令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-8

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問題

Ⅲ-8 生産計画やスケジューリングに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 小日程計画は、日別・時間別に、また部品単位に、工程別ないし作業者別・機械設備別に行う作業の内容と時間の計画である。

② ディスパッチングルールは、加工を待っている複数のジョブの中から、次に優先して加工するジョブを決めるための規則である。

③ 生産座席予約方式は、受注時に、製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダーを割り付け、顧客が要求する納期どおりに生産する方式である。

④ 工数計画とは、製品設計が完成した後、技術的、方法的及び空間的に製品をどのように変換するかの過程を計画することである。

⑤ 資材計画は、生産に必要な品目、所要量、品質、必要時期などを決める活動である。

解答

正解は 4 になります。

生産計画やスケジューリングに関する問題の概要

本問題は「生産計画」や「スケジューリング」に関する基本的な用語・概念を問うものです。
製造現場や生産管理の現場でよく使われる専門用語について、その定義や役割を正しく理解しているか確認することが目的です。
各選択肢は実務でも重要な内容なので、明確に区別して覚えておく必要があります。


各選択肢の詳細解説

① 小日程計画について

小日程計画(Detailed Scheduling)は、生産現場レベルで「何を」「いつ」「どの作業者が」「どの設備で」「どのくらいの時間をかけて」行うかを、日別・時間別や部品単位・作業者別・機械設備別に決める計画を指します。
これは、日常の業務で細かく進捗管理を行うために不可欠な計画です。
代表的には下記要素で成り立ちます。

諸要素内容
対象期間日単位、時間単位など短期間
対象範囲部品単位、工程単位、作業者単位、設備単位
計画内容作業内容・開始/終了予定時刻、割当作業者、使用設備など

→この記述は正しい内容です。


② ディスパッチングルールについて

ディスパッチングルール(Dispatching Rule)とは、工場やラインで複数の「加工待ちのジョブ(作業指示)」が並んでいるとき、次にどのジョブを優先して加工するか決めるルールのことです。
生産現場ではジョブごとに納期や優先度が異なるため、このルールの設計が生産効率や納期遵守に直結します。

代表的なディスパッチングルールには、

  • FCFS(到着順)
  • EDD(納期優先順)
  • SPT(最短加工時間優先)
    などがあります。

→この記述は正しい内容です。


③ 生産座席予約方式について

生産座席予約方式(Finite Loading / Production Seat Reservation System)は、受注時点で製造設備や資材の割当スケジュールをあらかじめ決め、納期順守を実現する計画方法です。

顧客からのオーダーがあった際に、工程ごとに利用可能な日時・資源・資材等を予約(アサイン)することで、生産の遅延を防ぎ、納期保証型生産を可能にします。

この方式は、ホテルや航空券の「座席予約」になぞらえた名称であり、「利用枠の確保・割当て」がポイントとなります。

→この記述は正しい内容です。


④ 工数計画について

工数計画(Workload Planning)は、本来「製品の設計や工程設計が完了した後、その製品や作業の実行に必要となる標準工数(人・時間)を見積もる作業」を意味します。
つまり、「技術的・方法的・空間的にどう変換するか」という製品設計・プロセス設計の性質そのものを計画する工程ではありません。

  • 正しい工数計画の説明:
     →「各製品・部品に必要な作業者数や時間を計画すること」
  • 不適切な記述ポイント:
     →工程変換自体の計画ではない

→この選択肢が本問の「最も不適切な記述」です。


⑤ 資材計画について

資材計画(Materials Requirement Planning: MRP)は、生産に必要な品目・所要量・品質・必要時期などを確定する活動です。
MRPは計画的に資材調達・在庫管理・発注を最適化し、過剰在庫や欠品を防ぐための基盤となります。

キーワードとして「品目」「所要量」「品質」「必要時期」など、資材の “何を・どれだけ・いつ” を明確にします。

→この記述は正しい内容です。


まとめ(要点整理)

  • 生産計画とは、モノづくり現場全体を効率よく動かすため、何を・どの順序で・どのくらいの量・どのタイミングで作るかを計画的に決める一連の活動をいう。
  • 小日程計画は現場レベルでの細かい作業進捗管理である。
  • ディスパッチングルールは、生産現場でジョブを優先的にさばくためのルール。
  • 生産座席予約方式は、利用設備や資材を事前に「予約」して納期管理する方式である。
  • 工数計画は本来「作業標準工数の見積り」であり、製品をどう変換していくかの設計そのものではない。
  • 資材計画はモノづくりに必要な資材の種類・量・品質・時期の計画である。

本問の最大のポイントは、「工数計画」に関する誤解を正すことです。工数計画は「どれだけの工数(人・時)が必要か」を計算・見積もる工程であり、製品の技術的・方法的な変換プロセス設計自体ではありません。

感想

今日のは危なかった!

これだ!と違う回答しようとしたらなんとなく違和感が。

問題読み直してみて気づきました。

セーフ。

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過去問でも頻出。

結構似通った問題が多いのでしっかり理解する必要がありますね。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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