問題
Ⅲ-24 プロジェクト管理におけるPERT (Program Evaluation and Review Technique)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① PERTは、プロジェクトを構成する作業の先行関係を表現するのに、矢線と結合点とからなる有向のネットワーク図を用いて日程を計画・管理する手法である。
② プロジェクト全体の工期(総所要日数ともいう。)から逆算して、ある結合点に遅くとも到達していなければならない限界の時刻は、その結合点の最遅結合点時刻である。
③ プロジェクトにおいて、コストがかかる作業あるいは技術上の困難な作業という特に重要な作業を結ぶ経路は、クリティカルパスと呼ばれる。
④ PERTにおいてプロジェクトの作業は、2つの結合点iとjを結ぶ1つの矢線で図示され、矢線の両端にある結合点番号の対(i, j)によって表される。
⑤ PERTで表されたプロジェクトの作業について、プロジェクトの開始時刻、すべての作業の所要時間と作業間の先行関係が与えられたとき、ある結合点の最早結合点時刻は、その結合点に最も早く到達しうる時刻である。

解答
正解は 3 になります。
問題の背景と全体像
PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、プロジェクトの作業間の依存関係と所要時間を可視化し、クリティカルパス(プロジェクト全体の工期を決定する最長経路)を特定する手法です。
本問では、PERTの基本概念や用語の定義に関する理解を問うています。
各選択肢の徹底検証
① 「PERTは矢線と結合点からなる有向ネットワーク図を用いる」
- 適切性: 適切
- 解説:
PERTでは、作業を矢線(→)、結合点(◯)で表現し、作業の前後関係を有向ネットワーク図で示します。
例えば、作業Aが完了しないと作業Bが開始できない場合、A→Bと図示します。
→ 正しい説明

② 「プロジェクト工期から逆算した結合点の限界時刻が最遅結合点時刻」
- 適切性: 適切
- 解説:
最遅結合点時刻は、プロジェクト全体の工期を遅延させないために、ある結合点に到達すべき最も遅い時刻です。
例えば、プロジェクト工期が30日の場合、最終結合点の最遅結合点時刻は30日目です。
→ 正しい説明
③ 「コストや技術的困難な作業を結ぶ経路がクリティカルパス」
- 不適切性: 不適切
- 誤りの核心:
クリティカルパスは、プロジェクト全体の工期を決定する最長の作業経路を指します。
コストや技術的困難さは関係ありません。例えば、作業A(5日)→B(8日)→C(7日)の経路が最長の場合、これがクリティカルパスとなります。
→ 誤り
④ 「作業は結合点iとjを結ぶ矢線で表され、(i, j)で識別される」
- 適切性: 適切
- 解説:
PERTでは、作業を「結合点i→結合点j」の矢線で表現し、(i, j)で作業を一意に識別します。
例えば、結合点1から結合点2への作業は(1, 2)と表記されます。
→ 正しい説明
⑤ 「最早結合点時刻は結合点に到達可能な最も早い時刻」
- 適切性: 適切
- 解説:
最早結合点時刻は、先行作業の完了を前提とした上で、その結合点に到達できる最も早い時刻です。
例えば、作業A(3日)→作業B(5日)の場合、結合点の最早時刻は8日目です。
→ 正しい説明
まとめ:技術士試験の重要ポイント
正解:③
誤りの核心
クリティカルパスは「プロジェクト全体の工期を決定する最長経路」であり、コストや技術的困難さを基準にした経路ではありません。
この点が不適切です。
クリティカルパスの定義整理
用語 | 正しい定義 |
---|---|
クリティカルパス | プロジェクトの最長経路(総所要時間) |
最遅結合点時刻 | プロジェクト遅延を防ぐための限界時刻 |
感想
PERTについてそんなに詳しくなかったけれど、クリティカルパスのところが違うな、と思ったので今日は正解。
昨日、プロジェクトマネジメント増えそう、なんて書いていきなり来て驚いた。
ちなみに今日の図の所は過去問からもってきました。
PERT、もっと調べないといけないなあ。