平成30年度 経営工学部門 Ⅲ-35

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問題

Ⅲ-35 安全性の評価の1つである労働災害発生の頻度を表す「度数率」の式として、最も適切なものはどれか。

① (労働災害による費用負担総額/実労働者数)×100
② (延労働損失日数/延実労働時間数)×1,000
③ (延労働災害損失時間数/延実労働時間数)×1,000
④ (労働災害発生件数/実労働者数)×100
⑤ (労働災害による死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000

解答

正解は 5 になります。

問題の概要

安全管理やリスク評価分野では、職場で発生する「労働災害」を定量的に評価する指標として「度数率」が広く用いられています。
度数率とは、労働災害がどれだけ起こりやすい職場環境かを示す重要な数値であり、事業所の安全レベルやリスクマネジメントの成熟度を評価する基準となっています。


度数率とは何か

  • 定義
     度数率は「一定時間(通常100万時間)あたりに発生する死傷労働災害の件数」を示します。
  • 特徴
     規模の異なる事業所や産業で発生する災害件数を、労働時間で補正することで公正に比較できます。

選択肢ごとの詳細解説

① (労働災害による費用負担総額/実労働者数)×100

  • 解説
     災害によるコストや経済的損失を算出する式であり、「度数率」ではなく費用分析等に使用されます。
  • ポイント
     度数率の定義(労働災害発生頻度)とは無関係。

② (延労働損失日数/延実労働時間数)×1,000

  • 解説
     発生した災害で失われた日数を基準にした指標です。
     これは「強度率」と呼ばれ、災害による損失の程度(重症度)を測ります。
  • ポイント
     「頻度」ではなく「損失日数」を主軸にした評価。

③ (延労働災害損失時間数/延実労働時間数)×1,000

  • 解説
     損失時間(失われた作業時間)を基準とし、「強度率」の算出式です。
  • ポイント
     発生頻度ではなく、損失時間が重視されます。

④ (労働災害発生件数/実労働者数)×100

  • 解説
     「人数」を分母に置くのは発生率の一つとして用いられますが、度数率の公式には該当しません。
  • ポイント
     労働時間の規模を反映できず、公正な比較が困難。

⑤ (労働災害による死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000

  • 解説
     労働災害による死傷者数(休業4日以上※)を分子、延べ労働時間を分母に据え、百万時間(1,000,000)あたりの発生頻度を算出します。
  • ポイント
     これが「度数率」の代表的な公式であり、労働安全衛生統計等で標準的に使用されています。

度数率の計算図例

指標算出式単位
度数率(死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000100万労働時間あたりの件数
強度率(損失日数や損失時間/延実労働時間数)×1,0001,000労働時間あたりの損失度

※厚生労働省等の統計では「休業4日以上」の死傷者を度数率の計算基準とすることが一般的です。


まとめ

  • 労働災害の発生“頻度”の指標である「度数率」は、「(労働災害による死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000」で表されます。
  • 「強度率」は損失日数や損失時間を用い、度数率は発生件数や死傷者数を用いる点が重要です。
  • 正しい式を理解し、指標の違いを押さえることで、職場安全管理の基盤的知識が強化されます。
  • 度数率は業界・事業所比較に必須の“安全管理指標”です。

感想

度数率、はじめてですね。問題に出てくるの。

どうりで不正解な訳だ。

どんなものか知りませんでしたからね!

でも今回しっかりと覚えましたよ。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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