令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-26

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問題

Ⅲ-26 VE(Value Engineering)における機能に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 機能系統図は、機能を目的-手段の関係で階層構造に整理して表現した図表である。

② 機能は、できるだけ自動詞を用いて、例えばボールペンの1つの機能として「字が書ける」というように表現する。

③ 同じ機能の内容を記述するとき、場合により動詞の表現を変える必要がある。

④ 使用機能は基本機能に、貴重機能は二次機能にそれぞれ分類される。

⑤ 機能の評価では、分析された機能に問題があるかどうかを判定することであり、一般にコストの評価までは行わない。

解答

正解は 1 になります。

VE(Value Engineering)における機能に関する問題 ― 概要解説

この問題は、VE(バリューエンジニアリング、価値工学)の根幹となる「機能」について、その考え方や表現方法、分類・評価方法を問うものです。
VEは、製品やサービスの価値を高めるために、コストを抑えつつ最大限の機能を引き出す分析手法であり、設計や生産性向上だけでなく、あらゆるマネジメントに関わる社会人にとって必須の知識です。

この問題では、5つの選択肢それぞれにVEでよく出題される「機能系統図」や「機能表現の原則」、「機能の分類」、「評価の重点」の視点が盛り込まれており、正しいものを見極めるためには基本用語とその定義を的確に理解している必要があります。


各選択肢の詳細解説

① 機能系統図は、機能を目的-手段の関係で階層構造に整理して表現した図表である。

解説
これは正しい記述です。

  • 機能系統図(Function Tree Diagram)とは、VEにおいて機能同士の「目的-手段」関係を整理し、一つずつ分解・分類してツリー状に表現した図表です。
  • 上位の機能(目的)を果たすために下位の機能(手段)があり、これが段階的に展開されます。
    例えば、「物を運ぶ(目的)」→「車輪を回す(手段)」→「モーターを動かす(さらに手段)」という風に辿ることができます。
  • 機能系統図を作成することで、不要機能の発見やコスト削減の着眼点を明確にすることができます。

② 機能は、できるだけ自動詞を用いて、例えばボールペンの1つの機能として「字が書ける」というように表現する。

解説
これは誤りです。

  • VEで機能を表現する際は、「名詞+他動詞」の2語形が基本です(例:「線を書く」「文字を書く」)。
  • 自動詞(例:「書ける」)や単なる説明的な表現は避け、機能をより明確にし無駄や曖昧さを排除するのが基本です。
  • 例えば、ボールペンなら「字が書ける」ではなく「字を書く」がVE流の記述方法となります。

③ 同じ機能の内容を記述するとき、場合により動詞の表現を変える必要がある。

解説
これは誤りです。

  • 同じ内容であれば、常に同一の動詞表現で統一するのがVEの原則です。
  • 場合によって言い回しを変えると、分析・比較の際に混乱や誤解が生まれやすくなるため、表現の標準化が重視されています。
  • 例:ボールペンなら「線を引く」と「字を書く」を混用せず、どちらかに統一します。

④ 使用機能は基本機能に、貴重機能は二次機能にそれぞれ分類される。

解説
これは誤りです。

  • VEでの機能の分類は、
    • 基本機能(Primary Function)=本来の目的・存在価値を果たす機能
    • 二次機能(Secondary Function)=付加価値や補助的役割を果たす機能
      となっています。
  • ただし、「使用機能」「貴重機能」という分類やその関係は、VE用語として一般的ではありません。
  • よってこの分類は間違っています。

⑤ 機能の評価では、分析された機能に問題があるかどうかを判定することであり、一般にコストの評価までは行わない。

解説
これは誤りです。

  • VEにおける機能評価の目的は、「機能ごとの重要度やコストとのバランスを評価すること」です。
  • 機能の妥当性判断だけでなく、コスト分析(例えば「どの機能にどれだけコストがかかっているか」)も重要な工程として必ず含まれます。
  • コスト評価なしにVEの分析は完結しないため、この記述は不適切です。

まとめ ― VEにおける機能分析の要点

  • VE(Value Engineering)は、製品やサービスの価値を最大化するため、機能を体系的に分析しコスト管理や改善提案を行う手法です。
  • 機能系統図は、目的-手段の階層で機能同士の関係性を明確に整理するための基本的なツールです。
  • 機能の表現は「名詞+他動詞」の2語形で統一し、曖昧さや言い換えを避けることが重要です。
  • 機能には必ずコストが紐づき、評価段階ではコスト分析が欠かせません。
  • これらの知識は、VEだけでなく生産管理や品質管理、改善活動全般に役立つ必須スキルです。

感想

VEも頻出問題ですね。

今回のは今までのものと少し毛色が違う気がしましたが。

しっかり正解でした!

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過去問もまあそこそこあります。

しっかりと復習が必要ですね!!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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