令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-5

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問題

Ⅲ-5 稼働分析におけるワークサンプリングに関する次の記述のうち、最も適切なのはどれか。

① ワークサンプリングは、連続観測法による稼働分析に分類される。

② この手法の特長の1つとして、観測者が複数人必要であるが訓練はそれほど必要としない点が挙げられる。

③ 本観測を行う前に、観測対象の出現率を推定するために予備観測を行う。

④ 理論的な推定値が20%のとき、相対誤差10%までを許容するときは、10%~30%を誤差範囲とすることを意味する。

⑤ 誤差の許容範囲を5%としたとき、一般に相対誤差の誤差範囲の方が絶対誤差の誤差範囲より広い。

解答

正解は 3 になります。

稼働分析におけるワークサンプリング解説

ワークサンプリングとは、現場や作業現場などの稼働状況を把握するための観測手法の一つです。
不規則に選んだタイミングで観測を繰り返し行い、全体の作業割合や非稼働(ムダ)などを統計的手法で推定します。
短時間に多くのデータを必要としないため、多品種少量生産現場や変動の多い工程分析に適しています。
本問題では、このワークサンプリングの特徴や運用の理解が問われています。


選択肢ごとの詳細解説

① ワークサンプリングは、連続観測法による稼働分析に分類される。

  • 解説
    ワークサンプリングは「間欠観測法(サンプリング観測法)」に分類されます。
    「連続観測法」とは、作業の始まりから終わりまで連続して観測し続ける方法です。
    一方でワークサンプリングは、一定間隔や不規則なタイミングで“間欠的”に観測を行い、その結果から全体像を推定します。
    このため、連続観測法とは本質的に異なります。
  • ポイント
    ワークサンプリングの最大のメリットは、観測者の負荷を軽減しつつ全体傾向を把握できる点です。
    連続観測では膨大な時間が必要となりますが、サンプリング手法では短時間・省コストで実態把握が可能です。

② この手法の特長の1つとして、観測者が複数人必要であるが訓練はそれほど必要としない点が挙げられる。

  • 解説
    ワークサンプリングは、少数の観測者でも実施可能で、複数人が必須となるわけではありません。
    また、観測内容や作業分類のルールを正確に理解し、観測結果を正確に記録するためには、一定の訓練が必要です。
    「複数人必須」「訓練不要」という内容はこの観測法の本質を捉えていません。

③ 本観測を行う前に、観測対象の出現率を推定するために予備観測を行う。

  • 解説
    正しい記述です。
    ワークサンプリングの計画段階では、適切な観測回数観測スケジュールを決めるために予備的な観測を実施します。
    この予備観測によって「対象となる作業や現象がどれくらいの割合で発生するか」を推定し、その結果を基に本番観測時のサンプリング数や間隔を決定します。
    また、「必要な観測回数」の計算にもこの予備データが使用されます。
  • 図表例: 観測手順のフロー
ステップ概要
予備観測実際の現場で短期間の観測を行う
出現率の推定予備観測で得られた割合を計算する
サンプリング設計必要観測回数・観測間隔を決定する
本観測計画に基づき本格的に観測を実施する
結果の分析観測データをとりまとめ、傾向を推定

④ 理論的な推定値が20%のとき、相対誤差10%までを許容するときは、10%~30%を誤差範囲とすることを意味する。

  • 解説
    相対誤差10%とは、「推定値(20%)の±10%」なので、「20%×0.1=2%」ずつ上下に幅が出ます。
    正しい誤差範囲は、18%~22%となります。
    10%~30%とするのは絶対値として±10%の誤差と混同している典型的な間違いです。
  • ポイント
    例えば、推定値がppp、許容相対誤差が\(\alpha\)の場合、
    誤差範囲は \((1-\alpha)p\)~\((1+\alpha)p\) となります。
    本問では \(p=0.2\)、\(\alpha=0.1\) なので、0.18~0.22が正しい範囲。

⑤ 誤差の許容範囲を5%としたとき、一般に相対誤差の誤差範囲の方が絶対誤差の誤差範囲より広い。

  • 解説
    相対誤差と絶対誤差の意味を混同した誤り。
    一般には、相対誤差の許容範囲は(推定値自体が大きくない場合)、絶対誤差よりも狭くなる場合が多いです。
    例えば、推定値が小さい場合(5%など)だと、相対誤差5%分は絶対誤差0.25%となり、絶対誤差5%よりもかなり狭い範囲となります。

まとめ

  • ワークサンプリングは、作業・工程の実態把握や稼働率推定に使われる間欠観測法である。
  • 観測計画では予備観測による出現率推定が鍵となり、適切なサンプリング設計につながる。
  • 相対誤差絶対誤差の違いをしっかり理解する必要がある。
  • 本問の正答は③であり、「事前予備観測で率を推定する」ことが最も重要なポイントである。
  • 間違いやすいのは観測法の分類や誤差の概念。「間欠観測」「観測計画」「誤差範囲計算」などが頻出キーワード。

感想

ワークサンプリング、得意な分野ではないけど今日も正解でした。

ここ数日好調です。

とはいえ④、⑤はさっぱりわからなかったのでしっかり勉強しないと。

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過去問でもちらほら。

勉強しておいて損はないですね。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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