問題
Ⅲ-2 作業時間に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 作業の目的を考慮すると作業時間は、主体作業時間と準備段取作業時間とで構成される。
② 活動状態を考慮すると作業時間は、稼働時間と非稼働時間とで構成される。
③ 作業における余裕を考慮すると、作業時間は正常時間と余裕時間とで構成される。
④ 余裕時間は、休憩時間と予定外時間とで構成される。
⑤ 主体作業時間は、主作業時間と付随作業時間とで構成される。

解答
正解は 4 になります。
作業時間の分類に関する問題の概要
作業現場で「作業時間」をどのように分類し、分析するかは、業務効率化や生産性向上に直結する重要なテーマです。
技術士試験でも頻出分野であり、工場やオフィスの業務改善提案を行う際の基礎知識となります。
この問題では、作業時間の主要な区分やその内訳についての正しい知識が求められます。
各選択肢の詳細解説
① 作業の目的を考慮すると作業時間は、主体作業時間と準備段取作業時間とで構成される。
解説:
作業を目的別に分けると、大きく「主体作業時間」と「準備段取作業時間」に分かれます。
- 主体作業時間は、直接的に価値を生む作業(例:部品組立、資料作成など)を指します。
- 準備段取作業時間は、主作業のための準備や後片付けにかかる時間(例:工具の準備、材料の取り揃えなど)を指します。
この分類は、業務の無駄を見直して効率化する際にもよく用いられます。
② 活動状態を考慮すると作業時間は、稼働時間と非稼働時間とで構成される。
解説:
作業時間を「活動しているか」「止まっているか」で区分すると、以下のように整理できます。
- 稼働時間・・・実際に作業を行っている時間
- 非稼働時間・・・トラブルや材料待ちなど、作業が中断している時間
この分類方法は「稼働率」「停止率」の指標でも用いられ、生産性分析の基本フレームワークです。
③ 作業における余裕を考慮すると、作業時間は正常時間と余裕時間とで構成される。
解説:
作業標準時間の設定では、正常な作業にかかる「正常時間(純作業時間)」に加えて、実際には生理的必要や予測できない遅れなどの余裕時間を考慮しなければなりません。
- 正常時間・・・理想的・標準的な作業ペースでかかる時間
- 余裕時間・・・休憩や突発トラブルへの対応に使われる時間(余裕率で付加計算)
標準時間=正常時間+余裕時間 という計算式が典型です。
④ 余裕時間は、休憩時間と予定外時間とで構成される。
解説:
ここが不適切な選択肢となります。
- 余裕時間は通常、「職場余裕」「個人余裕」「準備余裕」「遅れ余裕」などに細分されます。
- 具体的には、「身体的・生理的休憩(個人余裕)」や、「機械の調整待ち(職場余裕)」などです。
- 「予定外時間」という区分は一般的な作業測定やJIS(日本工業規格)の分類では採用されません。
- 休憩時間は余裕時間に含みますが、「予定外時間」ではなく「遅れ余裕」や「トラブル対応時間」と表現されます。
ゆえにこの選択肢は定義・分類として正しくありません。
⑤ 主体作業時間は、主作業時間と付随作業時間とで構成される。
解説:
主体作業時間はさらに細分化できます。
- 主作業時間・・・直接成果物を生み出す作業(例:組立作業そのもの)
- 付随作業時間・・・主作業の補助的な作業(例:道具の受け渡し、軽微な調整)
このような分類により、間接業務の可視化や改善がしやすくなります。
まとめ(要点整理)
- 作業時間の正しい分類方法を理解することは、現場の生産性向上やコストダウン活動の一歩目です。
- 余裕時間の適切な内訳を知っておくことで、無駄の発見や適切な標準時間設定ができます。
- 今回の設問で問われた、「余裕時間の定義」を誤らないことが合格への近道です。
問題の要点:
「余裕時間」の中身について正しく理解しよう。
「予定外時間」という表現や分類は一般的でないので注意!
感想
作業時間に関しての問題は頻出ですね。
過去記事検索したらどさっと大量に出てきました。
代表的なのを2つ。


本日も正解でした。
あんまり耳見慣れない言葉があやしいな、と。
解き方のコツ的な物もわかってきたのかも。