問題
III-15 PDCAの説明として最も適切なものはどれか。
① この手法は、第二次世界大戦後に来日したデミング博士によって紹介された方法である。
② この手法は、得られた図に基づいてプロセスを進め、予想外の結果が生じた場合に図を修正することで計画的な検討を行う手法である。
③ この手法では、作業をノードと方向性を持った矢印で形成されるネットワークで表す。
④ PDCAは、process, do, check, actの頭文字をとったものである。
⑤ この手法は、事前に考えられるさまざまな結果を予測し、望ましい結果に至るプロセスを定める方法である。
解答
正解は 1 になります。
問題概要
この問題は、品質管理や業務改善で広く使われる「PDCAサイクル」に関する知識を問うものです。
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Act(改善)の4つのステップを繰り返すことで、業務やプロセスを継続的に改善していく手法です。
各選択肢の解説
① デミング博士とPDCAサイクル
記述内容:
「この手法は、第二次世界大戦後に来日したデミング博士によって紹介された方法である。」
解説:
PDCAサイクルは、アメリカの統計学者エドワーズ・デミング博士が日本に紹介した手法として知られています。
デミング博士は、第二次世界大戦後の日本で品質管理の重要性を説き、日本企業の品質向上に大きく貢献しました。
この手法は、日本の製造業が世界的な競争力を持つきっかけとなった「品質管理活動」の基盤となっています。
PDCAサイクルの基本的な流れは以下の通りです:
- Plan(計画): 改善すべき目標とその達成方法を計画する。
- Do(実行): 計画を実行する。
- Check(確認): 実行結果を検証し、問題点や改善点を把握する。
- Act(改善): 問題点を修正し、次回以降に反映する。
この記述は、PDCAサイクルの歴史的背景とその重要性を正確に説明しています。
評価:
この記述は正しいです。
② 図に基づくプロセス進行
記述内容:
「この手法は、得られた図に基づいてプロセスを進め、予想外の結果が生じた場合に図を修正することで計画的な検討を行う手法である。」
解説:
この記述では「得られた図」という表現が使われていますが、PDCAサイクル自体は特定の図表や形式に依存するものではありません。
PDCAはプロセス改善のフレームワークであり、図表作成やその修正を中心とした手法ではありません。
この記述はPDCAサイクルの本質から外れており、不適切です。
評価:
この記述は不適切です。
③ ノードと矢印によるネットワーク
記述内容:
「この手法では、作業をノードと方向性を持った矢印で形成されるネットワークで表す。」
解説:
ノードと矢印で作業や工程を表現する手法は、PERT図やクリティカルパス法(CPM)などプロジェクト管理で使用されるツールです。
これらはプロジェクト全体のスケジュールや工程間の依存関係を視覚化するために用いられますが、PDCAサイクルとは直接関係がありません。
PDCAサイクルはネットワーク図ではなく、改善活動のフレームワークです。
評価:
この記述も不適切です。
④ PDCAの頭文字について
記述内容:
「PDCAは、process, do, check, actの頭文字をとったものである。」
解説:
PDCAサイクルの正式な意味は、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(確認)」、「Act(改善)」です。
「process」という言葉が含まれている点で誤りがあります。
この記述はPDCAサイクルの基本的な定義から外れており、不適切です。
評価:
この記述も不適切です。
⑤ 望ましい結果へのプロセス設計
記述内容:
「この手法は、事前に考えられるさまざまな結果を予測し、望ましい結果に至るプロセスを定める方法である。」
解説:
PDCAサイクルでは、「Plan」の段階で目標設定や達成方法について計画します。
この際には考えられる結果やリスクを予測することが含まれます。
しかし、この記述には以下の問題があります:
- 「事前に考えられるさまざまな結果」や「望ましい結果へのプロセス設計」という表現が曖昧であり、具体性に欠けています。
- PDCAサイクル全体ではなく、「Plan」フェーズだけに偏った説明となっています。
- 「Do」、「Check」、「Act」といった他の段階について触れておらず、PDCA全体としての説明になっていません。
そのため、この記述も不適切と言えます。
まとめ
問題要点
- 正しい選択肢①
- PDCAサイクルが第二次世界大戦後、日本にデミング博士によって紹介されたことは歴史的事実であり、この説明が最も適切。
- 不適切な選択肢②~⑤
- ②:「得られた図」に依存する説明はPDCA本来のフレームワークから外れている。
- ③:ネットワーク図(PERTやCPM)はPDCAとは無関係。
- ④:「process」という誤った言葉が含まれている。
- ⑤:「Plan」フェーズだけに偏った説明であり、「Do」「Check」「Act」の重要性が欠落している。
感想
あっ!
サムネイル用画像にヒントが書いてあった(笑)
まあ、PlanとProcessで間違う人は少ないと思いますが・・・。
PDCA単体で問題が出るのは初めてですね。
社会人になって真っ先に習った記憶がありますが、それはワタクシが製造業だったから?
他の皆さんはどうなのでしょうね。
少し気になります。