問題

Ⅲ-34 VMI (Vendor Managed Inventory) に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 生産活動において発生する情報を、その発生場所(機械、作業者、ジョブ)で即時に収集し必要な情報を提供する情報管理システムである。

② 都市内の物流の合理化を図ることを目的として、複数の荷主にかかわる定期的な輸送需要について、1つの輸送システムを採用する輸送方法である。

③ 発注企業とサプライヤーが情報を共有し、サプライヤーが在庫管理する方法である。

④ ジャストインタイムと自働化を基本思想とし、ムダな在庫を削減する生産方式である。

⑤ 末端の消費から上流の生産に向かうにつれて見込みによる余裕が膨らみ、過剰在庫を招く現象である。

解答

正解は 3 になります。

1. VMI(Vendor Managed Inventory)の基本概念

VMIは、サプライヤー(供給者)が発注企業(バイヤー)の在庫を管理する仕組みです。
従来の発注プロセスを転換し、両者が情報を共有することで、在庫不足や過剰在庫を防ぎます。
サプライチェーン全体の効率化を目指す手法です。


2. 各選択肢の詳細分析

① 生産現場のリアルタイム情報管理システム

誤りの核心
この説明は「MES(Manufacturing Execution System)」や「Shop Floor Control」の定義です。
VMIは在庫管理に特化した概念であり、生産現場のデータ収集とは直接関係ありません。
具体例

  • 機械の稼働状況や作業者の進捗を監視するシステム
    適切性:×(不適切)

② 都市内物流の共同輸送システム

誤りの核心
この説明は「共同配送」や「モーダルシフト」の概念です。
複数企業の荷物をまとめて輸送する手法であり、VMIの対象外です。
具体例

  • 異なる小売店の商品を1台のトラックで配送
    適切性:×(不適切)

③ 情報共有に基づくサプライヤーの在庫管理

正解の根拠
VMIの核心は「発注企業とサプライヤーが販売・在庫データを共有し、サプライヤーが在庫補充を主導する」ことです。
具体例

  • 小売店のPOSデータをサプライヤーと共有 → サプライヤーが自動的に商品を補充
    適切性:◎(正しい記述)

④ ジャストインタイムと自働化による生産方式

誤りの核心
この説明は「トヨタ生産方式(TPS)」や「リーン生産」の定義です。
VMIは在庫管理手法であり、生産プロセスの自動化やムダ削減とは異なります。
具体例

  • 工程間の仕掛品在庫をゼロに近づける取り組み
    適切性:×(不適切)

⑤ 需要変動の増幅による過剰在庫現象

誤りの核心
この説明は「ブルウィップ効果」の定義です。
VMIはこの現象を緩和する手段ですが、現象そのものを指すわけではありません。
具体例

  • 小売店の売上変動がメーカーの生産計画に過剰反映される
    適切性:×(不適切)

3. VMIの仕組みと効果

3.1 実施プロセス

  1. 情報共有:発注企業が在庫量・販売データをサプライヤーと共有
  2. 需要予測:サプライヤーがデータ分析し、最適な補充量を決定
  3. 自動補充:在庫が基準値を下回ると自動的に納品

3.2 主な効果

  • 在庫削減:過剰在庫や欠品の防止
  • 業務効率化:発注業務の負担軽減
  • CO2排出削減:輸送回数の最適化

4. 技術士試験対策のポイント

  • 類似用語の区別
  • VMI vs 共同配送 → 在庫管理 vs 輸送最適化
  • VMI vs ジャストインタイム → サプライチェーン連携 vs 生産プロセス改善
  • 具体事例の連想
  • 「POSデータ共有」「自動発注」→ VMI

5. 総括:なぜ③が正解か?

VMIの本質は「情報共有に基づくサプライヤー主導の在庫管理」です。
他の選択肢は在庫管理とは直接関係ない物流手法や生産方式を説明しています。

感想

VMIも初出ですね。

関連記事を見つけきれませんでした。

TPSやブルウィップ効果など、最近のワタクシにとってお馴染みの言葉は見られますが。

きっとVMI、これからも出てくるんだと思いますね。