問題
Ⅲ-14 散布図の活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 点の並び方の傾向等、相関関係の有無について調べる。
② 多くの点の集まりから特に飛び離れた異常と思われる外れ値がないかを確かめる。
③ 原料別、装置別、季節別、地域別等、層別の必要性を考えることも必要である。
④ 散布図からの結果をそのまま信用することなく、2変数の関係に技術的考察を加える。
⑤ 傾向線を拡張して、測定範囲を超えた部分を推定する。

解答
正解は 5 になります。
問題の背景と全体像
散布図は2つの変数の関係性を視覚化するための基本的な分析ツールです。
品質管理やデータ分析において、相関関係の把握や異常値検出に広く活用されます。
各選択肢の徹底検証
① 「点の並び方の傾向等、相関関係の有無について調べる」
- 適切性: 適切
- 解説:
散布図は、正の相関(右上がり)や負の相関(右下がり)、無相関(点がランダム)を判断するために使用されます。
例えば、生産量と作業時間の関係を分析する際に有効です。
→ 適切
② 「外れ値がないかを確かめる」
- 適切性: 適切
- 解説:
外れ値はデータの異常を示す可能性があり、散布図で視覚的に検出できます。
例えば、製造工程で特定の装置のみが異常値を示す場合、原因究明の手掛かりとなります。
→ 適切
③ 「層別の必要性を考える」
- 適切性: 適切
- 解説:
データを原料別・季節別などに層別することで、隠れた傾向を発見できます。
例:地域別に販売数と広告費の関係を分析し、地域特性に応じた戦略を立案。
→ 適切
④ 「技術的考察を加える」
- 適切性: 適切
- 解説:
相関関係が確認されても因果関係とは限りません。
例えば、「作業時間と不良率の相関」があっても、第三因子(設備の老朽化)が真の原因である可能性があります。
→ 適切
⑤ 「傾向線を拡張して測定範囲外を推定する」
- 不適切性: 不適切
- 誤りの核心:
傾向線(回帰直線)の外挿(範囲外の推定)は、データのない領域での予測となり信頼性が低くなります。
例:気温20~30℃のデータのみで、0℃や40℃の予測を行うのは危険です。
→ 不適切
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:⑤
誤りの核心
傾向線の外挿は統計的に信頼性が低く、技術的な根拠なく行うべきではありません。
散布図はあくまで実測データの範囲内での分析に留める必要があります。
散布図活用の基本原則
- 相関関係≠因果関係: データの背後にある要因を考察する。
- 外れ値の扱い: 異常値の原因を技術的に検証する。
- 層別分析: データを分割して詳細な傾向を把握する。
感想
昨日はパレート図、今日は散布図。
そして過去問とほぼ同じ。
いや〜、なんか記憶にあったのですよ。
学生の頃のインターンの話、書いたな〜って。
分析手法、だいじ。