令和元年度(再) 経営工学部門 Ⅲ-9

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問題

Ⅲ-9 5種類の設備M1~M5がある職場において、5つの品目A~Eを生産している。
各品目は表1の経路を通り製品が完成する。表2のフロムツウチャート(from-to chart)は各設備間の移動量、すなわち各設備間を移動する品目の生産量の合計を表している。次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【表1 各品目の経路】

品目経路
AM1 → M3 → M4
BM3 → M1 → M2
CM3 → M4 → M5
DM2 → M1 → M3
EM4 → M3 → M5

【表2 フロムツウチャート】

To M1To M2To M3To M4To M5
From M12942
From M214
From M3295525
From M42527
From M5

① M5への移動量は、M4からの移動量と等しい。
② M2からの移動量は、M1からの移動量より少ない。
③ M1とM4からの移動量の和は、M3からの移動量より多い。
④ Cの生産量は27である。
⑤ Aの生産量は42である。

解答

正解は 5 になります。

問題の全体解説

本問題では典型的な「フロムツウチャート(from-to chart)」問題について、表や移動経路を使った生産量の分析方法解説します。
この問題は複数設備間で生産品を移動させる際の「物流/工程分析」「流量計算」「表からの情報読み取り」といったポイントが詰まっており、実務でも必須の知識です。

設備・品目・経路の関係

この問題では、設備M1~M5があり、それぞれA~Eの品目を決まった経路(表1)で移動・加工しながら生産しています。各品目は、生産途中でいくつかの設備を順に通ります。
また「フロムツウチャート(表2)」は、設備間の移動量=各設備から他設備への品目の合計生産量を数字で示しています。
例えば、【FromM1→ToM3=42】は「M1からM3へ42個の品目が移動した」ことを意味しています。


移動経路を図で整理

表1経路を図示すると下記のような流れです:

  • A:M1 → M3 → M4
  • B:M3 → M1 → M2
  • C:M3 → M4 → M5
  • D:M2 → M1 → M3
  • E:M4 → M3 → M5

これらの品目が、一部設備を複数回通ることなく、それぞれ所定の工程を順に経由して完成します。


フロムツウチャートの使い方

表2のようなチャートは「行は出発設備」「列は到達設備」を示し、交点の数字が「その経路上の移動量(合計生産数量)」です。
例えば、「From M1/To M2=29」なら、M1からM2へ29個移動しています。
この集計は、全品目の経路・生産量を足し合わせた結果です。


選択肢ごとの詳細解説

① M5への移動量は、M4からの移動量と等しい。

【検証】

  • M5への移動量(全体)
    • フロムツウチャート「To M5」の合計を見ます
      • M3→M5:25M4→M5:27
    M5への合計移動量=25+27=52
  • M4からの移動量
    • フロムツウチャート「From M4」の合計を見ます
      • M4→M3:25M4→M5:27
    M4からの合計移動量=25+27=52

つまり、「M5へ移動する総量」と「M4から移動する総量」はともに52で等しくなっています。
よって正しい。


② M2からの移動量は、M1からの移動量より少ない。

【検証】

  • M2からの移動量(”From M2″の合計):To M1 =14(他は0)
  • M1からの移動量(”From M1″の合計):To M2=29、To M3=42、合計71
  • よって M2からの移動量14<M1からの移動量71
    この記述は正しい。

③ M1とM4からの移動量の和は、M3からの移動量より多い。

【検証】

  • M1からの合計:To M2=29、To M3=42 →計71
  • M4からの合計:To M3=25、To M5=27 →計52
  • M1+M4合計:71+52=123
  • M3からの合計:To M1=29、To M4=55、To M5=25 →29+55+25=109

→M1とM4からの合計123>M3からの合計109
よって記述③は正しい。

④ Cの生産量は27である。

【検証】

  • Cの経路は、M3→M4→M5である。フロムツウチャートでM3→M4=55、M4→M5=27となっている。ここで「Cの生産量」を「M4→M5の移動量27」で判定できるかを検討する必要がある。
  • 「M3→M4の流量55」は、Aの経路(M1→M3→M4)とCの経路(M3→M4→M5)による合流で発生した数値である。一方「M4→M5の流量27」についても、CとEが通過する可能性を考慮しなければならない。
  • Eの経路を確認すると「M4→M3→M5」であり、EはM4からM3へ25移動し、その後M3からM5へ25移動している。つまりEは「M4→M5」を直接通過していない。したがって「M4→M5=27」はCのみの流量となる。

この分析により、Cの生産量は27であるという記述は正しいと判断できる。

⑤ Aの生産量は42である。

【検証】

  • Aの経路:M1→M3→M4
  • M1→M3の移動量は42(表2)、よってAの生産量は42と考えられる
  • この記述は正しそうだが、表2の流量は「全品目合計」であり、他品目(D: M2→M1→M3)も同じ経路(M1→M3)を使う
  • DがM1→M3に流れる個数が別にある場合、Aのみではない可能性あり
  • 実際にM2→M1が14、M1→M3が42であるが、DがM1→M3に流れる個数はM2→M1の14であり、A・Dが合流してM1→M3の42に到達
  • つまり、AはM1→M3→M4で、M1→M3の流量全体がAとは限らない
  • よって「Aの生産量は42である」は誤り(不適切)。

まとめ・重要キーワード

今回の問題の論点は、「設備間の経路分析」と「移動量集計」です。「フロムツウチャート」の読み方、品目経路ごとの品目数分解、合計生産量と個別生産量の違いに注目しましょう。

  • 【不適切】は⑤Aの生産量は42である(”A”のみでなく、他品目(D)も含む可能性が高いため)。

感想

今回は不正解だったので解説に時間かけました。

だいぶスッキリしてきたけど、次出るとまた間違えそうな気もする・・・・。

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そういえば過去問でも手を焼いたのだった。

過去問解き直して再掲したらいいかな??

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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