問題
Ⅲ-18 ある製品の品質特性が正規分布に従い、10.0±0.3の範囲にあれば品質規格内にあるものとする。
現実の母集団の状況は、以下のaとbの条件に示すとおりである。
10,000個の製品を生産した場合、この品質規格をはずれる製品の個数の期待値に最も近いものはどれか。
条件
a. 現実の母集団は、平均値=9.9 及び標準偏差=0.1 の正規分布である。
b. 正規分布の上側確率は下表のとおりとする。
\( K_\alpha \) | \( \alpha \) |
---|---|
0.5 | 0.30854 |
1.0 | 0.15866 |
1.5 | 0.066807 |
2.0 | 0.022750 |
2.5 | 0.0062097 |
3.0 | 0.0013499 |
3.5 | 0.00023263 |
4.0 | 0.000031671 |
4.5 | 0.0000033977 |
5.0 | 0.00000028670 |

① 27
② 64
③ 228
④ 668
⑤ 1587

解答
正解は 3 になります。
問題の概要
この問題では、製品の品質特性が正規分布に従う場合に、規格範囲外となる製品の個数を期待値として計算します。具体的には、10,000個の製品を生産した際に、平均値や標準偏差が異なる母集団からどれだけの製品が規格範囲(10.0 ± 0.3)を外れるかを求めます。
正規分布について簡単に説明すると、データが平均値を中心に左右対称に分布する形状を持つものです。この問題では、正規分布の性質を利用して「規格範囲内に収まる確率」と「規格外となる確率」を計算し、それを基に不良品数を求めます。
条件と与えられたデータ
条件
- 母集団は以下のパラメータを持つ正規分布:
- 平均値(μ):9.9
- 標準偏差(σ):0.1
- 品質規格は 10.0 ± 0.3(つまり、範囲は9.7~10.3)。
- 正規分布の上側確率(片側累積確率)は表で与えられています。
目標
10,000個の製品中で、品質規格を外れる製品数(期待値)を求めます。
解法
手順1:標準化
正規分布では、与えられた値を「標準化」して計算します。標準化とは、元の値から平均値を引き、それを標準偏差で割ることで「標準正規分布」に変換することです。
$$ Z = \frac{X – \mu}{\sigma} $$
ここで:
- \(X\) は計算対象の値(ここでは9.7と10.3)。
- \(\mu = 9.9\) は母集団の平均値。
- \(\sigma = 0.1\) は母集団の標準偏差。
手順2:Zスコアの計算
品質規格範囲(9.7~10.3)の下限と上限について、それぞれZスコアを計算します。
$$ Z_{\text{下限}} = \frac{9.7 – 9.9}{0.1} = -2 $$
$$ Z_{\text{上限}} = \frac{10.3 – 9.9}{0.1} = 4 $$
手順3:累積確率を利用
累積確率表(または問題文で与えられている表)から、対応する確率を確認します。
- \(Z = -2\) に対応する上側確率は \(\alpha = 0.022750\)。
- \(Z = 4\) に対応する上側確率は非常に小さい(ほぼ0)。
これらから、「範囲内に収まる確率」は次のように計算されます:
$$ P(\text{範囲内}) = P(Z_{\text{上限}}) – P(Z_{\text{下限}}) $$
ただし、この場合、Z上限Z_{\text{上限}}Z上限 の確率がほぼ1であるため:
$$ P(\text{範囲内}) \approx 1 – 0.022750 = 0.97725 $$
手順4:範囲外となる確率
範囲外となる確率は次のように求めます:
$$ P(\text{範囲外}) = 1 – P(\text{範囲内}) = 1 – 0.97725 = 0.02275 $$
手順5:不良品数の期待値
10,000個中、不良品数の期待値は次式で求めます:
$$ \text{不良品数} = P(\text{範囲外}) \times 10,000$$
$$= 0.02275 \times 10,000 = 227.75 $$
四捨五入して228個となります。
各選択肢の検証
選択肢 | 不良品数 | 判定 |
---|---|---|
① | 27 | 違う |
② | 64 | 違う |
③ | 228 | 正解 |
④ | 668 | 違う |
⑤ | 1587 | 違う |
問題の要点とまとめ
問題文から導き出した結論
- 正解は ③:228。
- この結果は正規分布の性質と累積確率表を活用して計算しました。
ポイントまとめ
- 正規分布では「平均値」と「標準偏差」が重要な役割を果たします。
- 標準化によるZスコア変換が基本的な手法です。
- 累積確率表や統計ツールを活用して効率的に計算できます。
感想
いや〜、この手の問題苦手です。
過去にも標準偏差ものは出ていましたが。
問題の内容もさることながら、ここまで表や計算式がめんどい大変なものはありませんでしたねえ。
これくらいですかねえ、大変だったの。