令和元年度(再) 経営工学部門 Ⅲ-22

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問題

Ⅲ-22 正規分布の平均又は分散を推定又は検定する方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 分散が既知のとき、与えられた値と平均を比較する統計的検定では、標準正規分布の分位点の値が用いられる。

② 分散が未知のとき、平均の信頼区間を求めるには、t分布の分位点の値が用いられる。

③ 二つの対応のある測定の平均の差の期待値に関する検定で、差の分散が既知のときは、t分布の分位点の値が用いられる。

④ 与えられた値と分散を比較する統計的検定では、カイ二乗分布の分位点の値が用いられる。

⑤ 二つの分散を比較する統計的検定では、F分布の分位点の値が用いられる。

解答

正解は 3 になります。

問題の概要

この問題は「正規分布の平均や分散を推定・検定する方法」について問うもので、統計的検定や推定の際に、どの分布の分位点(分布の特定の値)を使うべきかを理解しているかを試す内容です。
選択肢に用いられているキーワードは、大学1年程度の基礎統計で頻出します。
本問で問われている「分位点」とは、検定統計量(例:Z値やt値など)が、“どこまで大きければ有意とみなせるか”を判定する基準値です。


各選択肢の詳細解説

① 分散が既知のとき、与えられた値と平均を比較する統計的検定では、標準正規分布の分位点の値が用いられる。

解説
分散(または標準偏差)が既知の場合、母平均と標本平均の差の検定にはZ検定(標準正規分布)が用いられます。
この場合、正規分布(Z値)に基づいて「有意かどうか」を判断します。
たとえば、

$$Z = \frac{\bar{x} – \mu}{\sigma/\sqrt{n}}$$

で計算されるZ値が標準正規分布の分位点(たとえば“1.96”など)より大きければ有意と判定します。

補足
「分散が既知」なのは現実には少ないですが、理論的には確定的な母集団を前提とする場合、Z値=標準正規分布を使います。


② 分散が未知のとき、平均の信頼区間を求めるには、t分布の分位点の値が用いられる。

解説
分散(標準偏差)が未知の場合、通常は標本の分散から推定する必要があります。
この時には母平均に関する推定や検定にt分布が使われます。

$$\text{t値} = \frac{\bar{x} – \mu}{s/\sqrt{n}}$$

このt値がt分布(自由度=n-1)の分位点を超えるかで、有意性や信頼区間を判定します。

補足
母分散未知が現実的ケース。平均推定や1標本t検定はほぼこのケースです。


③ 二つの対応のある測定の平均の差の期待値に関する検定で、差の分散が既知のときは、t分布の分位点の値が用いられる。

解説
「二つの対応のある測定」とは、同一人物の前後比較・同じ対象の2回測定等を指します。
差の分散が“既知”なら、本来はZ分布の分位点(標準正規分布)を使うのが原則です。
t分布は差の分散が“未知”のときに使います。

不適切ポイント
本選択肢は「差の分散が既知」なのに「t分布を使う」としているため、誤りです。
標準正規分布(Z値)を使うべきです。


④ 与えられた値と分散を比較する統計的検定では、カイ二乗分布の分位点の値が用いられる。

解説
分散の推定や検定で、母分散の値と標本分散を比較したい場合にはカイ二乗分布(χ²分布)を使います。
たとえば:

$$\chi^2 = \frac{(n-1) s^2}{\sigma^2}$$

このχ²値をカイ二乗分布の分位点と比較して有意か判定します。


⑤ 二つの分散を比較する統計的検定では、F分布の分位点の値が用いられる。

解説
二つの標本分散が等しいかどうか比較する場合、F分布が用いられます。
(例:等分散性の検定=F検定)

$$F = \frac{s_1^2}{s_2^2}$$

このF値がF分布の分位点(自由度に応じて変化)より大きい場合、有意差ありと判定します。


まとめ・要点整理

  • Z分布(標準正規分布)は分散が既知の場合の平均に関する推定・検定に使う。
  • t分布は分散が未知の場合(特に平均の信頼区間や平均の差の検定)に使う。
  • 対応のある測定(二つの測定値の差)の検定で「差の分散が既知」の場合は、本来Z分布を用いる(選択肢③が誤り)。
  • カイ二乗分布は分散の検定・推定に使う。
  • F分布は二つの分散の比較(等分散性の検定)に使う。

核心キーワード強調
本問の“不適切”選択肢は「③:対応のある測定の差の分散が既知でもt分布を使うとした点」です。
分位点(Z分布、t分布、カイ二乗分布、F分布)、母分散既知・未知、平均の差、対応のある測定、統計的検定などの理論が根本となります。

感想

またしてもウロ覚え状態で消去法にて正解。

もっとしっかり理解しないとね。

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正規分布、今までもたくさん出てきていますが過去問で今回の問題に近いのは見つけきれず。

上記問題はキーワード的に近しいけれどこういう応用問題の方が解きやすいな。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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