問題

Ⅲ-32 問題解決プロセスに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① ワークデザインでは、システムを設計するとき、現状分析を行い、できるだけ高いレベルにある機能から始め、機能展開を用いて機能を具体化する。

② デザインアプローチは、分析的アプローチとも呼ばれる。

③ KJ法では、仮説の設定→観察→実験→結論という手順を踏む。

④ モデルとは、問題の特定の側面に着目して対象とするシステムを具体化して表現したものである。

⑤ ブレーンストーミングは、一般に複数の人が集まり、自由にアイデアを出し合い、互いのアイデアの刺激や結合を繰り返しながらよりよいアイデアに発展させる手法である。

解答

正解は 5 になります。

問題の概要

この問題では、問題解決プロセスに関する5つの記述が示されており、その中から最も適切なものを選ぶ必要があります。正解は5番ですが、なぜそれが最も適切なのか、そして他の選択肢にはどのような問題があるのかを順番に解説していきます。

各選択肢の詳細解説

① ワークデザインと機能展開

この記述には誤りがあります。ワークデザインは、作業や業務プロセスを効率的に設計する手法ですが、必ずしも「高いレベルにある機能から始める」わけではありません。むしろ、現状の作業を詳細に分析し、ボトムアップで改善点を見出していくことも多いです。

機能展開は、製品やシステムの機能を階層的に分解して分析する手法ですが、これはワークデザインとは別の概念です。

② デザインアプローチと分析的アプローチ

この記述は誤りです。デザインアプローチと分析的アプローチは、実際には異なる概念です。

  • デザインアプローチ:創造的で直感的な問題解決方法。新しいアイデアや解決策を生み出すことに重点を置きます。
  • 分析的アプローチ:論理的で系統的な問題解決方法。データや事実に基づいて問題を分析し、解決策を導き出します。

両者は相補的な関係にあり、効果的な問題解決には両方のアプローチが必要です。

③ KJ法

この記述は誤りです。KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎によって考案された創造的問題解決・発想法です。KJ法の基本的な手順は以下の通りです:

  1. データの収集
  2. カードへの記入
  3. カードのグループ化
  4. 図解化
  5. 文章化

KJ法は、仮説検証型の科学的手法(仮説→観察→実験→結論)とは異なり、データから帰納的に結論を導き出す方法です。

④ モデル

この記述は部分的に正しいですが、完全に適切とは言えません。モデルは確かに「問題の特定の側面に着目して対象とするシステムを表現したもの」ですが、必ずしも「具体化」するわけではありません。むしろ、複雑な現実を単純化・抽象化して表現することも多いです。

例えば、経済モデルや数学モデルは、現実の複雑な現象を単純化・抽象化して表現しています。

⑤ ブレーンストーミング(正解)

この記述が最も適切です。ブレーンストーミングは、アレックス・オズボーンによって考案された創造的問題解決技法で、以下の特徴を持ちます:

  1. 複数人で行う:多様な視点やアイデアを集めるため、通常は4〜8人程度のグループで行います。
  2. 自由にアイデアを出し合う:「質より量」を重視し、どんなに突飛なアイデアでも歓迎します。
  3. 批判禁止:アイデア出しの段階では、他人のアイデアを批判しません
  4. アイデアの結合と発展:出されたアイデアを組み合わせたり、発展させたりして、より良いアイデアを生み出します。

ブレーンストーミングは、新製品開発やマーケティング戦略立案など、創造性が求められる場面で広く活用されています。

まとめ

問題解決プロセスには、様々な手法や概念があります。ワークデザイン、機能展開、デザインアプローチ、分析的アプローチ、KJ法、モデリング、ブレーンストーミングなど、それぞれに特徴と適用場面があります。

経営工学の専門家は、これらの手法を適切に選択し、組み合わせて使用することで、効果的に問題を解決していきます。問題の性質や状況に応じて、最適な手法を選ぶことが重要です。

また、これらの手法は単独で使用されるだけでなく、組み合わせて使用されることも多いです。例えば、ブレーンストーミングで出されたアイデアをKJ法で整理し、その結果をもとにモデルを構築するといった具合です。

経営工学を学ぶ上で、これらの問題解決手法を理解し、実践できるようになることは非常に重要です。実際の業務や研究の中で、これらの手法を適切に活用できるようになれば、より効果的な問題解決が可能になるでしょう。

感想

このあたりは日々のお仕事でやっておりますのでもちろん正解でした!

過去問では↓が近そうです。

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問題解決の手法は今後も出題されるでしょうね。