平成25年度 経営工学部門 Ⅲ-22PR含む
問題
III-22 実験計画法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① フィッシャーの3原則は、反復の原則、無作為化の原則、局所管理の原則である。
② 1因子実験は1因子をとり、各水準を2回以上繰り返し、多因子実験は2つ以上の因子を同時に取り上げる実験である。
③ 因子の間に交互作用が存在するというのは、各因子の効果が加法的であるということに相当する。
④ 要因実験では、例えば因子が10個で各因子をすべて2水準にした場合、すべての水準組合せの実験を行うためには1024回の実験が必要である。
⑤ 環境条件の同じような場をブロックとし、各ブロック内で比較したい水準の一揃いをランダムな順序で実験する方法を乱塊法という。
解答
正解は 3 になります。
実験計画法とは
実験計画法は、効率的に実験を行い、得られたデータから有効な結論を導き出すための統計的手法です。製品開発や品質改善などの分野で広く活用されています。
各選択肢の解説
①フィッシャーの3原則
フィッシャーの3原則は、実験計画法の基本となる重要な原則です。
- 反復の原則:同じ条件で実験を繰り返し行うこと
- 無作為化の原則:実験の順序や配置をランダムに決めること
- 局所管理の原則:実験環境を可能な限り均一にすること
これらの原則を守ることで、より信頼性の高い実験結果を得ることができます。
②1因子実験と多因子実験
- 1因子実験:1つの要因(因子)に注目し、その影響を調べる実験
- 多因子実験:2つ以上の要因を同時に調べる実験
両方とも、各水準(因子の取る値)を2回以上繰り返して実験を行います。これは反復の原則に基づいています。
③交互作用(不適切な記述)
この記述は不適切です。正しくは以下のようになります:
交互作用とは、ある因子の効果が他の因子の水準によって変化する現象です。つまり、因子の効果が加法的でない場合に交互作用が存在すると言えます。
例:
- 肥料Aと肥料Bを別々に使うと収穫量が10%ずつ増える
- しかし、AとBを同時に使うと収穫量が30%増える
この場合、AとBの間に正の交互作用があると言えます。
④要因実験の実験回数
要因実験では、すべての因子の組み合わせを試す必要があります。
- 因子数:10
- 各因子の水準:2
必要な実験回数 = 2^10 = 1024回
これは、すべての可能な組み合わせを網羅するために必要な回数です。
⑤乱塊法
乱塊法は、実験環境の不均一性を考慮した実験計画法です。
- 似た環境条件の場所をブロックとしてグループ化
- 各ブロック内で、比較したい水準の一揃いをランダムな順序で実験
この方法により、環境の影響を最小限に抑えつつ、因子の効果を正確に評価できます。
まとめ
実験計画法は、効率的かつ効果的に実験を行うための重要な手法です。フィッシャーの3原則を基本とし、1因子実験や多因子実験、要因実験、乱塊法などの様々な手法を状況に応じて使い分けることが大切です。
交互作用の理解は特に重要で、因子間の複雑な関係を見逃さないようにする必要があります。
感想
実験計画法、語句としては過去問に出てきています。
詳細は今回が初めてですね。
実験計画法、以前いた職場で研修があったのですが。
急な出張で参加出来なかったのですよね。
それ以来、なんだか疎遠になってしまって。
そのせいなのか、今日も回答間違えました。
さて、2024年は本日でおしまい。
来年もよろしくお願いいたします。