令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-6

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問題

Ⅲ-6 以下に示すa~cの【条件】でライン生産を行っている職場に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【条件】
a.各工程の作業時間(分)は、それぞれ第1工程4.2、第2工程4.3、第3工程4.5、第4工程5.0である。
b.最大の作業時間をサイクルタイムとして運用する。
c.各工程の作業者は、それぞれ1名である。

① ラインの稼働効率は、90%である。

② ラインのバランスロスは、10%である。

③ 第4工程を改善し、作業時間が4.9分となった場合、単位時間当たりの生産量は減少する。

④ 第1工程の作業時間を短縮すると、現状の工程稼働効率は減少する。

⑤ ボトルネック工程の作業時間を1割短縮したとき、ライン全体の手待ち時間は減少する。

解答

正解は 3 になります。

問題の概要

この問題は、生産ラインに関する典型的な「ラインバランシング」「工程の作業時間(サイクルタイム)」「稼働効率」など、製造現場・生産管理の基礎に関わる重要分野の理解を問うものです。
与えられた条件下で、生産ラインの特徴や改善による変化について各選択肢がどう説明しているかを判断します。

  • 条件a:各工程の作業時間は、第1工程4.2分、第2工程4.3分、第3工程4.5分、第4工程5.0分
  • 条件b:最大工程時間(5.0分)をサイクルタイムとして運用
  • 条件c:各工程の作業者は1名

以下、各選択肢の詳細解説を行います。


各選択肢の詳細解説

① ラインの稼働効率は、90%である。

  • 稼働効率は、全工程の作業時間の合計を、(サイクルタイム × 工程数)で割った値で算出します。

$$\text{稼働効率} = \frac{\sum \text{各工程の作業時間}}{\text{サイクルタイム} × \text{工程数}}$$

代入すると、

  • 全工程作業時間合計:4.2 + 4.3 + 4.5 + 5.0 = 18.0分
  • サイクルタイム = 5.0分
  • 工程数 = 4

$$\text{稼働効率} = \frac{18.0}{5.0 \times 4} = \frac{18.0}{20.0} = 0.9\ \text{(90%)}$$

よって、この記述は正しいです。


② ラインのバランスロスは、10%である。

  • バランスロスは、「どれだけ効率良く働けていないか」を示します。
    計算式は以下の通りです。

$$\text{バランスロス} = 1 – \text{稼働効率}$$

先ほど求めた稼働効率(90%)を代入すると

$$\text{バランスロス} = 1 – 0.9 = 0.1\ \text{(10%)}$$

この記述も正しいです。


③ 第4工程を改善し、作業時間が4.9分となった場合、単位時間当たりの生産量は減少する。

  • 生産ラインの単位時間当たりの生産量(スループット)は、サイクルタイムが短くなるほど増加します。
  • サイクルタイムは「最も時間がかかる工程」の作業時間。
    従来のサイクルタイム:5.0分→改善後:第3工程(4.5分)・第4工程(4.9分)⇒最大は4.9分

したがって、

  • 5.0分 → 4.9分(サイクルタイム短縮)

サイクルタイムが短くなれば生産量は増加します。
この選択肢の「生産量が減少する」は誤りとなります。


④ 第1工程の作業時間を短縮すると、現状の工程稼働効率は減少する。

先に「サイクルタイムは最大工程の時間」とされているので、第1工程の作業時間短縮によるサイクルタイムの変動はありません(依然、第4工程の作業時間が最大)。

  • 稼働効率の計算
    • 分子(合計作業時間)は減少
    • 分母(サイクルタイム×工程数)は変わらず

従って分子のみが減るので、稼働効率は減少します

この記述は正しいです。


⑤ ボトルネック工程の作業時間を1割短縮したとき、ライン全体の手待ち時間は減少する。

  • ボトルネック工程=サイクルタイムを決定する工程(第4工程/5分)
  • これを1割短縮すると、サイクルタイム5.0分→4.5分になる
  • すると、各工程の空き時間(手待ち時間)は減少する(各工程の作業完了時間とサイクルタイムの差が縮まる)

よって、正しい記述です。


【図表:各工程の作業時間・稼働効率・バランスロス】

工程名作業時間(分)シフト(手待ち時間)
第1工程4.25.0-4.2=0.8
第2工程4.35.0-4.3=0.7
第3工程4.55.0-4.5=0.5
第4工程5.05.0-5.0=0.0 (ボトルネック)
  • サイクルタイム = 5.0分(最大作業時間)
  • 稼働効率: 90%(上記解説式)
  • バランスロス: 10%

まとめ・要点

  • 生産ライン運営では、各工程の作業時間のバランス(ラインバランシング)ボトルネックサイクルタイム稼働効率がキーワードです。
  • サイクルタイムは、最も時間のかかる工程の作業時間。
  • 稼働効率やバランスロスは公式で計算できる。
  • ボトルネックを改善すると、サイクルタイムが短縮され、生産性が向上する。
  • 問題の正解は「③」であり、その理由はサイクルタイム短縮=生産量増加となるためです。

感想

この手の問題、少なからず苦手意識があります。

今までやってはきているものの、かならず資料見ますからね。

このブログがその資料にまでなるといいのですが!!

あ、今日は不正解でした。

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過去問ではこんな感じでした。

今後もたくさんこの手の問題は出てくるのでしょうね。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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