問題
Ⅲ-31 ある日の設備の稼働状況について次のa~dのデータが得られたときに、設備総合効率の値に最も近いものはどれか。
[データ]
a. 機械の負荷時間は8時間であった。
b. 故障、段取り、調整などの機械停止時間が1時間20分あった。
c. 製品は1種類であり、その基準サイクルタイムは45秒である。
d. 加工数量400個のうち、16個の不適合品があった。
① 60%
② 65%
③ 70%
④ 75%
⑤ 80%

解答
正解は 1 になります。
1. 問題の概要と重要性
設備総合効率(OEE: Overall Equipment Effectiveness)は、製造現場での生産性を評価するための重要な指標です。
OEEは「時間」「速度」「品質」の3つの要素を掛け合わせて算出され、設備がどれだけ効率的に稼働しているかを総合的に評価します。
本問題では、与えられたデータをもとに設備総合効率を計算し、最も近い値を選ぶことが求められています。
OEEの計算は、製造現場の改善活動やボトルネックの特定に直結します。
2. OEE(設備総合効率)の基本構造
OEEは以下の3つの要素から構成されます:
- 時間稼働率:設備が稼働可能な時間に対して実際に稼働した時間の割合
$$ \text{時間稼働率} = \frac{\text{実稼働時間}}{\text{負荷時間}} $$ - 性能稼働率:設備が理論上のスピードで生産できる量に対して実際に生産した量の割合
$$ \text{性能稼働率} = \frac{\text{理論生産時間}}{\text{実稼働時間}} $$ - 良品率:総生産数に対して良品数が占める割合
$$ \text{良品率} = \frac{\text{良品数}}{\text{総生産数}} $$
これらを掛け合わせることで、OEEが算出されます:
$$
\text{OEE} (\%) = \text{時間稼働率} \times \text{性能稼働率} \times \text{良品率} \times 100
$$
3. 問題データの整理
3.1 与えられたデータ
- a. 負荷時間:8時間(480分)
- b. 機械停止時間:1時間20分(80分)
- c. 基準サイクルタイム:45秒/個
- d. 生産数量:400個(うち不適合品16個)
3.2 実稼働時間
負荷時間から停止時間を引きます:
$$
\text{実稼働時間} = 480 \, \text{分} – 80 \, \text{分} = 400 \, \text{分}
$$
3.3 良品数
不適合品を除いた良品数:
$$
\text{良品数} = 400 – 16 = 384 \, \text{個}
$$
4. 各要素の計算
4.1 時間稼働率
実際に稼働した時間が負荷された時間に対してどれだけかを計算します:
$$
\text{時間稼働率} = \frac{\text{実稼働時間}}{\text{負荷時間}} = \frac{400}{480} = 0.8333 \, (\approx 83.3\%)
$$
4.2 性能稼働率
基準サイクルタイムで計算される理論生産量と実際の生産量を比較します:
- 理論生産量(理論的な生産可能な時間):
$$
\text{理論生産時間} = 400個 \times 45秒 = 18,000秒 = 300\,\text{分}
$$ - 性能稼働率:
$$
\text{性能稼働率} = \frac{\text{理論生産時間}}{\text{実稼働時間}} = \frac{300}{400} = 0.75 \, (75\%)
$$
4.3 良品率
全体の生産数量に対して良品がどれだけ占めるかを計算します:
$$
\text{良品率} = \frac{\text{良品数}}{\text{総生産数}} = \frac{384}{400} = 0.96 \, (96\%)
$$
5. 設備総合効率(OEE)の算出
3つの要素を掛け合わせてOEEを求めます:
$$
\text{OEE} = 83.3\% \times 75\% \times 96\%
$$
計算すると:
$$
\text{OEE} = 0.8333 \times 0.75 \times 0.96 = 0.6 (\approx 60\%)
$$
6. 選択肢の検証
選択肢 | 計算根拠 | 適切性 |
---|---|---|
①60% | 正しいOEE計算結果 | ◎ |
②65% | 時間稼働率や性能稼働率を過大評価 | × |
③70% | 良品率や性能稼働率を誤解 | × |
④75% | 時間稼働率のみ考慮した可能性 | × |
⑤80% | 全要素を過大評価 | × |
7. 問題解決のポイントとまとめ
7.1 設備総合効率(OEE)の重要性
- OEEは製造現場で「どこに改善余地があるか」を見つけるための指標です。
- 本問題では、特に「停止ロス」「速度ロス」「品質ロス」の影響を正確に評価することが求められました。
7.2 技術士試験対策ポイント
- OEEは「時間・速度・品質」という3つの視点から構成されることを理解する。
- 各要素(時間稼働率、性能稼働率、良品率)の計算式と意味を正確に把握する。
- 問題文中で与えられるデータから必要な情報を抜き出し、単位変換ミスなどに注意する。
7.3 本問題の要点
- 時間稼働率:83.3%
- 性能稼働率:75%
- 良品率:96%
- OEE:約60%
感想
OEE、ひさしぶりです。
これ以来ですね!
この問題はうまく出来ませんでしたが・・・。
実はこの過去問、まだ書き直してないのですよね。
たしか問題を間違ってたような・・・。
2周目入るときに全部見直す予定なのでその際に!!