問題
Ⅲ-4 時間研究に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 時間研究は、作業を要素作業又は単位作業に分割し、その分割した作業を遂行するのに要する時間を測定する手法である。
② 時間研究により正味時間を設定する場合、あらかじめ決められた作業時間を用いる。
③ 稼働分析に基づいて余裕時間を設定する場合、作業別・職場別に余裕率を求めることによって決定する
④ ストップウォッチを用いた作業測定において、正確かつ一貫性のある観測を行わなければならない。
⑤ 時間観測中の作業者の作業遂行度を、標準として定められている遂行度と比較・評価し、レイティングを行う。

解答
正解は 2 になります。
問題の背景と全体像
時間研究は生産現場の標準時間設定の基盤となる手法です。
作業効率化と公平な労務管理を実現するため、実測データに基づく時間分析が求められます。
選択肢①の検証
「作業を要素分解し遂行時間を測定」
時間研究の基本的なプロセスは以下の3段階で構成されます:
- 要素作業分解:部品取り付け→加工→検査などの単位に分離
- 反復計測:10~20サイクルの時間を計測(信頼性確保のため)
- 異常値排除:機械トラブルなどの外れ値をデータから除外
代表的な測定ツールとして、ストップウォッチ法とVTR分析法があります。
例えば自動車組立ラインでは、ドア取り付け作業を「部品搬入→位置調整→ボルト締め」に分解して計測します。
→ 定義が正確なため適切
選択肢②の検証
「あらかじめ決められた作業時間を用いる」
この記述が誤りである理由を、時間研究とPTS法の比較で説明します。
比較項目 | 時間研究 | PTS法(例:MTM法) |
---|---|---|
時間決定方法 | 実測値に基づく | 既存データベースを使用 |
対象動作レベル | マクロ(要素作業単位) | ミクロ(基本動作単位) |
観測ツール | ストップウォッチ/VTR | 動作分析用チャート |
標準時間算出式 | 観測時間×レーティング係数 | 動作単位時間の積算 |
時間研究では実際の作業観測が必須であり、事前に決められた値は使用しません。例えば溶接作業の標準時間設定では、熟練工の実測値をベースにレーティング補正を加えます。
→ 前提が逆のため不適切
選択肢③の検証
「作業別・職場別に余裕率を求める」
余裕時間設定の実際のプロセス:
- 連続観測法:8時間労働を丸1日観察(例:機械操作40%、待機15%)
- ワークサンプリング:ランダムに100回観測(例:運搬作業25回検出)
- 余裕率計算:
$$\text{余裕率} = \frac{\text{余裕時間}}{\text{正味時間}} \times 100$$
塗装工程では粉塵対策のマスク交換時間(職場余裕)を個別に算出します。
→ 実務手法と一致→適切
選択肢④の検証
「正確かつ一貫性のある観測」
信頼性確保のための具体策:
- 計測器の統一:十進法ストップウォッチ(例:0.01分単位)
- 観測条件の標準化:
- 同一作業者による3回以上測定
- 測定時間帯を生産ピーク時に固定
- データ処理:上位・下位10%のデータをトリム平均
自動車部品工場では、溶接ロボットの動作サイクルを1日5回×3日間計測します。
→ 基本原則に合致→適切
選択肢⑤の検証
「標準遂行度との比較評価」
レーティング補正の実務事例は以下の通りです。
レベル | 特徴 | 補正係数 |
---|---|---|
新人 | 手順確認頻発 | 0.8 |
標準 | 安定したペース | 1.0 |
熟練 | 無駄のない動作 | 1.2 |
電子部品組立では、新人作業者の観測時間に係数0.8を乗じて標準時間を設定します。
→ 手法の核心を説明→適切
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:②
誤りの本質
時間研究は実測データを基礎とするため、選択肢②の「あらかじめ決められた時間」を使用するという説明はPTS法と混同した誤りです。
標準時間設定の体系的理解
$$\text{標準時間} = (\text{観測時間} \times \text{レーティング係数}) + \text{余裕時間}$$
- 実測フェーズ:10回以上の反復計測
- 補正フェーズ:作業速度・熟練度を評価
- 余裕追加:疲労・準備・管理要因を算入
試験対策のポイント
- 用語定義の明確化:余裕時間の4分類(作業・職場・個人・疲労)
- 手法の使い分け:時間研究 vs PTS法の適用場面
- 数式の暗記:余裕率・標準時間の計算式
感想
この年はIE手法もの、多いですねえ。
今日は時間研究もの。
こんなに時間研究が取り上げられるのはどうやらお初のようで。
すみません、今日は不正解でした・・・・。