令和元年度(再) 経営工学部門 Ⅲ-23

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問題

Ⅲ-23 JIS Q 31000:2019のリスクマネジメント指針におけるリスクマネジメントの原則に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① リスクマネジメントは、組織の保護のためには不可欠な活動であるが、それ自体が組織の目的達成・パフォーマンス改善に寄与しない場合がある。

② リスクマネジメントは、組織の全ての活動に統合されている。

③ 組織の外部及び内部の状況の変化に伴って、リスクが出現、変化又は消滅することがある。

④ リスクマネジメントのインプットは、過去及び現在の情報、並びに将来の予想に基づく。

⑤ リスクマネジメントは、学習及び経験を通じて継続的に改善される。

解答

正解は 1 になります。

概要解説

JIS Q 31000:2019」は、国際的なリスクマネジメント(リスク管理)の標準規格「ISO 31000」に準拠した、日本産業規格です。
リスクマネジメントとは、事業の運営やプロジェクト実施など、あらゆる活動における「リスク(不確実性)」を認識し、それに適切に対応する管理活動のことです。

組織が目標を達成する上で、リスクマネジメントは単なる「防御」のためだけでなく、「目的達成」「パフォーマンス向上」「価値創造」にも直結する重要な活動とされています。
そのため、組織全体の戦略や日常の業務と密接に関わるものです。

この問題は、JIS Q 31000:2019が示す「リスクマネジメントの原則」の正しい理解を問うものです。
与えられた記述のうち、最も「不適切」なものを選ぶ問題です。


選択肢ごとの詳細解説

選択肢1

「リスクマネジメントは、組織の保護のためには不可欠な活動であるが、それ自体が組織の目的達成・パフォーマンス改善に寄与しない場合がある。」

  • 解説
    この記述は不適切です。
    JIS Q 31000:2019では、リスクマネジメントの目的は「組織の価値の創造および保護」とされています。
    つまり、リスクマネジメントは単なる防御策ではなく、組織の目的達成やパフォーマンス改善そのものにも貢献するものと明言されています。
    リスク管理を適切に行うことで、機会を捉え、事業の成長や効率向上、競争力の強化に資するためです。
  • ポイント
    リスクマネジメントの役割は、「組織の保護」だけでなく「目的達成」や「パフォーマンス改善」にも直接的に結びつくということが重要です。
    このため、「それ自体が寄与しない場合がある」という表現は誤りです。

選択肢2

「リスクマネジメントは、組織の全ての活動に統合されている。」

  • 解説
    この記述は適切です。
    JIS Q 31000:2019では、「リスクマネジメントを組織の全体的な管理システム、方針、文化に統合すること」が重要原則とされています。
    これにより、特定の部門だけでリスク管理を行うのではなく、経営から現場レベルまで全ての活動にリスクマネジメントが組み込まれることが推奨されています。
  • ポイント
    「全ての活動に統合されている」というのは、リスクマネジメントが組織の日常業務の一部になるべき、という指針に合っています。

選択肢3

「組織の外部及び内部の状況の変化に伴って、リスクが出現、変化又は消滅することがある。」

  • 解説
    この記述は適切です。
    リスクは固定的なものではなく、組織の内外の状況や環境の変化、技術革新、市場の動向といった影響を受けて常に変動します。
    JIS Q 31000:2019でもこの考えが明記されています。
    リスクマネジメントはこうした変化に対応し、定期的にリスクを見直すことが求められます。
  • ポイント
    「変化に伴ってリスクが変動する」というダイナミックな視点が、現代のリスクマネジメントの基本です。

選択肢4

「リスクマネジメントのインプットは、過去及び現在の情報、並びに将来の予想に基づく。」

  • 解説
    この記述は適切です。
    JIS Q 31000:2019の原則では、「意思決定の根拠となるインプット」として、過去や現在の情報だけでなく、将来の予測値や想定も重視しています。
    過去の失敗だけでなく、これから起こりうるリスクやチャンスを予測し、先手を打つことが効果的なリスクマネジメントにつながります。
  • ポイント
    「過去・現在・未来」全てのデータや情報を総合的に判断材料とする姿勢が重要です。

選択肢5

「リスクマネジメントは、学習及び経験を通じて継続的に改善される。」

  • 解説
    この記述も適切です。
    リスクマネジメントは一度設定すれば終わりではなく、「学習」と「経験」を活かして継続的に見直し、改善していくプロセスです。
    これはJIS Q 31000の「継続的改善」の原則と一致します。
  • ポイント
    リスク管理はPDCAサイクルと同様に「継続的改善」が大前提となっています。

まとめ

  • JIS Q 31000:2019におけるリスクマネジメントは、「組織の目的達成やパフォーマンス向上」に直結する積極的かつ戦略的な活動である。
  • リスクマネジメントは、組織の全ての活動に組み込むべきもの。
  • リスクは、内外の状況の変化によって絶えず変動するため、継続的な見直しと改善が求められる。
  • 適切なリスクマネジメントは、過去・現在・未来の多角的な情報を基に実施される。
  • 不適切な記述は「リスクマネジメントが目的達成・パフォーマンス改善に寄与しない場合がある」とする1番の選択肢で、リスクマネジメントの本質を正しく捉えていない点に注意。

感想

リスクマネジメントという語句は過去問にも登場しますが

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JIS Q 31000:2019としてはお初ですね。

そうねえ、リスクマネジメント。

本業でももっとしっかりやらなきゃとハッパかけられているところです。

わかっちゃ居るけど・・・ってやつかな。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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