問題
Ⅲ-20 ポアソン分布に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 二項分布は $$ \mu = np $$ とおいて $$ n $$ を大きくし、不適合品率 $$ p $$ を小さくするとポアソン分布に近づく。
② 二項分布は $$ \mu = n \lambda t $$ とおいて $$ n $$ を大きくし、故障率 $$ \lambda $$ と時間 $$ t $$ との積を小さくするとポアソン分布に近づく。
③ 一定時間内の偶発的な事象、偶発故障などの個数は、ポアソン分布で表される。
④ ポアソン分布の平均を2乗した値は、ポアソン分布の分散に等しい。
⑤ 指数分布のパラメータを $$ \lambda $$ とおくと、時間区間 $$ (0, t] $$ 間に到着する客の数は、パラメータ $$ \lambda t $$ のポアソン分布に従う。

解答
正解は 4 になります。
ポアソン分布の全体解説
ポアソン分布は、一定の時間や空間内で「まれに・ランダムに」発生する出来事の回数を表す確率分布です。
たとえば「1時間あたりの電話の着信回数」「1日あたりの交通事故件数」「ある区間を通過する車の台数」など、偶然発生するイベントの個数をモデル化するのに使われます。
この分布は、二項分布の特殊な場合(試行回数が非常に大きく、成功確率が非常に小さい)としても導かれます。
また、ポアソン分布の平均値と分散は同じ値(λ)になるという特徴があります。
実際の応用例としては、品質管理、コールセンターの着信数予測、医療現場での症例数の予測など、さまざまな分野で利用されています。
各選択肢の詳細解説
① 二項分布は μ = np とおいて n を大きくし、不適合品率 p を小さくするとポアソン分布に近づく。
この選択肢は正しい内容です。
二項分布(成功確率 $$ p $$、試行回数 $$ n $$)で $$ n $$ が非常に大きく、$$ p $$ が非常に小さい場合、平均 $$ \mu = np $$ を一定に保つと、二項分布はポアソン分布に近づきます。
これは「稀な事象の発生回数」を近似する際によく使われる性質です。
② 二項分布は μ = nλt とおいて n を大きくし、故障率 λ と時間 t との積を小さくするとポアソン分布に近づく。
この選択肢も正しいです。
ここで $$ \lambda t $$ は「単位時間あたりの発生率×時間=平均発生回数」を表します。
$$ n $$ を大きく、$$ \lambda t $$ を小さくすると、二項分布はポアソン分布に近づきます。
まれな故障や事故の発生回数のモデル化に使われます。
③ 一定時間内の偶発的な事象、偶発故障などの個数は、ポアソン分布で表される。
この選択肢も正しいです。
ポアソン分布は、一定時間内にランダムに発生する事象の個数(例えば、交通事故、電話の着信、製品の不良発生など)を表現するのに適しています。
④ ポアソン分布の平均を2乗した値は、ポアソン分布の分散に等しい。
この選択肢が最も不適切です。
ポアソン分布の平均と分散はどちらもパラメータ λ に等しいです。
つまり、平均 = 分散 = λ という関係です。
選択肢④では「平均の2乗 = 分散」と述べていますが、これは λ² = λ を意味し、これは λ = 0 または λ = 1 の場合しか成り立ちません。
一般的なポアソン分布では、平均 = 分散 であり、「平均の2乗 = 分散」ではありません。
ポアソン分布の平均・分散の計算式
- 平均(期待値):$$ E[X] = \lambda $$
- 分散:$$ V[X] = \lambda $$
⑤ 指数分布のパラメータを λ とおくと、時間区間 (0, t] 間に到着する客の数は、パラメータ λt のポアソン分布に従う。
この選択肢は正しいです。
指数分布は「次のイベントが発生するまでの時間」を表し、その発生率を λ としたとき、時間区間 (0, t] に到着するイベントの個数はパラメータ $$ \lambda t $$ のポアソン分布に従います。
この関係は「ポアソン過程」と呼ばれ、待ち行列理論や信頼性工学などで使われます。
ポアソン分布の性質まとめ表
性質 | 数式・内容 |
---|---|
平均(期待値) | λ |
分散 | λ |
例 | 1時間あたりの電話着信数など |
まとめ:問題の要点
- ポアソン分布は「一定時間や空間内でランダムに発生する事象の回数」を表す離散確率分布。
- 二項分布の試行回数が大きく、成功確率が小さい場合の近似としても利用される。
- ポアソン分布の重要な性質は「平均 = 分散 = λ」である。
- 「平均の2乗 = 分散」という記述は一般的には成り立たない。
- 最も不適切な選択肢は「④ ポアソン分布の平均を2乗した値は、ポアソン分布の分散に等しい」。
感想
ポアソン分布。
あんまりなじみ無いなあと思ったら過去問でも出てた(笑)


ポアソン比だったら静解析するとき出てくるのにな。
この辺、もっと勉強し直さないとわからないです・・・・。
コメント