問題
III-24 ある変量が下図の標準正規分布に従うとき、無作為に抽出された変量を考える。
下図の塗りつぶされた部分の面積をAとした次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 変量が0とZの間の値をとる確率はAである。
② 変量が-ZとZの間の値をとる確率は2Aである。
③ 変量がZより小さい値をとる確率は0.5+Aである。
④ 変量がZより大きい値をとる確率は0.5-Aである。
⑤ 変量が-Zより小さい値をとる確率は1-Aである。

解答
正解は 5 になります。
標準正規分布と確率の基本解説
標準正規分布は、統計学や経営工学で頻繁に用いられる基本的な概念です。この分布は、平均が0、標準偏差が1の正規分布を指します。グラフは左右対称の釣鐘型(ベルカーブ)をしており、データがどの範囲にどれだけ含まれるかを確率として表現します。
今回の問題では、この標準正規分布に従う変量(ランダムに選ばれる値)が与えられ、図中で塗りつぶされた部分(0からZまでの範囲)の面積を「A」としています。この面積は、変量が0からZの間に存在する確率を意味します。問題は、この「A」を基にした各選択肢の記述が適切かどうかを判断するものです。
標準正規分布の基本特性
- 左右対称性
グラフは平均値(0)を中心に左右対称です。 - 全体の面積は1
グラフ全体(無限大から無限大まで)の面積は1であり、これは「すべての確率の合計が1」という意味です。 - 累積確率
ある点までの面積は、その点以下の値を取る確率を示します。
選択肢ごとの詳細解説
選択肢1:変量が0とZの間の値をとる確率はAである
- この記述は正しいです。
- 問題文で「塗りつぶされた部分の面積をAとする」と明記されています。この塗りつぶされた部分は、変量が0からZまでの範囲に存在する確率そのものです。
選択肢2:変量が−ZとZの間の値をとる確率は2Aである
- この記述も正しいです。
- 標準正規分布は左右対称なので、0からZまでの確率(A)は、−Zから0までの確率とも等しいです。そのため、−ZからZまでの範囲全体では「A + A = 2A」となります。
選択肢3:変量がZより小さい値をとる確率は0.5 + Aである
- この記述も正しいです。
- 標準正規分布では、平均(0)の左側と右側それぞれの面積が0.5ずつあります。したがって、Zより小さい値を取る確率は「左半分(0.5)+ 右側で0からZまでの範囲(A)」となり、0.5 + A となります。
選択肢4:変量がZより大きい値をとる確率は0.5 − Aである
- この記述も正しいです。
- Zより大きい値を取る確率は、「右半分全体(0.5)− 0からZまでの範囲(A)」となります。そのため、0.5 − A となります。
選択肢5:変量が−Zより小さい値をとる確率は1 − Aである
- この記述は誤りです(不適切)。
- −Zより小さい値を取る確率は、「全体(1)− −Zから無限大までの範囲」となります。−Zから無限大までには「左半分全体(0.5)+ −Zから0まで(A)」が含まれるため、−Zより小さい範囲は「1 − (0.5 + A) = 0.5 − A」となります。したがって、「1 − A」という記述は誤りです。
正解:選択肢5
まとめ
このような統計的手法は、経営工学において以下のような場面で活用されます:
- 品質管理
製品やサービスが基準内に収まる割合を分析する際に使用されます。 - リスク管理
不確実性やリスク要因が一定範囲内に収まる可能性を評価します。 - 需要予測
顧客需要や市場動向を予測する際にデータ分布モデルとして利用されます。
標準正規分布や累積確率について理解することは、技術士試験でも重要な知識となります。
感想
正規分布、よくみますよねえ。
過去問でもぼちぼち。
今回は標準正規分布、ということで少し毛色は違ってましたがまあ、分布ものは苦手なのです(笑)
しかし今日はまぐれで正解。よかった!
あ、今日からサムネイル画像を美女が登場しております。
その方がSNSとかの受けがいいような気もして・・・・。
もちろん、美女だけでなく今まで通りのAI画像も多く登場します。
お楽しみに!