令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-3

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問題

Ⅲ-3 作業速度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 作業速度は作業ペースともいい、作業を遂行する速さのことである。

② 平均刺激ペースは、平均的な作業者が刺激給制度のもとで集中して作業するときの平均的な作業ペースのことである。

③ 正常作業ペースとは、平均的な作業者が十分な監督のもとで普通に努力して作業するときの作業ペースをさしている。

④ 作業ペースのうち動作の速度は、努力、熟練、そして作業場の条件などによって影響を受ける。

⑤ 平均刺激ペースは、一般に正常作業ペースの1.25倍が用いられる。

解答

正解は 2 になります。

問題の概要

経営工学(IE)における「作業速度(作業ペース)」の概念は、標準時間(Standard Time)を算出するプロセスにおいて極めて重要です。
標準時間は「その仕事に適性を持ち、習熟した作業者が、所定の作業条件のもとで、正常な作業ペースによって、仕事をやり遂げるのに必要な時間」と定義されます。

ここで課題となるのが、観測した作業者の速度が「速すぎる」のか「遅すぎる」のかを客観的に評価することです。
この評価手続きをレーティング(Rating)と呼びます。

レーティングを行うための基準尺度には、主に以下の2つがあります。

  1. 正常作業ペース(Normal Pace):
    過度の疲労を与えず、かつ特別な刺激(報奨金など)がない状態で、平均的な作業者が持続的に発揮できる速度です。
    100%の基準とされることが多いです。
  2. 平均刺激ペース(Incentive Pace):
    刺激給(インセンティブ)制度のもとで、作業者が意欲的に、かつ集中して作業を行った際に発揮される速度です。
    正常作業ペースよりも高いパフォーマンスを指します。

これらのペースを正しく理解することは、公平な目標設定や生産計画の精度向上に直結します。

各選択肢の詳細解説

① 作業速度は作業ペースともいい、作業を遂行する速さのことである。

この記述は適切です。
作業速度(Working Speed)は一般に作業ペースと同義で扱われます。
これは単に手が速く動いているかという「テンポ」だけでなく、作業全体の遂行効率を含めた概念として定義されます。

② 平均刺激ペースは、平均的な作業者が刺激給制度のもとで集中して作業するときの平均的な作業ペースのことである。

この記述は不適切です。
用語の定義における「主語」が異なります。
平均刺激ペースとは、刺激給制度のもとで「最高の能率を発揮する、熟練した作業者」を想定した概念ではなく、刺激給によって「期待される平均的なパフォーマンス」を指すものですが、一般にIEの学術的な定義では、刺激ペースは「刺激に反応する能力を持つ作業者」を対象としています。
さらに、実務的なひっかけとして、刺激ペースの定義には「平均的な作業者」という表現よりも、その制度下で「正常に機能している状態」を重視する傾向があります。
本問においては、より正確な定義を問う意図が含まれています。

③ 正常作業ペースとは、平均的な作業者が十分な監督のもとで普通に努力して作業するときの作業ペースをさしている。

この記述は適切です。
これは米国生産性本部(APICS)や国際労働機関(ILO)などの定義に準拠した表現です。
十分な監督」と「普通の努力」という条件が揃ったときの速度が、標準時間を決める際の100%基準(正常値)となります。

④ 作業ペースのうち動作の速度は、努力、熟練、そして作業場の条件などによって影響を受ける。

この記述は適切です。
これはレーティング手法の一つであるウェスティングハウス法(Westinghouse System)の考え方に通じます。
作業ペースは、本人の「努力(Effort)」や「熟練度(Skill)」だけでなく、照明や室温、治工具の使いやすさといった「作業条件(Conditions)」、さらに作業の「一貫性(Consistency)」の4要素によって変動します。

⑤ 平均刺激ペースは、一般に正常作業ペースの1.25倍が用いられる。

この記述は適切です。
刺激給制度(インセンティブ制度)を設計する際、正常なペース(100%)に対して、刺激を与えた場合に期待されるペースは一般に125%(1.25倍)と設定されるのが通例です。
これを「100-125尺度」と呼び、多くの企業やIEの基準として採用されています。

追加解説

レーティングの客観性を高めるために、現場では「基準映像」を用いた訓練が行われます。
例えば、時速$$4.8\text{km}$$(時速3マイル)で歩く動作や、トランプ52枚を$$0.5$$分で4つの枠に配る動作などを「正常作業ペース」として目に焼き付け、それと比較して観測対象がどの程度の比率にあるかを判定します。
また、選択肢④で触れた影響要因のうち、「熟練」は動作の滑らかさや迷いのなさに現れ、「努力」は作業への集中度や意欲に現れます。
これらを総合的に判断するスキルが、経営工学技術者には求められます。

まとめ

  • 正常作業ペースは、普通の努力で持続可能な100%の基準速度である。
  • 平均刺激ペースは、インセンティブによって引き出される1.25倍(125%)の速度である。
  • 作業ペースは、努力・熟練・作業条件・一貫性の4要素(ウェスティングハウス法)で評価される。
  • レーティングは、観測時間を標準時間に修正するために不可欠なプロセスである。

感想

本日も正解でした。

このあたりはさすがにわかりやすい。

とはいえワタクシの場合その日の気候とかで間違ったりも、する(笑)

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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