。」
- 解説
これも正しい説明です。習熟効果は個人だけでなく、グループ活動にも現れます。たとえば、生産ライン全体でのチームワークが向上することで、生産効率が上がるケースがあります。また、「集団習熟」と呼ばれる現象では、グループ全体としての経験値が蓄積されることで効率化が進みます。
選択肢④
「新規の作業を開始する際、又は未熟練者が作業を行う場合、標準の作業ペースに到達するまでの間に考慮される余裕を習熟余裕という。」
- 解説
この説明も正しいです。「習熟余裕」とは、新しい作業や未熟練者による作業の場合に考慮される時間的な余裕を指します。たとえば、新人社員が仕事に慣れるまでには時間がかかります。そのため、生産計画では一定の余裕（バッファ）を設けておく必要があります。このような余裕を「習熟余裕」と呼びます。
選択肢⑤
「習熟は同じ動作や身体の同じ動きの物理的な繰り返し作業に現れるもので、精神的・知的判断作業の場合に習熟はない。」
- 解説
この説明は誤りです。確かに物理的な繰り返し作業（例：組み立てや梱包など）で顕著に現れることが多いですが、「精神的・知的判断」を伴う仕事でも習熟効果はあります。たとえば、新しいソフトウェアを使う場合や問題解決能力を必要とする仕事でも、繰り返し経験することで効率や精度が向上します。このため、「精神的・知的判断作業には習熟効果がない」という記述は不適切です。
まとめ：問題の要点
- 正解：⑤
- 習熟効果は物理的な繰り返しだけでなく、精神的・知的な判断を伴う仕事にも現れます。
- 選択肢⑤では、この点について誤った記述がされているため、不適切です。
- 他の選択肢はいずれも正しい内容でした。
感想
過去問ではコレ↓が少し似てました。
今日は正解でした。
ちょっとね、文に不自然な感じが入ってるような気がして。
気のせいかも知れませんが。
習熟余裕、とっておいてもその5倍くらい時間がかかった案件があり。
これには焦った・・・・。
実際検証してみるとそんなに無茶な工程ではなかったので人員交代でうまく流れるようにしました。
関連記事Related articles
