問題
Ⅲ-11 能率管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 能率管理は、能率に関する目標を設定し、管理を行う活動である。
② 総合能率は、出来高工数/就業工数により算出される。
③ 総合能率は、不適合品の発生を表す品質管理責任と、作業員の不稼働状況を表す作業管理責任とに分解できる。
④ 作業方法の効率化を測定する指標として、比較時点の標準時間/基準時点の標準時間がある。
⑤ 作業効率の向上は、標準時間の適正化、作業員のモラールの向上、作業ミスの排除等を基礎に進められる。

解答
正解は 3 になります。
能率管理の基礎と問題の概要
能率管理は、企業や組織の生産性や作業効率を高めるための管理活動です。
ここでは「総合能率」や「品質管理責任」「作業管理責任」といった重要ワードを軸に、正しい能率管理の考え方や指標、効率化の方法論について詳しく解説します。
選択肢ごとの詳細解説
① 能率管理は、能率に関する目標を設定し、管理を行う活動である。
解説:
能率管理の第一歩は、何を目標にするか、つまり何をどのくらいの効率で達成したいかを明確に設定することです。
そのうえで、現場の作業の進行状況や作業方法をチェックし、必要に応じて改善します。
このプロセスはPDCAサイクル(計画‐実行‐評価‐改善)と相性がよく、能率向上の核となります。
② 総合能率は、出来高工数/就業工数により算出される。
解説:
総合能率は「どれだけの仕事量(出来高)をどれだけの投入時間(就業工数)でこなしたか」で評価されます。
$$\text{総合能率} = \frac{\text{出来高工数}}{\text{就業工数}}$$
出来高工数は実際に価値を生み出した作業時間、就業工数は現場で働いた全時間となります。
図解例:
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 出来高工数 | 100 工数(1人が1時間で10個作り、10人で1時間作業した場合 = 100個) |
| 就業工数 | 120 工数(10人×12時間就業 = 120人時) |
| 総合能率 | 0.83(100 ÷ 120) |
→この数値が高いほど効率的です。
③ 総合能率は、不適合品の発生を表す品質管理責任と、作業員の不稼働状況を表す作業管理責任とに分解できる。
解説:
ここが最も重要な論点です。
総合能率を二つの責任に「完全分解」できると記載されていますが、現実の総合能率は $$\frac{\text{出来高工数}}{\text{就業工数}}$$ の値です。
- 品質管理責任は「不適合品(不良品)が出る割合」を指し、出来高の中でどれだけ合格品が生まれたかに影響します。
- 作業管理責任は「不稼働(手待ち・遊び時間)」がどれくらいあったかを意味し、実際に作業していた時間と比較してどうかという要素です。
しかし、実務上はこの両者だけで総合能率のすべてを完全に説明できるわけではありません。
例えば工程ミスや段取り替え、指示ミスなども影響し、間接要素も多く絡みます。
そのため「二つに分解できる」と言い切るのは適切ではありません。これがこの選択肢が不適切となる根拠です。
④ 作業方法の効率化を測定する指標として、比較時点の標準時間/基準時点の標準時間がある。
解説:
作業効率化の成果を測る時、基準となる「標準時間」に注目します。
- 標準時間:熟練作業者が通常のスピードで無理なく作業したときにかかる時間
- 比較指標例: 比較時点の標準時間÷基準時点の標準時間
$$\text{作業改善率} = \frac{\text{改善後の標準時間}}{\text{改善前の標準時間}}$$
この値が1より小さければ、作業時間は短縮しており効率化されています。逆に1を超えていれば効率は悪化したことになります。
⑤ 作業効率の向上は、標準時間の適正化、作業員のモラールの向上、作業ミスの排除等を基礎に進められる。
解説:
作業効率を良くするには、作業の流れを無理のないものに設計したり、作業員のやる気(モラール)を高めたり、失敗(作業ミス)を減らすことが不可欠です。
それぞれ細かい手段があり、具体例を挙げると次の通りです:
- 標準時間の適正化:過度な短縮・緩慢設定を防ぎ、現場に合った時間を定める
- モラールの向上:表彰制度、職場環境整備、コミュニケーション活性化など
- 作業ミスの排除:5S活動、標準作業書の徹底、教育訓練の充実など
総合的な視点が重要となります。
まとめ:能率管理で押さえるべきポイント
- 能率管理は、目標設定と現状分析、改善活動の継続が核となる
- 総合能率は、出来高工数/就業工数で計算され、現場改善の重要指標
- 総合能率を「品質管理責任」と「作業管理責任」だけで単純化するのは誤り。他の要素も含めて多面的に分析する必要がある
- 作業効率化の指標には「標準時間比較」が活用され、数値管理しやすい
- 効率向上には、標準時間適正化、モラール向上、ミス排除など多面的な取組みが不可欠
能率管理や総合能率などのキーワードを確実におさえておきましょう。
感想
能率管理、久々!
なんと過去問では1回しか出てきていませんでした。

だからかもわかりませんが、今日は不正解でした。
もう一度読み直す必要ありです。
解説書いたくらいではまだ近いが深まっていない・・・・。
