平成28年度 経営工学部門 Ⅲ-30PR含む
問題
Ⅲ-30 VE (Value Engineering) などで用いられる発想法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① チェック・リスト法は、発想を切り替える手口をリストしておき、それを見ながらアイデアを考えていく手法である。
② ブレインストーミングは、批判厳禁、自由奔放、量より質、組み合わせ・発展といった4つのルールに従い進められる手法である。
③ マインド・マップは、3×3の9つあるセルの中心にテーマを書き、そこから連想されるものを周りの8つのセルに記入する手法である。
④ カタログ法は、似ている点を比較する類比の考え方が用いられる手法である。
⑤ シネクティクス法は、イメージが広がりそうな画像などを用意し、それを見ながら連想して発想する手法である。

解答
正解は 1 になります。
1. VE(バリューエンジニアリング)の発想法の目的
VEでは「価値=機能÷コスト」を最大化するためのアイデア創出が求められます。
そのため、既存の枠組みを超えた発想を引き出す手法が重要です。
本問題は、発想法の特徴と適切な運用方法を正確に理解しているかを問うものです。
2. 各選択肢の理論的検証
① チェック・リスト法
内容:
「発想を切り替える手口をリスト化し、それを見ながらアイデアを考える」
解説:
- 具体的な手法:予め「縮小する」「逆転させる」「組み合わせる」などの切り口をリスト化し、各項目に沿ってアイデアを系統的に発展させる。
- VEでの活用例:既存製品のコスト削減案を、リストの項目(例:素材変更、工程短縮)に沿って検討。
適切性:◎(正しい記述)
② ブレインストーミング
内容:
「批判厳禁、自由奔放、量より質、組み合わせ・発展の4ルール」
誤りの核心:
ブレインストーミングの原則は「量より質を求める」ではなく「量が質を生む」です。
- 正しいルール:
- 批判禁止
- 自由奔放
- 量を重視
- 結合・改善
具体例:
「100個のアイデアを出した後、その中から実現可能なものを選別する」というプロセス。
適切性:×(誤った記述)
③ マインド・マップ
内容:
「3×3のセル中心にテーマを書き、周囲8セルに連想を記入」
誤りの核心:
マインド・マップは「放射状の図解」による発想法です。
中心テーマから枝分かれさせて連想を広げる手法であり、3×3のマトリックスは別手法(例:マンダラート)の特徴です。
具体例:
「新製品開発」を中心に、「機能」「デザイン」「価格」などのサブテーマを放射状に展開。
適切性:×(誤った記述)
④ カタログ法
内容:
「類似点を比較する類比の考え方を用いる」
誤りの核心:
カタログ法は「既存のアイデアやデータを収集・分類」し、組み合わせて新たな発想を引き出す手法です。
類比(アナロジー)を主眼とするのはシネクティクス法です。
具体例:
特許情報や他社製品カタログを参照し、部品の転用可能性を検討。
適切性:×(誤った記述)
⑤ シネクティクス法
内容:
「画像を見ながら連想して発想する」
誤りの核心:
シネクティクス法の核心は「強制アナロジー」です。
無関係な事象(例:自然界の構造)との類似性を強制的に結びつけ、発想を刺激します。
画像活用はビジュアル・シンキングの手法です。
具体例:
「アリの巣」の構造を参考に、物流システムの効率化を検討。
適切性:×(誤った記述)
3. 技術士試験対策のポイント
3.1 主要発想法の比較表
手法 | 特徴 | VEでの活用例 |
---|---|---|
チェック・リスト法 | 系統的な切り口で網羅的検討 | コスト削減案の多角的検証 |
ブレインストーミング | 自由なアイデア量産 | 新機能のブレークスルー案創出 |
シナリオ・プランニング | 未来の不確実性を想定 | 長期戦略のリスク検討 |
3.2 混同しやすい用語の整理
- 類比(アナロジー):シネクティクス法の核心
- 強制連想:チェック・リスト法の特徴
- 視覚化:マインド・マップの利点
4. 総括:なぜ①が正解か?
チェック・リスト法は、体系的かつ再現性のある発想を可能にします。
VEでは「機能分析」と「コスト削減」をバランスよく検討する必要があり、網羅性が求められるため、この手法が特に有効です。
他の選択肢は、手法の定義や核心を誤って説明しています。
感想
過去問でもVE関連、たくさん出てきますが今回のはちょっと毛色が違っていましたね。
これ↑に近かった。
たまたま本日は正解でした。
ちょうど先日、チェック・リスト法について調べてたからというのはあるんですが。
どんどん学んでいかねば。