問題
Ⅲ-6 稼働状況を分析する手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 稼働分析における連続観測法は、分析対象の作業者や設備を長時間にわたり連続的に観測するため、作業内容を詳細に分析することに適している。
② 連合作業分析とは、人と機械、2人以上の人が共同して作業を行うとき、共同作業の効率を高めるために行う分析手法である。
③ 稼働分析を行う目的の1つは、作業者や機械設備の稼働率を求めることであるが、ワークサンプリングによって稼働率を求めた場合、全体を調べていないサンプル調査であるので、稼働率の算出結果に対する統計的な保証はない。
④ 稼働分析を実施する際、普段どおりの作業で行ってもらうことが重要であり、作業対象者にあらかじめ観測内容や観測目的をきちんと説明しておくべきである。
⑤ 稼働分析におけるワークサンプリング法とは、一人で複数の観測対象を測定できるなど、観測効率の高い分析法である。

解答
正解は 3 になります。
問題の背景と全体像
稼働分析は生産現場の効率改善を目的としたIE手法の重要な技術です。
各選択肢を「手法の定義」「測定精度」「実践プロセス」の観点から検証し、不適切な記述を特定します。
各選択肢の徹底検証
① 連続観測法の特性
「長時間連続観測で詳細分析に適する」
- 手法の特徴:
- 8時間労働を丸ごと記録(例:溶接作業の微細動作まで把握可能)
- データ精度が高く、時間外労働や待機時間を正確に計測
- 活用例:
- 自動車組立ラインのボルト締め作業の最適化
→ 定義が正確→適切
② 連合作業分析の定義
「人-機械/複数人協働作業の効率化」
- 分析対象:
- 人間とロボットの作業分担(例:溶接ロボットと操作員の連携)
- チーム作業の時間配分(例:2人1組の製品検査フロー)
- 改善効果:
- 作業リズムの同期化による生産性向上
→ 正しい定義→適切
③ ワークサンプリングの統計的保証
「サンプル調査のため統計的保証なし」
- 誤りの核心:
- ワークサンプリングは統計的信頼区間を設定可能
- 計算式:
$$N = \frac{Z^2 \cdot P(1-P)}{E^2}$$
(Z=信頼係数、E=許容誤差)
- 具体例:
- 95%信頼水準で許容誤差±5%の観測計画が可能
→ 事実と矛盾→不適切
④ 稼働分析の実施要領
「普段通り作業させ、事前説明が必要」
- ホーソン効果の回避:
- 観測を意識した不自然な作業変更を防止
- 例:工具の配置を変えないよう事前に周知
- 倫理的配慮:
- プライバシー保護のため観測目的を明確化
→ 実務基準に合致→適切
⑤ ワークサンプリングの効率性
「1人で複数対象を同時観測可能」
- 手法の特徴:
- ランダム瞬間観測で複数工程を並行管理(例:10台の機械を1人で巡回)
- 観測表の例:
- 時刻ごとに各機械の状態を記録
→ 効率性の説明が正確→適切
ワークサンプリングの観測表例
時刻 | 機械1 | 機械2 | 機械3 |
---|---|---|---|
10:00 | 稼働 | 停止 | 待機 |
10:15 | 停止 | 稼働 | 調整 |
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:③
誤りの核心
ワークサンプリング法は統計的理論に基づく信頼性のある手法であり、選択肢③の「統計的保証なし」は明らかな誤りです。
ワークサンプリングの信頼性確保手法
- サンプル数の計算:信頼係数と許容誤差から算出
- 観測間隔の設定:ランダム時刻表を使用
- データ処理:外れ値の排除と再計算
試験対策の要点
- 手法の特徴の区別:
- 連続観測法(高精度) vs ワークサンプリング(効率性)
- 統計的根拠の理解:
- ワークサンプリングの信頼区間計算式を暗記
- 倫理的配慮の認識:
- 観測対象者への説明義務とデータ改ざん防止策
感想
今回からまたサムネイル画像の雰囲気を変えてみました。いかがでしょうね?
稼働分析、ワークサンプリングに関しての問題ですね。
このあたりもですね、最近の本業でよく出てくるんですよ。
試験対策と本業の補強で一石二鳥ですわ!