令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-30

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問題

Ⅲ-30 サプライチェーンマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、ERPとは、Enterprise Resource Planning、VMIとは、Vendor Managed Inventory、MPSとは、Master Production Schedule、MRPとは、Material Requirement Planningの略である。

① デカップリングポイントとは、サプライチェーン上の見込生産と受注生産が切り替わる分岐点である。

② ERPとは、企業全体の経営資源を総合的に計画、管理し、経営の効率化を図るための手法・概念である。

③ VMIとは、ベンダ側が、小売りなどの実需や在庫情報の提供を受け、それに基づき補充の意思決定を統合的に行う方法である。

④ MPSとは、部品構成表と作業手順を用いてスケジューリングを行い、納期回答をするとともに、設備の使用日程と部品の手配を行う活動である。

⑤ MRPとは、生産計画情報、部品構成表情報及び在庫情報に基づいて、資材の必要量と時期を求める生産管理体系である。

解答

正解は 4 になります。

サプライチェーンマネジメントに関する問題の概要

本問題は、「サプライチェーンマネジメント(SCM)」に関連する重要な専門用語やシステムの定義・役割について、理解度を問う内容です。
サプライチェーンとは、原材料の調達から生産、流通、販売に至るまでの一連の流れを指し、これを効果的に管理する技術分野がサプライチェーンマネジメントです。
基礎知識として、ERP、VMI、MPS、MRPなども頻出用語となっており、これらの本質や正否の判断が問われます。


各選択肢の詳細解説

① デカップリングポイント(Decoupling Point)の説明

「デカップリングポイント」とは、サプライチェーンにおいて「見込生産(Make to Stock)」から「受注生産(Make to Order)」に切り替わる重要な分岐点を指します。
具体的には、需要変動にファーム側(工場)が直接反応し始めるポイントであり、それまでの工程は在庫を持っておく(見込み生産)、その後の工程は注文を受けてから生産や組立てを開始します。
この分岐点を定めることで、在庫コストとリードタイムの最適化が狙えます。

例図:
[原材料]─[部品製造]─<見込生産>─[デカップリングポイント]─<受注生産>─[組立]─[出荷]
  • デカップリングポイントより前:需要予測に基づく生産
  • デカップリングポイントより後:実際の注文に基づく生産

② ERP(Enterprise Resource Planning)の説明

ERPは「企業資源計画」と訳され、企業内のヒト・モノ・カネ・情報といった全社的な資源を一元的に管理し、最適化と効率化を図るための統合的な仕組みです。
販売、在庫、生産、人事、会計などの基幹業務情報が一つのシステムで関連付けられ、経営判断のスピードと正確さが向上します。

ポイント
  • 統合管理による業務効率アップ
  • データの一元化による情報共有

③ VMI(Vendor Managed Inventory)の説明

VMIとは、「ベンダー管理在庫」の略で、販売業者(小売店など)の在庫や需要データを製造業者(ベンダ側)が受け取り、それに基づき補充や在庫管理をベンダ側が主体的に行う管理手法です。
こうすることで、流通全体の在庫の最適化と欠品リスクの低減、納期短縮化が期待できます。

しくみ例
  • コンビニの自動発注システムが代表例
    (在庫データをメーカーが直接監視・補充判断)

④ MPS(Master Production Schedule)の説明【不適切な選択肢】

MPSは「主要生産計画」と訳され、最終製品または主要部品単位で、いつ・どれだけ作るかを計画するシステムです。
本来のMPSの役割は、「製品の生産数量と時期を決めること」。
しかし選択肢④では「部品構成表(BOM)や作業手順を用いて…」「設備の使用日程まで定める」など、MRPや生産スケジューリングの役割まで含めてしまっています。
これはMPSの定義として不適切です。

正しいMPSのポイント
  • 最終製品ごとに生産・納期計画を立てる
  • 部品や設備手配まではMPSの仕事ではない
  • MPSをもとに、詳細な手配やスケジューリングは「MRP」や「工場スケジューラ」が担う

⑤ MRP(Material Requirement Planning)の説明

MRPは「資材所要量計画」システムで、製品の生産計画(MPS)・部品構成表(BOM)・在庫情報の3要素をもとに、「何を」「どれだけ」「いつ」手配するかを計算する手法です。
MRPによって部品や資材の過不足を防止し、安定した生産ラインが保たれます。

MRPのしくみ図

生産計画(MPS)
   ▼
部品構成表(BOM) + 在庫情報
   ▼
資材手配(発注・生産指示)

まとめ

サプライチェーンマネジメントの中核となる用語やシステムの相関や定義をしっかり理解することが、現場実務だけでなく試験でも極めて重要です。
特に本問では「MPS」の定義の誤りに注目する必要があります。
MPSは主要製品のスケジュール設定を行うものであり、設備や部品の詳細手配までは役割に含まれません。
サプライチェーン上の各ポイントやシステムの違いを押さえ、どのシステムがどこまで担当するか明確にイメージできるようにしておきましょう。

感想

SCM、ここのところ頻出です。

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サプライチェーンマネジメントは本業でもやってた、まあよくわかりませんというのが率直な感想なのですが。

わからんままで終わるつもりもないのでこことかでお勉強はしています。

そのせいあってか?今日は理解した上で正解でしたよ!!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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