問題
Ⅲ-16 次のうち、QC7つ道具における層別に関する説明として最も不適切なものはどれか。
① データを誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのようにして収集されたものかを明らかにしておくことは、種々の層別をするのに必要である。
② 品質上の不具合原因を検討するとき、データを機械別、原材料別、作業方法別、作業者別などの共通点によってグループ分けすることは重要である。
③ どのような層別をすべきかは、対象としている工程や品物についての技術的な知識や経験がもとになる。
④ JIS Z8101の層別の説明において、層は部分母集団の一種で、相互に共通部分を持つので、それぞれの層を合わせたものは母集団には一致しないと定義されている。
⑤ データの層別をしなかったり、層別する項目を誤ると大切な情報を見失ってしまうことがある。

解答
正解は 4 になります。
問題の概要
この問題は、品質管理の基本ツールである「QC7つ道具」の一つ「層別」に関する説明文から、最も不適切な選択肢を選ぶものです。
層別とは、データを共通の特徴ごとにグループ分けし、問題の原因を特定する手法です。
5つの選択肢の中から、定義や実践方法において誤っているものを選びます。
各選択肢の詳細解説
① データを誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのようにして収集されたものかを明らかにしておくことは、種々の層別をするのに必要である
この説明は適切です。
層別を効果的に行うには、データの収集条件を明確にする「5W1H」(Who, What, When, Where, Why, How)が不可欠です。
例えば、製造工程で「作業者別」にデータを分ける際、どの作業者がどの機械をいつ使用したかが不明だと、正確な分析ができません。
データの出所を明確にすることで、後で機械別・時間別・作業者別など多角的な層別が可能になります。
② 品質上の不具合原因を検討するとき、データを機械別、原材料別、作業方法別、作業者別などの共通点によってグループ分けすることは重要である
この説明も正しいです。
層別の核心は、データを「5M」(Material, Machine, Man, Method, Measurement)などの観点で分類し、ばらつきの原因を絞り込むことです。
例えば、ある製品の不良率が高い場合、機械Aと機械Bで層別すると「機械Aのみ不良率が突出」といった傾向が発見でき、故障調査の効率が上がります。
③ どのような層別をすべきかは、対象としている工程や品物についての技術的な知識や経験がもとになる
適切な説明です。
層別の項目選定には、その工程の特性に関する専門知識が不可欠です。
例えば、食品製造で「香りのばらつき」を分析する際、技術者が「原材料の産地」や「保管温度」を層別項目に選ぶのは、経験に基づく判断です。
逆に、無関係な項目(例:包装の色)で層別しても意味がありません。
④ JIS Z8101の層別の説明において、層は部分母集団の一種で、相互に共通部分を持つので、それぞれの層を合わせたものは母集団には一致しないと定義されている
これが不適切な説明です。
JIS Z8101では、層は「相互に共通部分を持たず、すべての層を合わせると母集団に一致する」と定義されています。
例えば、性別で層別する場合、「男性」と「女性」は重複せず、両方を合わせれば全人口になります。
選択肢④はこの定義を逆に解釈しているため誤りです。
⑤ データの層別をしなかったり、層別する項目を誤ると大切な情報を見失ってしまうことがある
正しい説明です。
層別しないと、異なる要因が混在したデータから誤った結論を導くリスクがあります。
例えば、A工場とB工場の生産データを混ぜて分析すると、工場ごとの差異が埋もれてしまいます。
適切な層別により「A工場では夜勤帯の不良率が高い」といった隠れた傾向を発見できます。
まとめ:問題の要点
- 核心テーマ:JIS規格における層別の定義理解(選択肢④の誤り)。
- 頻出ポイント:
- 層別は「グループ分け」であり、QC7つ道具と組み合わせて使用される。
- 層別の項目選定には技術的知識が不可欠。
- データ収集時の「5W1H」記録が分析精度を向上させる。
- 試験対策:
- JIS定義の正確な暗記(「共通部分なし」「全層で母集団一致」)。
- 実務例(5M分類、パレート図との組み合わせ)の理解。
感想
意外にもQC7つ道具って初出なんですね。
新QC7つ道具は過去にありましたが。
傾向と対策としては層別以外の、他のもしっかり覚えておく、ですね!
どのみち仕事で使いますし。