問題

III-5 科学的管理法及び課業に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① Taylorは、科学的管理法において作業者が作業を行うとき、最も合理的に作業を行うために適用される経験則として、動作経済の原則を提唱した。

② 科学的管理法では、労働者の仕事の各要素について科学を展開することが管理の原則の1つであるとしている。

③ 労働者が仕事を選択し、自分で勉強する旧来の習慣をやめ、各種の仕事に対し最も適した労働者を科学的に選び、これを訓練し、教育し、かつ能力を発達させることが、科学的管理法における管理の原則の1つである。

④ 科学的管理法における課業とは、標準の作業速度に基づいて設定された1日の公正な仕事量をさしている。

⑤ 科学的管理法の原則の1つに、発展させた科学の原理に合わせてすべての仕事ができるよう、管理者と労働者が心から協働することが挙げられている。

解答

正解は 1 になります。

科学的管理法とは

科学的管理法は、アメリカの技師フレデリック・テイラー(Frederick Taylor)が1900年代初頭に提唱した経営管理の方法です。この方法は、作業を科学的に分析し、最も効率的な方法を見つけ出すことを目的としています。

各選択肢の解説

① 動作経済の原則(不適切な記述・正解)

この記述が最も不適切です。動作経済の原則を提唱したのは、テイラーではなく、フランク・ギルブレス(Frank Gilbreth)とリリアン・ギルブレス(Lillian Gilbreth)夫妻です。

動作経済の原則とは:

  • 無駄な動きを省く
  • 効率的な動作を見つける
  • 疲労を最小限に抑える

などの考え方を指します。

② 科学的管理法の原則(正しい記述)

テイラーは、仕事の各要素を科学的に分析することを重視しました。例えば:

  • 作業時間の測定
  • 最適な道具の選択
  • 効率的な作業手順の開発

③ 労働者の選択と教育(正しい記述)

科学的管理法では、適材適所の考え方を重視しています:

  • 各仕事に最適な労働者を選ぶ
  • 選ばれた労働者を訓練し、教育する
  • 労働者の能力を発達させる

④ 課業の定義(正しい記述)

課業(タスク)とは、1日の公正な仕事量のことです:

  • 標準的な作業速度に基づいて設定される
  • 労働者が達成すべき目標量

⑤ 管理者と労働者の協働(正しい記述)

科学的管理法では、管理者と労働者の協力を重視しています:

  • 共通の目標に向かって協力する
  • 科学的に導き出された最適な方法を実践する

まとめ

科学的管理法の4つの基本原則:

  1. 仕事の科学的分析
  2. 労働者の科学的選抜と教育
  3. 管理者と労働者の協働
  4. 責任の公平な分担

以下は、科学的管理法の概念図です:

 科学的管理法 │ ┌──────┴──────┐ │ │ 分析と改善 人材育成 │ │ ┌──┴──┐ ┌───┴───┐ │ │ │ │作業 時間 選抜 教育分析 研究

科学的管理法は、作業の効率化と労働者の能力向上を通じて、生産性を高めることを目指しています。ただし、人間性の軽視や労働強化につながる可能性もあるため、現代では人間関係や労働環境にも配慮した管理方法が求められています。

感想

科学的管理法、はじめてききました・・・。

しかし選択肢1の解説はどこかで聞いたことあるような。

↓のコナンさんからのコメントでギルブレスさん、出てきていますね!

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平成23年度 経営工学部門 IV-7問題IEで用いられている作業に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。①人・機械図表を用……

今の時代においてはこの科学的管理法でも網羅出来ないところもあるってコトですね。

ええと。今日も不正解でした・・・・。