令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-3

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目次

問題

Ⅲ-3 標準化に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 標準化は,単純化と専門化とともに企業活動を効率的に行うための考え方である3Sの1つである。

② 標準化とは,設計,計画,業務,データベースなどの活動で繰り返しに共通に用いるために標準を設定し,標準に基づいて管理を行うことである。

③ 標準化の水準には,国際標準化,地域標準化,国家標準化,そして地方標準化などがある。

④ 一企業内における社内標準化は,その目的に沿って行われているものであり,一国の産業界全体や国民全体を対象にしたものではない。

⑤ 標準化がもたらす重要な利益は,方法及びサービスの意図した目的に対する適切性の改善,貿易上の障害の防止であり,技術協力に対しては有効ではない。

解答

正解は 5 になります。

標準化に関する問題の概要

本問題は、標準化についての正確な理解を問うものです。
標準化は企業や社会、製品、サービスの品質や効率を高めるための基盤であり、経営工学分野でも極めて重要な概念です。
各選択肢の内容を一つずつ丁寧に確認し、どれが不適切な記述かを見極めます。


各選択肢の詳細解説

① 標準化は,単純化と専門化とともに企業活動を効率的に行うための考え方である3Sの1つである。

  • 「3S」とは、「単純化(Simplification)」「標準化(Standardization)」「専門化(Specialization)」の頭文字をとったものです。
  • この3つは、業務効率や生産性向上のための基本的な考え方であり、標準化はその一要素です。
  • 標準化によって作業やプロセスがパターン化され、属人性が減少し、業務の流れが単純でわかりやすくなります。

→ この記述は正しいと言えます。


② 標準化とは,設計,計画,業務,データベースなどの活動で繰り返しに共通に用いるために標準を設定し,標準に基づいて管理を行うことである。

  • 標準化(Standardization)は、同じ作業やプロセスを複数回おこなう際、一定の基準(標準)を設けて管理や運用を統一することです。
  • 設計、計画、業務、データなどの様々な分野で有効となり、品質向上や効率化、ミスの削減が実現します。
  • 典型例はマニュアル作成や手順書、運用ガイドラインなどです。

→ この記述も誤りはありません。


③ 標準化の水準には,国際標準化,地域標準化,国家標準化,そして地方標準化などがある。

  • 標準化には様々な「レベル」が存在します。
    • 国際標準化:ISOやIECなど、国際的に共通して使われる規格。
    • 地域標準化:EUなど、特定の地域で統一される規格。
    • 国家標準化:JIS(日本)、ANSI(アメリカ)など一国単位で定める規格。
    • 地方標準化:自治体や地域レベルで特有のルールやガイドラインを設ける場合。
  • これらは実際の産業・行政運用でも使い分けられています。

→ 記述内容は事実に合致しています。


④ 一企業内における社内標準化は,その目的に沿って行われているものであり,一国の産業界全体や国民全体を対象にしたものではない。

  • 社内標準化(Internal Standardization)は、各企業ごとに独自に策定されるものです。
  • 目的や経営方針、実情に合わせて最適化されるため、国全体や業界全体の標準とは異なります。
  • 社内標準は、現場の効率や品質を内部的に担保するためのもの。

→ この記述も妥当です。


⑤ 標準化がもたらす重要な利益は,方法及びサービスの意図した目的に対する適切性の改善,貿易上の障害の防止であり,技術協力に対しては有効ではない。

  • 標準化の重要な利益には次の2点があります。
    1. 適切性の向上:仕様や品質が一定になることで、目的に合致した製品やサービスの提供がしやすくなる。
    2. 貿易障害の軽減:各国で共通の規格を持つことで、輸出入時のトラブルや再設計コストが削減され、スムーズな取引が可能になる。
  • しかし、技術協力にも大いに有効です。標準化された技術をベースに、異なる企業・国同士が協力しやすくなり、新たな技術発展や互換性のある開発が推進されます。
  • よって「技術協力に対しては有効ではない」という部分は誤りであり、この選択肢が不適切です。

まとめ(要点強調)

  • 標準化は、企業や業界、社会全体の品質や効率化、互換性を支える必須の概念。
  • 「3S(単純化・標準化・専門化)」は、組織運営や業務効率化の核となる考え方。
  • 標準化には国際・国家・地域・社内など多様な水準があり、規模や目的ごとに最適なアプローチが取られる。
  • 標準化の利益は品質向上・効率化・貿易の円滑化・技術協力の促進など多岐にわたる。
  • 技術協力にも標準化は大きな役割を果たしており、「技術協力に対して有効ではない」という記述は誤りである。

図表:標準化の水準とメリット

標準化の水準具体例
国際標準化ISO、IEC
地域標準化欧州規格(EN)
国家標準化JIS、ANSI
地方標準化地方自治体ガイドライン
社内標準化社内マニュアル
標準化の主なメリット
品質や安全性の安定確保
業務プロセスの効率化
コスト削減/資源の最適利用
世界市場での製品・サービス展開の容易化
技術協力・共同開発の促進

感想

標準化も実によく出てきます。

今日の問題も正解でした。

しっかり全部知ってるわけではなく、過去にもあったなあ、なんて考えて選択しました。

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過去問もたくさんあるので一部抜粋。

今後も標準化、たくさん出てくることでしょうね!!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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