平成26年度 経営工学部門 Ⅲ-31PR含む
問題
III-31 VEの基本的な手順の1つである機能定義に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 機能定義とは、対象とするモノやコトなどの構成要素の働きを明らかにして、他のモノやコトとの違いを明確にすることである。
② 例えば「顧客満足度の高い高級な質感を与える塗装で外装を表面処理する」と要求品質を明確に表現するような形容詞や副詞などの名詞や動詞を修飾する語句は省略しないルールが使われる。
③ 例えば「騒音を出さない」という否定文で機能定義しないというルール、すなわちこの例では「音を防ぐ」という肯定文で表現するルールが使われる。
④ 抽出された機能の関連性を明確にし、体系的に整理する方法として、機能系統図法が用いられる。
⑤ 対象品を構成する部品や要素に分解して、すべての構成要素の機能が抽出されれば、それらの機能を目的(上位機能との関係)と手段(下位機能との関係)とに関連付けて整理することになる。

解答
正解は 2 になります。
VEの基本的な手順「機能定義」に関する問題の解説
この問題は、VE(バリューエンジニアリング)における「機能定義」の正しい理解を問うものです。VEは、製品やサービスの価値を高めるために、必要な機能を最小のコストで達成する手法であり、その第一歩が「機能定義」です。
VE(バリューエンジニアリング)とは?
VEは、製品やサービスが持つ「価値」を次の式で表します:
$$
\text{価値} = \frac{\text{機能}}{\text{コスト}}
$$
- 機能:製品やサービスが果たすべき働き。
- コスト:その機能を実現するために必要な費用。
VEの目的は、この価値を最大化することです。そのためには、以下の3つの基本ステップが重要です:
- 機能定義(分解):対象物の働きを明確化し、必要な機能を整理する。
- 機能評価(分析):各機能にかかるコストを分析し、改善すべき対象を選定する。
- 代替案作成(創造):改善案を考え出し、実行可能な方法を選択する。
問題文の条件と選択肢
設問では、「VEの基本手順である機能定義」に関して最も不適切な記述を選ぶものです。以下に各選択肢について詳細に解説します。
選択肢①
機能定義とは、対象とするモノやコトなどの構成要素の働きを明らかにして、他のモノやコトとの違いを明確にすることである。
- 解説:これは正しい記述です。機能定義では、対象物が「何をするものか」を名詞と動詞で簡潔に表現します(例:「光を出す」「音を防ぐ」)。これにより他の製品やサービスとの差別化が図られます。
選択肢②
例えば「顧客満足度の高い高級な質感を与える塗装で外装を表面処理する」と要求品質を明確に表現するような形容詞や副詞などの名詞や動詞を修飾する語句は省略しないルールが使われる。
- 解説:これが不適切な記述であり、正解です。VEでは、「形容詞」や「副詞」を使用せず、「名詞+動詞」の形式で簡潔に表現します。例えば、「高級な質感」ではなく、「表面処理を行う」といった具体的で測定可能な表現が求められます。
選択肢③
例えば「騒音を出さない」という否定文で機能定義しないというルール、すなわちこの例では「音を防ぐ」という肯定文で表現するルールが使われる。
- 解説:これは正しい記述です。否定文は曖昧さや誤解を生む可能性があるため、肯定文で表現します(例:「騒音を出さない」→「音を防ぐ」)。
選択肢④
抽出された機能の関連性を明確にし、体系的に整理する方法として、機能系統図法が用いられる。
- 解説:これも正しい記述です。「機能系統図」は抽出した機能同士の目的と手段の関係性を整理する際に用いられる代表的なツールです。
選択肢⑤
対象品を構成する部品や要素に分解して、すべての構成要素の機能が抽出されれば、それらの機能を目的(上位機能との関係)と手段(下位機能との関係)とに関連付けて整理することになる。
- 解説:これも正しい記述です。VEでは部品ごとに分解し、それぞれの役割(目的・手段)を整理します。このプロセスは「目的-手段分析」と呼ばれます。
まとめ:問題の要点
問題全体から学べること
- VEでは、「価値」を最大化するためにまず「機能」を明確化します。
- 機能定義では、「名詞+動詞」で簡潔かつ具体的な表現が求められます。
- 曖昧さや主観性が入り込む形容詞・副詞や否定文は使用しません。
正解
選択肢②:「形容詞や副詞など修飾語句は省略しない」という記述は不適切です。VEでは修飾語句は排除し、簡潔かつ測定可能な言葉で表現します。
感想
今日も正解でした。
過去問にもありましたもんね。
VEは今のところ皆勤賞レベルで毎年出ていますね。
それだけ大事ってことか。