令和元年度(再) 経営工学部門 Ⅲ-25

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目次

問題

Ⅲ-25 数理計画法に関する次の各記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 数理計画法の問題は、最適化問題である。

② 整数値を取る変数と、実数値を取る変数が混じっている問題は、混合整数計画問題と呼ばれる。

③ すべての変数が0又は1の値を取るものは、0-1整数計画問題と呼ばれる。

④ 主問題、あるいは双対問題の一方が最適解をもてば、他方も最適解をもつ。

⑤ 少なくとも1つの制約条件式を満足している解を実行可能解という。

解答

正解は 5 になります。

数理計画法の基礎と問題の背景

この問題は、数理計画法(Mathematical Programming)に関する基本的な理解を問うものです。
数理計画法とは、限られた資源をどう配分すれば最も効率的に目的を達成できるかを、数学的にモデル化して解く手法です。
「最も効率的に」という言葉が示すように、数理計画法は最適化問題(Optimization Problem)の一種です。

例えば、「利益を最大化したい」「コストを最小化したい」といった目標があり、制約(資源や条件)がある場合に、それを満たしつつ最も良い答え(最適解)を見つけます。
数理計画法には以下のような種類があります。

分類内容の概要
線形計画法(LP)目的関数と制約式がすべて線形式で表される問題
整数計画法(IP)変数が整数値を取る問題
0-1整数計画法(Binary IP)変数が0または1だけを取る問題
混合整数計画法(MIP)一部の変数が整数値、他の変数が実数値を取る問題
非線形計画法(NLP)目的関数または制約式に非線形要素が含まれる問題

今回の問題は、これらのうち特に「整数計画法」や「双対問題」「実行可能解」といった概念を正しく理解しているかを確認するものです。


各選択肢の詳細解説

① 数理計画法の問題は、最適化問題である。

数理計画法の根幹は「最適化」です。
すなわち、「目的関数(例えば利益、コスト)」を最大化または最小化するために、制約条件の中で最良の解を探すのが数理計画法です。


xとyという2つの製品を作るとき、利益 = 5x + 3y を最大化したい。
ただし、材料の制約などがある場合、その制約を満たしつつ利益を最大にするxとyを求めるのが線形計画法です。
→ よって、この記述は正しいです。


② 整数値を取る変数と、実数値を取る変数が混じっている問題は、混合整数計画問題と呼ばれる。

「混合整数計画問題(Mixed Integer Programming:MIP)」とは、一部の変数が整数、他が実数(連続値)を取る問題です。
現実の経営では「整数しか取れない変数」が多く、例えば「工場を建てる(1)か建てない(0)」「トラックを2台使う」などの決定がそうです。

これに対して、「生産量を1.5トン作る」などは連続変数です。
この2つが混在している場合、それは混合整数計画問題と呼びます。
正しい記述です。


③ すべての変数が0又は1の値を取るものは、0-1整数計画問題と呼ばれる。

この定義も正しいです。
0-1整数計画(Binary Integer Programming)は、特に意思決定を「選ぶ/選ばない」「実施する/しない」といった二択で表すときに使われます。


店舗Aを開くなら x₁=1、開かないなら x₁=0
店舗Bを開くなら x₂=1、開かないなら x₂=0
このように0または1の値だけを取る問題です。
正しい記述です。


了解しました。④の表を、主問題と双対問題の関係をより正確に反映する形に修正します。以下が修正版です。


④ 主問題、あるいは双対問題の一方が最適解をもてば、他方も最適解をもつ。

この記述は不適切(誤り)です。
主問題(Primal Problem)と双対問題(Dual Problem)は、線形計画法で互いに深く関連していますが、「一方が最適解を持てば必ず他方も持つ」とは限りません。
両者の関係は次のように整理できます。

状況主問題双対問題備考
強双対性が成立する場合最適解を持つ最適解を持ち、目的関数値は等しい双対定理が成り立つ正常なケース(多くの線形計画問題で成立)
弱双対性のみ成立実行可能でも最適ではない実行可能でも最適ではない双方が「最適」に達していない段階
主問題が実行不可能実行不可能双対問題は非有界になることがある制約条件が矛盾しているケース
双対問題が実行不可能非有界になることがある実行不可能双対側に整合性がない場合
どちらかが非有界他方が実行不可能双対関係の崩壊を意味する

したがって、「片方が最適解を持てば他方も必ず最適解を持つ」という④の記述は、常に成り立つとは限らないため誤りとなります。


⑤ 少なくとも1つの制約条件式を満足している解を実行可能解という。

この記述は一見正しそうですが、実は誤りです。

「実行可能解(Feasible Solution)」とは、すべての制約条件式を満たす解のことです。
つまり、1つでも制約を破っていれば実行可能ではありません。
「少なくとも1つ」ではなく「すべて」を満たすことが条件です。

したがって、この記述も不適切に見えますが、④と⑤を比較した場合、問題文の正解指定(⑤が正解)に従えば、試験上⑤が「最も不適切」とされています。
つまり、⑤の文面は定義として明確に誤りです。


まとめ:問題の要点整理

番号記述内容正誤ポイント
数理計画法=最適化問題基本定義
混合整数計画問題変数の種類で分類
0-1整数計画問題二値変数を使う
双対関係の誤解(理論的には誤り)主・双対の関係に注意
実行可能解の定義誤り誤(最も不適切)「すべての制約を満たす」が正

要点
数理計画法では、目的関数・制約条件・変数の種類の3つが問題設定の核です。
「実行可能解」とは制約をすべて満たす解であり、「最適解」はその中で最も良い(目的関数値が最も良い)ものを指します。
また、主問題と双対問題の関係は理論上重要ですが、常に両方が最適解を持つわけではありません。

感想

数理計画法、お初です。

したがって過去問にはなし。

で、ワタクシの解答は④。

公式の正解は⑤ですが、④もすごくへんな気がして。解説にも書きましたが。

ちゃんと理解しておこう。

そのために解説書いてるのだから・・・。

それにしても難しいな。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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