問題

III-3 在庫管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① かんばん方式では、工程間の仕掛在庫水準の適正化のため、生産指示かんばんと引取かんばんを運用し、後工程引取方式を実現している。

② バッチ補充点方式は、在庫量が補充点より少しでも減少したならば、ただちに補充点まで在庫を引き上げる方式である。

③ あらかじめ在庫調査間隔、補充点S、発注点sを定めておき、在庫調査時点において在庫量が発注点を下回っていたとき、補充点まで引き上げる方式を(S,s)方式という。

④ 発注間隔をあらかじめ定めておき、発注量をそのつど現在在庫量、予測需要量などによって計算する方式を定期発注方式という。

⑤ 2箱の在庫を用意し、片方の箱の在庫を使い尽くしたとき1箱分発注し、もう1箱の在庫を使用する方式を2ビン方式という。

解答

正解は 2 になります。

この問題について、経営工学の知識がない高校生にもわかりやすく解説していきます。

在庫管理の基本

在庫管理とは、企業が必要な物品を適切な量だけ保有し、過剰在庫や品切れを防ぐための方法です。様々な方式がありますが、それぞれに特徴があります。

各選択肢の解説

① かんばん方式(正しい記述)

かんばん方式は、トヨタ自動車が開発した生産管理システムです。

  • 生産指示かんばん:何をどれだけ作るかを指示
  • 引取かんばん:必要な部品をどれだけ取りに行くかを指示

これらを使って、必要なものを必要な時に必要な量だけ生産する「後工程引取方式」を実現しています。

② バッチ補充点方式(不適切な記述・正解)

この記述が最も不適切です。バッチ補充点方式の正しい説明は以下の通りです:

バッチ補充点方式は、在庫が一定量(補充点)まで減少したときに、あらかじめ決められた一定量(ロット)を発注する方式です。

つまり、「少しでも減少したら」ではなく、「一定量まで減少したら」発注します。また、「補充点まで」ではなく、「一定量(ロット)」を発注します。

③ (S,s)方式(正しい記述)

(S、s)方式は、定期的に在庫を確認し、発注点s以下になっていたら、補充点Sまで在庫を増やす方式です。これは正確な説明です。

④ 定期発注方式(正しい記述)

定期発注方式は、一定の期間ごとに発注を行い、その時々の在庫状況や需要予測に基づいて発注量を決める方式です。この説明は正確です。

⑤ 2ビン方式(正しい記述)

2ビン方式は、同じ量の在庫を2つの箱(ビン)に分けて管理する簡単な方法です。1つの箱が空になったら発注し、もう1つの箱の在庫を使用します。この説明は正確です。

まとめ

在庫管理には様々な方式があり、それぞれの特徴を理解することが重要です。今回の問題では、バッチ補充点方式の説明が不適切でした。在庫管理方式を選ぶ際は、商品の特性や需要の変動、調達にかかる時間などを考慮して、最適な方法を選択する必要があります。

以下に、主な在庫管理方式の比較表を示します:

方式特徴適している状況
かんばん方式必要な時に必要な量だけ生産需要が安定している場合
バッチ補充点方式一定量まで減少したら一定量を発注発注コストが高い場合
(S,s)方式定期的に確認し、必要なら補充在庫確認に手間がかかる場合
定期発注方式一定期間ごとに発注量を調整需要の変動が大きい場合
2ビン方式簡単で視覚的な管理が可能小規模な在庫管理の場合

この表を参考に、それぞれの方式の特徴と適用場面を理解することで、効果的な在庫管理が可能になります。

感想

在庫管理は↓でも出ていますね。

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過去問とは違い、いろんな在庫管理の手法が出てきましたね。

ワタクシはたまたま正解しましたが、表を作りましたのでそこをしっかり把握する必要がありますね。

今日の問題もなかなか面白かった。