問題
Ⅲ-1 IEの基礎的事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 時間研究が生まれたのは20世紀初めで、科学的管理の創始者であるF.W.テイラーが、公正な1日の仕事量を求めようとして、熟練者の作業を対象にストップウォッチによる時間観測を行ったのが始まりである。
② サーブリッグ分析とは作業を構成する動作を18の最小単位に分けて分析することによって、作業を改善していく方法であり、F.B.and L.M.ギルブレスによって開発された。
③ フローダイアグラムは、工程分析の表現法の1つで、工程図記号を用いて、配置図上に人やものの移動経路を図示したものである。
④ これまでの測定値や経験的数値などを集め分析し、要素作業別の基礎時間資料を用いて標準時間を求める間接測定法には、ワークサンプリング法などがある。
⑤ PTS法は、ストップウォッチによる実測が不要で客観的かつ公平な時間設定ができるが、治具や設備などで規制される時間値を算定することができない。
解答
正解は 4 になります。
この問題は、Industrial Engineering (IE)の基礎的事項に関する知識を問うものです。各選択肢を詳しく解説していきます。
各選択肢の詳細解説
① 時間研究
この記述は正しいです。時間研究は、F.W.テイラーによって20世紀初頭に開発された手法です。
時間研究の目的:
- 公正な1日の仕事量を決定する
- 作業の標準時間を設定する
方法:
- 熟練作業者の作業をストップウォッチで観測
- 作業時間を測定し分析
時間研究は、科学的管理法の重要な要素として、現代の生産管理にも大きな影響を与えています。
② サーブリッグ分析
この記述も正しいです。サーブリッグ分析は、F.B.ギルブレスとL.M.ギルブレス夫妻によって開発されました。
サーブリッグ分析の特徴:
- 作業を18の基本動作(サーブリッグ)に分類
- 各動作を詳細に分析し、ムダを見つけ出す
- 作業の改善につなげる
18のサーブリッグには、「探す」「選ぶ」「つかむ」「運ぶ」などが含まれます。この分析により、作業の無駄を特定し、効率化を図ることができます。
③ フローダイアグラム
この記述も正確です。フローダイアグラムは工程分析の表現方法の一つです。
フローダイアグラムの特徴:
- 工程図記号を使用
- 配置図上に人やものの移動経路を図示
- 作業の流れを視覚的に理解しやすい
フローダイアグラムを使用することで、作業の流れや動線を一目で把握でき、改善点を見つけやすくなります。
④ 間接測定法
この記述が最も不適切です。ワークサンプリング法は、間接測定法ではなく、直接観測法の一つです。
間接測定法の特徴:
- 過去のデータや経験値を利用
- 実際の測定を行わずに標準時間を算出
ワークサンプリング法の特徴:
- 作業者の動きを一定間隔で観察
- 統計的手法を用いて作業時間を推定
- 直接観測法の一種
この誤りにより、選択肢④が最も不適切な記述となります。
⑤ PTS法
この記述は正しいです。PTS(Predetermined Time Standards)法は、あらかじめ決められた動作の標準時間を使用して作業時間を算出する方法です。
PTS法の特徴:
- ストップウォッチによる実測が不要
- 客観的かつ公平な時間設定が可能
- 人の動作に関する時間は算出可能
- 機械や設備で決まる時間は算出不可
PTS法は、人の動作に関する時間を効率的に算出できますが、機械の処理時間などは別途考慮する必要があります。
結論
以上の解説から、選択肢④が最も不適切であることがわかります。ワークサンプリング法は間接測定法ではなく、直接観測法の一種であるため、この記述は誤りです。
経営工学の手法は、製造業だけでなく、サービス業や事務作業など、様々な分野で活用されています。これらの基礎的な知識を理解することで、業務改善や生産性向上に役立てることができます。
感想
本日は正解でした。
過去問にも似た感じのが出てきていますし。
問題3周目にして、ようやく進歩の兆しが見えてきたのではなかろうか?と自分で思っています。