問題
Ⅲ-16 品質管理に用いられる管理図に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① シューハート管理図における標準値が与えられていない場合の管理図は、すでに集められた観測値によって、工程が統計的管理状態であるかどうかを評価するための解析用管理図に対応している。
② シューハート管理図を管理特性に着目して分類すると、計量値管理図と計数値管理図に分類される。
③ \( \bar{X}-R\) 管理図は、\( \bar{X}\) 管理図を用いて工程の群内変動を管理し、\(R\)管理図を用いて群間変動を管理する。
④ 管理限界は、工程が統計的管理状態であるとき、管理図上で統計量の値がかなり高い確率で存在する範囲を示す限界である。
⑤ 異常原因があれば、管理図で点が管理限界の外に出たり、点の並び方に癖が現れたりする。

解答
正解は 3 になります。
問題の背景と全体像
管理図は、工程の安定性を評価し異常を検知するための統計的品質管理手法です。
シューハート管理図を中心に、各選択肢が管理図の正しい定義と活用方法を説明しているかを検証します。
各選択肢の徹底検証
① 「シューハート管理図(標準値なし)は解析用管理図に対応」
- 適切性: 適切
- 解説:
解析用管理図は過去データから工程の管理状態を評価するために使用されます。
標準値が与えられていない場合、既存データから平均値と管理限界を算出します。
→ 正しい説明→適切
② 「管理図を計量値/計数値に分類」
- 適切性: 適切
- 解説:
- 計量値管理図: 連続データ(寸法、重量)向け(例:\( \bar{X}-R\) 管理図)
- 計数値管理図: 離散データ(不良品数)向け(例:p管理図)
→ 分類が正確→適切
③ 「\( \bar{X}\)管理図で群内変動、\(R\)管理図で群間変動を管理」
- 不適切性: 不適切
- 誤りの核心:
- \( \bar{X}\)管理図: 群間変動(サンプル群の平均値の変動)を管理
- \(R\)管理図: 群内変動(サンプル群内の範囲の変動)を管理
→ 役割が逆→不適切
④ 「管理限界は統計的管理状態での統計量の存在範囲」
- 適切性: 適切
- 解説:
管理限界(UCL/LCL)は、工程が安定状態にある場合にデータの99.73%が収まる範囲(μ±3σ)を示します。
→ 正しい定義→適切
⑤ 「異常原因で管理限界外や点の癖が発生」
- 適切性: 適切
- 解説:
管理限界を超えた点や連続上昇トレンドは、工程異常のシグナルです。
例:7点連続で中心線より上→システム要因の存在を示唆。
→ 正しい説明→適切
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:③
誤りの核心
\( \bar{X}\)管理図と\(R\)管理図の役割が逆です。\( \bar{X}\)管理図は群間変動、\(R\)管理図は群内変動を管理します。
管理図の正しい役割
管理図 | 管理対象 | 目的 |
---|---|---|
\( \bar{X}\)管理図 | 群間変動 | 工程平均の変動を監視 |
\(R\)管理図 | 群内変動 | 工程内のバラつきを監視 |
感想
シューハート管理図もよく出るというイメージです。
この頃はそれが何かよくわかりませんでしたが、実は今もよくわかっていません(笑)
やっぱり実務で使わないとピンとこないかなあ。
そんなこんなで、今日は不正解でした。