平成28年度 経営工学部門 Ⅲ-23PR含む
問題
Ⅲ-23 JIS Q 10006 「品質マネジメントシステム−プロジェクトにおける品質マネジメントの指針−」に記されたプロジェクトに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① プロジェクトには、開始日はあるが終了日が決められていない場合がある。
② プロジェクトが開始されると、目標及び対象とする範囲は変更されることはない。
③ プロジェクトの製品は、有形の場合に限られる。
④ プロジェクトの組織は、通常一時的なものであり、プロジェクトのライフサイクルに対して設けられる。
⑤ プロジェクトを構成する活動間における相互作用の複雑さは、プロジェクトの規模に関係して急速に拡大する。

解答
正解は 4 になります。
問題の背景と全体像
JIS Q 10006は、プロジェクトにおける品質マネジメントの指針を提供する規格であり、ISO 10006を基に作成されています。
この規格では、プロジェクトの品質目標達成を支援するための体系的なアプローチを示しています。
本問では、プロジェクトの特性や品質マネジメントに関する記述が正しいかどうかを検証します。
各選択肢の徹底検証
選択肢① 「プロジェクトには、開始日はあるが終了日が決められていない場合がある」
- 適切性: 不適切
- 理由:
プロジェクトは一時的な活動であり、必ず開始日と終了日が設定されます。
終了日が決められていない場合、それはプロジェクトではなく継続的な業務(オペレーション)に該当します。
→ 誤り
選択肢② 「プロジェクトが開始されると、目標及び対象とする範囲は変更されることはない」
- 適切性: 不適切
- 理由:
プロジェクトの目標や範囲は、進行中に変更されることがあります。
例えば、顧客要求の変化や技術的制約によって、目標や範囲を調整する必要が生じる場合があります。
この柔軟性はプロジェクトマネジメントの重要な要素です。
→ 誤り
選択肢③ 「プロジェクトの製品は、有形の場合に限られる」
- 適切性: 不適切
- 理由:
プロジェクトの成果物(製品)は、有形(例:建物や機械)だけでなく無形(例:ソフトウェアやサービス)も含まれます。
この記述は誤りです。
→ 誤り
選択肢④ 「プロジェクトの組織は、通常一時的なものであり、プロジェクトのライフサイクルに対して設けられる」
- 適切性: 適切
- 理由:
プロジェクト組織は、一時的な目的を達成するために設置されます。
プロジェクト終了後には解散し、組織メンバーは通常元の部門や新しいプロジェクトに戻ります。
この記述は正しいです。
→ 正解
選択肢⑤ 「プロジェクトを構成する活動間における相互作用の複雑さは、プロジェクトの規模に関係して急速に拡大する」
- 適切性: 不適切
- 理由:
プロジェクト規模が大きくなるほど、活動間の相互作用や依存関係が複雑になります。
しかし、この記述は規模拡大と複雑さ増加の直接的な因果関係を過度に強調しており、不正確です。
→ 誤り
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:④
適切性の根拠
JIS Q 10006では、プロジェクト組織が一時的なものであり、そのライフサイクル全体を管理するために設けられることが明示されています。
他の選択肢の誤り整理
選択肢 | 誤り内容 | 正しい説明 |
---|---|---|
① | 終了日未設定はプロジェクトでない | プロジェクトには開始日と終了日が必須 |
② | 範囲変更不可は誤り | 範囲変更は顧客要求や状況変化で発生 |
③ | 製品が有形のみという誤り | 成果物には無形(例:サービス)も含まれる |
⑤ | 複雑さ増加を過度に強調 | 規模拡大で複雑さ増加は一般的だが必然ではない |
感想
自称プロジェクトマネージャーのワタクシですので、この問題は問題なく解けました。
こないだも社内の試験に出たもんな・・・・。
技術士試験問題ではプロジェクトマネジメント、初のような。
品質マネジメントについては過去問にありましたが。
今後は増えそうな気がしますね。