Ⅲ-11 以下に示すa~dの条件で立案する生産計画に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
条件
a. 1日当たりの生産量は一定とする。
b. 期首在庫量は1,000単位あり、計画対象期間の最終期(第4期)の目標期末在庫量は400単位である。
c. 各作業者の生産能力は1日当たり20単位である。
d. 各期の移動日数及び需要量は下表のとおりである。
表:各期の移動日数および需要量
期 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
期間の移動日数(日) | 20 | 18 | 22 | 20 |
需要量(単位) | 5,000 | 3,750 | 4,250 | 4,000 |
選択肢
① 必要作業者は11名である。
② 第1期の期末在庫量は100単位である。
③ 第2期の生産量は需要量よりも少ない。
④ 第3期の生産量は需要量よりも多い。
⑤ 目標末在庫量を1,600単位に変更すると、必要作業者は1名増加する。

解答
正解は 5 になります。
問題の解説
この問題は、生産計画における条件を基に、最も不適切な記述を選ぶものです。
生産計画では、需要量、生産能力、在庫量、作業者数などを考慮し、効率的な計画を立案することが求められます。
以下では、条件を整理しながら各選択肢について詳細に解説します。
条件の整理
問題文の条件
- 1日当たりの生産量は一定。
- 初期在庫量:1,000単位
- 最終期終了時点での目標在庫量:400単位
- 各作業者の生産能力:1日当たり20単位
- 各期の稼働日数と需要量は以下の通り:
期 | 稼働日数(日) | 需要量(単位) |
---|---|---|
1 | 20 | 5,000 |
2 | 18 | 3,750 |
3 | 22 | 4,250 |
4 | 20 | 4,000 |
全体計画に基づく必要作業者数の計算
全期間で必要な総生産量
最終目標在庫が400単位である場合、全期間で必要な総生産量は次式で求められます:
$$
\text{総生産量} = \text{需要量合計} + \text{目標在庫量} – \text{初期在庫量}
$$
$$
\text{総生産量} = (5,000 + 3,750 + 4,250 + 4,000) + 400 – 1,000 = 16,400 \, (\text{単位})
$$
全期間で必要な作業者数
全期間の稼働日数合計は次の通りです:
$$
\text{稼働日数合計} = 20 + 18 + 22 + 20 = 80 \, (\text{日})
$$
したがって、1日あたり必要な生産量は:
$$
\text{1日あたり必要生産量} = \frac{\text{総生産量}}{\text{稼働日数合計}}
$$
$$
\text{1日あたり必要生産量} = \frac{16,400}{80} = 205 \, (\text{単位/日})
$$
各作業者が1日に20単位を生産できるため、全期間で必要な作業者数は:
$$
\text{必要作業者数} = \frac{\text{1日あたり必要生産量}}{\text{1人当たりの日次生産能力}}
$$
$$
\text{必要作業者数} = \frac{205}{20} = 10.25
$$
端数を切り上げるため、11名が適切な人数となります。
各選択肢について詳細解説
選択肢① 必要作業者は11名である。
解説:
前述した通り、全期間を通じて必要な作業者数は11名であり、この記述は正しいです。
選択肢② 第1期の期末在庫量は100単位である。
解説:
第1期終了時点での在庫量を計算します。初期在庫は1,000単位、生産者が11名の場合、第1期総生産量は次のようになります:
$$
\text{第1期総生産量} = \text{稼働日数} \times \text{1日の生産能力} \times \text{作業者数}
$$
$$
\text{第1期総生産量} = 20 \times 20 \times 11 = 4,400 \, (\text{単位})
$$
第1期終了時点での在庫は次式で求められます:
$$
\text{在庫量}_{1} = \text{初期在庫} + \text{総生産量} – \text{需要量}
$$
これに値を代入すると:
$$
\text{在庫量}_{1} = 1,000 + 4,400 – 5,000 = 400 \, (\text{単位})
$$
よって、第1期終了時点で100単位にはならず、この記述は不適切です。
選択肢③ 第2期の生産量は需要よりも少ない。
解説:
第2期では18日間稼働し、生産能力が20単位/人/日です。11名が作業すると:
$$
\text{第2期総生産量} = 18 \times 20 \times 11 = 3,960 \, (\text{単位})
$$
一方、第2期の需要量は3,750単位です。明らかに、生産量(3,960)は需要よりも多いので、この記述は誤りです。
選択肢④ 第3期の生産量は需要よりも多い。
解説:
第3期では22日間稼働し、11名が作業すると:
$$
\text{第3期総生産量} = 22 \times 20 \times 11 = 4,840 \, (\text{単位})
$$
第3期の需要量は4,250単位なので、生産量(4,840)は需要よりも多い。この記述は正しいです。
選択肢⑤ 最終目標在庫を1,600単位に変更すると、必要作業者は1名増加する。
解説:
目標在庫が増える場合、追加的な生産が必要になります。その結果として必要な作業者数も増加します。以下に具体的な計算を行います。
(a) 新しい総生産量を計算:
新しい目標在庫が1,600単位の場合、
$$
\text{新しい総生産量} = (5,000 + 3,750 + 4,250 + 4,000) + (1,600 – 400)
$$
$$
\text{新しい総生産量} = 16,400 + 1,200 = 17,600 (\mathrm{\ 単位})
$$
(b) 新しい平均的な日次生産:
全稼働日数(80日)に基づき、新しい平均的な1日あたり必要な生産能力を求めます:
$$
\mathrm{\ 新しい平均日次生産 }= \frac{\mathrm{\ 新しい総生産}}{\mathrm{\ 総稼働日数}}
$$
$$
\mathrm{\ 新しい平均日次生産 }= \frac{17,600}{80}=220 (\mathrm{\ 単位/日})
$$
(c) 必要作業者数:
新しい必要作業者数を求めます:
$$
\mathrm{\ 必要作業者数 }= \frac{\mathrm{\ 新しい平均日次生産 }}{\mathrm{\ 作業者の日次能力}}
$$
$$
\mathrm{\ 必要作業者数 }= \frac{220}{20}=11 (\mathrm{\ 名})
$$
追加的な作業者は不要であり、「必要作業者が1名増加する」という記述は誤りです。この選択肢は不適切です。
結論
最も不適切な記述は「選択肢⑤ 最終目標在庫を1,600単位に変更すると、必要作業者は1名増加する。」です。この記述には根拠がなく誤りと判断されます。
感想
苦戦しました。
過去問のコレ↓と同様です。
今回何に苦戦したかというと、ブログの書式。
何度やっても計算式が反映されず。
だいぶ時間を使いました。
あと、この回答。
⑤もですが、②も③もダメじゃん!
何か解き方を間違ったのだろうか??
必要作業者が期によって変動しない限り、考え方は合ってるはずなんだけどな・・・・・・。