問題
Ⅲ-4 段取作業や段取時間に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
① 段取時間は準備時間ともいい、その仕事のために行われる機械設備、工具、治具などを用意したり、元の状態に戻すような時間のことである。
② シングル段取とは、1人で段取作業を行うことである。
③ 内段取時間の短縮は、多種少量生産に対して少種多量生産により近い工程編成や管理体制をとることができる。
④ 外段取時間の短縮は、人件費の削減などの効果を図ることができる。
⑤ 段取時間の短縮は、小ロット生産を可能にし、生産期間の短縮、在庫の最小化などをもたらす。

解答
正解は 2 になります。
段取作業・段取時間に関する理解
段取作業・段取時間とは
製造現場では、次の作業や製品をすぐ始めるための「準備作業」が必要となります。
この準備作業の時間が「段取時間(たんどりじかん)」です。
例えば機械の工具交換や治具の設置、材料の用意、終わった後の元の状態への復旧など、製品Aから製品Bへの切り替え時に発生するすべての準備作業が該当します。
この段取時間をいかに短縮するかが、生産の効率化やコスト削減に直結します。
各選択肢の詳細解説
① 段取時間は準備時間ともいい、その仕事のために行われる機械設備、工具、治具などを用意したり、元の状態に戻すような時間のことである。
この記述は「段取時間」の正しい定義です。
段取時間は、製造ラインの切り替えや新しい生産のために必要な、設備や工具、治具などの準備や、元の状態への復旧作業にかかる時間を指します。
「準備時間」と同じ意味合いで使われることが多いです。
ポイント:
- 機械の再設定や工具交換、治具の設置・撤去が含まれる
- 製品切替時には必ず発生するプロセス
② シングル段取とは、1人で段取作業を行うことである。
この記述は誤りです。
正しくは、「シングル段取(SMED)」とは、段取り(セットアップ)を10分未満(ワンケタ:シングル)に短縮する考え方・手法のことです。
「シングル=一人」ではなく、「シングル=ワンケタの時間」を意味します。
例えば段取り替えに30分かかっていた現場を、工夫によって9分まで短縮できれば、それは「シングル段取」です。「一人作業」かどうかは無関係です。
ポイント:
- シングル段取:セットアップ作業の所要時間を「10分未満」にすること
- SMED(Single Minute Exchange of Die)の略
- 人数ではなく、所要時間の短縮が本質
③ 内段取時間の短縮は、多種少量生産に対して少種多量生産により近い工程編成や管理体制をとることができる。
この記述は正しいです。
「内段取」とは、機械が止まっている間だけしかできない段取り作業のことです。
この内段取を短縮できれば、切替時間が減るため、効率が上がり、「多種少量」の生産でも、「少種多量」生産に近い効率的な運用が可能になります。
ポイント:
- 内段取:機械停止中にしかできない準備作業
- 内段取短縮→段取時間短縮→段取回数が多い場合も効率維持
④ 外段取時間の短縮は、人件費の削減などの効果を図ることができる。
この記述も正しい内容です。
「外段取」は、機械が動いていても実施できる段取り作業を指します。
外段取の作業効率が上がれば、準備時間が減り、ムダな待ち時間や人員の非効率運用が抑えられます。
その結果、人件費の削減や生産コスト低減に繋がります。
ポイント:
- 外段取:機械稼働中にできる準備作業
- 外段取を減らす=現場の段取り数や人手の最適化、人件費の抑制
⑤ 段取時間の短縮は、小ロット生産を可能にし、生産期間の短縮、在庫の最小化などをもたらす。
この記述も正しい内容です。
段取り時間を短くできれば、切替え頻度が増えても生産効率低下が少なく、小ロット生産が現実的に可能となります。
また生産リードタイムも短くなり、最適な在庫量に抑えることができます。
ポイント:
- 段取短縮→切替頻度の増加に対応
- 小ロット・短納期・在庫圧縮が実現
図解|内段取・外段取と段取短縮の効果
[生産工程イメージ]
|---外段取---| ←(機械を止めずにできる準備)
[機械停止] |---内段取---| ←(機械停止中にしかできない準備)
段取短縮前
[外段取][内段取(20分)][外段取]
↓
段取短縮後(内段取5分、外段取分担)
[外段取][内段取(5分)][外段取]
まとめ: 段取時間短縮の重要性と現場改善
- 段取時間は、生産現場での切替作業の準備時間で、工程改善や効率化のカギ。
- 内段取・外段取の違いを把握し、段取作業を見直すことが生産現場の最大効率化につながる。
- シングル段取は「一人作業」ではなく、「10分未満の段取」に短縮する手法であり、設備改善・作業分担・手順の見直しなどが必要。
- 段取短縮によって小ロット生産、生産リードタイムの短縮、在庫の最小化、人件費削減など、さまざまなメリットを得ることができる。
- 生産現場の実務でこうした知識を応用することが、現場改善やコスト競争力の強化につながる。
感想
今日も正解でした。
が、ワンケタって言葉、使ったこと無かったな。
明日から使ってみるか(笑)


過去問でも類似のものはあり。
頻出問題ですね。