問題
III-32 設備運転期間に対する故障発生率を示す下図に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 期間Iでは、設備設計・生産時の不具合に起因する故障が高い確率で発生する。
② 期間IIは、偶発故障期間と呼ばれている。
③ 期間IIでは、設備の運転期間中、故障強度がほぼ一定である期間といえる。
④ 設備の運転期間に発生する故障を未然に防止するために、規定の期限又は基準に従って遂行し、設備の機能劣化や故障確率を低減するために行う保全を予防保全という。
⑤ 期間IIIにおいて設備の異音・振動などの故障の前兆特性を継続的に把握し異常状態を把握したら設備を良好な状態に保つ活動は、改良保全である。

解答
正解は 5 になります。
設備運転期間に対する故障発生率の問題解説
この問題は、設備や機械の寿命における故障発生率の変化を示した「バスタブ曲線」について理解を問うものです。バスタブ曲線は、設備や製品の運転期間中の故障発生率を視覚的に表したもので、以下の3つの期間に分けられます。
- 初期故障期間(期間 I)
- 偶発故障期間(期間 II)
- 摩耗故障期間(期間 III)
以下では、バスタブ曲線の概要を説明しながら、各選択肢について詳細に解説します。
バスタブ曲線とは?
バスタブ曲線は、設備や製品の運転期間中の故障発生率を示すグラフで、その形状が浴槽(バスタブ)の断面図に似ていることから名付けられています。この曲線は以下の3つの期間に分けられます。
1. 初期故障期間(期間 I)
- 特徴:運転開始直後に発生する不具合や欠陥による故障が多い。
- 原因:設計ミス、製造不良、据付時の不備など。
- 対策:試運転や初期点検を通じて不具合を検出・修正する。
2. 偶発故障期間(期間 II)
- 特徴:設備が安定して稼働し、故障発生率が一定となる時期。
- 原因:外部環境や使用条件による偶然的な故障。
- 対策:定期点検や適切な保守活動を行い、安定稼働を維持する。
3. 摩耗故障期間(期間 III)
- 特徴:設備が老朽化し、部品の劣化や摩耗による故障が増加する。
- 原因:長期使用による消耗や劣化。
- 対策:部品交換や更新計画を実施し、設備寿命を延ばす。
問題文と選択肢解説
設問では、「最も不適切な記述」を選ぶ必要があります。以下に各選択肢について詳細に解説します。
選択肢①
期間Iでは、設備設計・生産時の不具合に起因する故障が高い確率で発生する。
- 解説:これは正しい記述です。初期故障期間(期間 I)は、設計ミスや製造上の欠陥による初期的なトラブルが多く発生する時期であり、この特徴を正確に表現しています。
選択肢②
期間IIは、偶発故障期間と呼ばれている。
- 解説:これも正しい記述です。偶発故障期間(期間 II)は、設備が安定して稼働し、外的要因による偶然的な故障のみが発生するため、この名称で呼ばれます。
選択肢③
期間IIでは、設備の運転期間中、故障強度がほぼ一定である期間といえる。
- 解説:これも正しい記述です。偶発故障期間では時間経過による影響が少なく、故障強度(単位時間あたりの故障率)が一定であることが特徴です。
選択肢④
設備の運転期間に発生する故障を未然に防止するために、規定の期限又は基準に従って遂行し、設備の機能劣化や故障確率を低減するために行う保全を予防保全という。
- 解説:これも正しい記述です。「予防保全」は規定された周期や基準に基づき実施される保全活動であり、その目的は設備の機能劣化や故障確率を低減することです。この説明は適切です。
選択肢⑤
期間IIIにおいて設備の異音・振動などの故障の前兆特性を継続的に把握し異常状態を把握したら設備を良好な状態に保つ活動は、改良保全である。
- 解説:これが不適切な記述であり、正解です。異音・振動などの前兆特性を監視し異常状態を把握した上で行う活動は、「改良保全」ではなく「予知保全」に該当します。「改良保全」は設備そのものを改善して性能向上や寿命延長を図る活動であり、この記述とは異なります。
問題の要点まとめ
- バスタブ曲線には「初期」「偶発」「摩耗」の3つの期間があり、それぞれ異なる特徴と対策があります。
- 保全活動には「予防保全」「事後保全」「予知保全」「改良保全」などがあります。それぞれ目的と内容が異なるため混同しないことが重要です。
- 正解は選択肢⑤:「改良保全」の説明として不適切であり、「予知保全」が正しい表現です。
感想
これは問題をよく読んで行ってたらわかりました。
だいぶ慣れてきたのだろうか・・・。
過去問にもありました。
今日も頑張って参りましょう!