問題
III-6 次のうち、作業における動作又は動作研究に関する説明として最も不適切なものはどれか。
① 作業を行うときの単位動作は、要素動作(サーブリッグ)に分解される。
② 作業におけるほんのわずかな動作時間の節約も繰返しの多いサイクル作業では、大きな効果になりうるといえる。
③ 動作分析の対象には、身体部位として指、右手、左手、腕、足、脚、胴、膝、目、及び精神作用(思考)の動きがある。
④ 動作は、作業の目的を達成するのに必要な付加価値を与えている有用な動作、作業遂行のための補助動作、作業に寄与しない無効な動作に区分される。
⑤ 動作研究における種々の手法を適用する段階では、各動作の善し悪しが即座に判断できる動作意識、すなわちモーション・マインドの観点からものごとを観察することが大事なポイントとなる。
解答
正解は 1 になります。
問題の概要
この問題は、作業における動作や動作研究に関する基本的な知識を問うものです。動作研究は、作業を効率化し、生産性を向上させるための重要な手法であり、経営工学の中でも特に注目される分野です。
解説
① 作業を行うときの単位動作は、要素動作(サーブリッグ)に分解される。
この説明は不適切です。「サーブリッグ(therblig)」とは、フランク・ギルブレス夫妻が提唱した概念で、作業を18種類の基本的な要素動作に分解したものを指します。ただし、「サーブリッグ」は単位動作そのものではなく、単位動作をさらに細かく分解した要素です。
たとえば、「ネジを締める」という単位動作は、「手を伸ばす」「ネジをつかむ」「締める」など複数のサーブリッグに分解されます。このように、「単位動作=サーブリッグ」とするこの説明は誤りです。
② 作業におけるほんのわずかな動作時間の節約も繰返しの多いサイクル作業では、大きな効果になりうるといえる。
この説明は正しいです。繰り返し行われるサイクル作業(例:工場での組み立てライン)では、1回あたり数秒短縮するだけでも、長期間にわたって大きな時間やコスト削減につながります。この考え方は「改善活動」の基本理念であり、生産性向上の鍵となります。
③ 動作分析の対象には、身体部位として指、右手、左手、腕、足、脚、胴、膝、目、及び精神作用(思考)の動きがある。
この説明も正しいです。動作分析では、人間が行うすべての身体的な動き(手や足など)だけでなく、「思考」や「判断」といった精神的なプロセスも対象となります。これらを分析することで、不必要な迷いや判断ミスを減らすことができます。
④ 動作は、作業の目的を達成するのに必要な付加価値を与えている有用な動作、作業遂行のための補助動作、作業に寄与しない無効な動作に区分される。
この説明も正しいです。動作研究では以下の3つに分類して効率化を図ります:
- 有用な動作:目的達成に直接貢献する。
- 補助的な動作:目的達成には必要だが直接的ではない。
- 無効な動作:目的達成に寄与しない不要な動き。
これらを明確に区別することで、生産性向上や無駄削減につながります。
⑤ 動作研究における種々の手法を適用する段階では、各動作の善し悪しが即座に判断できる動作意識、すなわちモーション・マインドの観点からものごとを観察することが大事なポイントとなる。
この説明も正しいです。「モーション・マインド」とは、「各動きが有効かどうか」を瞬時に判断できる能力や意識を指します。この意識を持つことで現場改善がスムーズになり、生産性向上につながります。
まとめ
本問題では、「サーブリッグ」に関する誤った理解が問われています。他の選択肢はすべて正しい説明ですが、「①」は用語定義が誤っているため不適切です。
要点
- サーブリッグは単位動作そのものではなく、その細分化された要素。
- 繰り返し作業では、小さな改善でも大きな効果につながる。
- 動作分析では身体部位ごとの観察や「有用」「補助」「無効」の分類が重要。
- 「モーション・マインド」の意識が現場改善には不可欠。
正解は①です。
感想
サーブリッグってそんなもんじゃない!って知ってたので正解。
単位動作=サーブリッグ!!ではないですよね。
ここでしっかりと学んだ(つもり)でしたからね。
繰り返し学習して参りましょう。