問題
Ⅲ-17 下表のデータについて、解析用のシューハート管理図によって統計的管理状態にあるかどうかを判定したい。標準値が与えられていない場合の $$ \bar{X} $$-$$ R $$ 管理図を用いて、個々の打点を管理限界線と比較しただけで判定したとき、判定結果に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、下表のデータは、$$ n = 5 $$ のサンプルから得られた各群の平均値 $$ \bar{X} $$ と範囲 $$ R $$ であり、管理図の管理限界線に関する係数は次のとおりとする。
$$ n $$ | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|
$$ A_2 $$ | 0.729 | 0.577 | 0.483 |
$$ D_3 $$ | 0.000 | 0.000 | 0.000 |
$$ D_4 $$ | 2.282 | 2.114 | 2.004 |
データ表
群No. | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 平均値 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
$$\bar{X}$$ | 38.2 | 33.4 | 25.0 | 40.0 | 27.4 | 22.6 | 28.4 | 27.4 | 17.8 | 29.8 | $$\bar{X}=29.0$$ |
$$R$$ | 15 | 3 | 24 | 10 | 18 | 23 | 7 | 20 | 12 | 18 | $$\bar{R}=15.0$$ |

選択肢
① $$ \bar{X} $$ 管理図及び $$ R $$ 管理図のいずれもすべての打点が管理限界線の内にあり、当該データは統計的管理状態にある。
② $$ R $$ 管理図で異常は見られないが、$$ \bar{X} $$ 管理図から、群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。
③ $$ R $$ 管理図で異常は見られないが、$$ \bar{X} $$ 管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、下方管理限界線の外にある打点はないが、当該データは統計的管理状態にない。
④ $$ R $$ 管理図で異常は見られないが、$$ \bar{X} $$ 管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、群No.9の打点だけが下方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。
⑤ $$ R $$ 管理図で群No.3の打点だけが上方管理限界線の外にあり、また、$$ \bar{X} $$ 管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、群No.9の打点だけが下方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。

解答
正解は 4 になります。
シューハート管理図($$ \bar{X} $$-$$ R $$管理図)の概要
シューハート管理図は、製造やサービスなどの工程が「統計的管理状態」にあるかどうかを判断するための代表的な品質管理ツールです。
$$ \bar{X} $$-$$ R $$管理図は、各サンプル群(例えば5個ずつ)ごとに「平均値($$ \bar{X} $$)」と「範囲($$ R $$)」をプロットし、それぞれに管理限界線(UCL、LCL、CL)を設定します。
管理限界線を超える打点があれば「異常」と判断され、工程に何らかの問題が発生している可能性があります。
管理限界線の計算方法
標準値が与えられていない場合、次の式を用います(n=5の場合):
- $$ \bar{X} $$管理図
- 中心線(CL):$${\bar{X}}$$
- 上方管理限界線(UCL):$${\bar{X}} + A_2 \bar{R}$$
- 下方管理限界線(LCL):$${\bar{X}} – A_2 \bar{R}$$
- $$ R $$管理図
- 中心線(CL):$$\bar{R}$$
- 上方管理限界線(UCL):$$D_4 \bar{R}$$
- 下方管理限界線(LCL):$$D_3 \bar{R}$$
係数(n=5の場合):
- $$A_2 = 0.577$$
- $$D_3 = 0.000$$
- $$D_4 = 2.114$$
管理限界線の計算
$$ \bar{X} $$管理図
- 中心線(CL):29.0
- UCL:29.0 + 0.577 × 15.0 = 29.0 + 8.655 = 37.655
- LCL:29.0 – 0.577 × 15.0 = 29.0 – 8.655 = 20.345
$$ R $$管理図
- 中心線(CL):15.0
- UCL:2.114 × 15.0 = 31.71
- LCL:0.000 × 15.0 = 0.00
各群の打点と管理限界線の比較
$$ \bar{X} $$管理図
- UCL(37.655)を超える:群1(38.2)、群4(40.0)
- LCL(20.345)未満:群9(17.8)
$$ R $$管理図
- UCL(31.71)を超える:該当なし(最大24)
- LCL(0.00)未満:該当なし
各選択肢の詳細解説
① X̄管理図およびR管理図のいずれもすべての打点が管理限界線の内にあり、当該データは統計的管理状態にある。
→ 群1、群4、群9がX̄管理図で管理限界線の外にあるため誤り。
② R管理図で異常は見られないが、X̄管理図から、群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。
→ 群1も上方管理限界線の外、群9は下方管理限界線の外なので誤り。
③ R管理図で異常は見られないが、X̄管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、下方管理限界線の外にある打点はないが、当該データは統計的管理状態にない。
→ 群9が下方管理限界線の外なので誤り。
④ R管理図で異常は見られないが、X̄管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、群No.9の打点だけが下方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。
→ これが正解。
⑤ R管理図で群No.3の打点だけが上方管理限界線の外にあり、また、X̄管理図から、群No.1と群No.4の打点だけが上方管理限界線の外にあり、群No.9の打点だけが下方管理限界線の外にあり、当該データは統計的管理状態にない。
→ R管理図で群3のR値は24でUCL31.71未満なので誤り。
まとめ:問題の要点
- $$ \bar{X} $$-$$ R $$管理図では、各打点が管理限界線内にあるかどうかで工程の安定性を判断する。
- 本問のデータでは、$$ \bar{X} $$管理図で群1・群4が上方、群9が下方管理限界線の外にあり、$$ R $$管理図では異常なし。
- 統計的管理状態にないと判定するのが正しい。
感想
シューハート管理図、いつも鬼門です。
UCL、LCLの式を覚えていないのが原因です。
問題の難しさもさることながら、とにかく問題の表とか解説文の数式でハマってしまうのですよ。
残念ながら、本日は不正解でした。





過去問で復習しないとこりゃ間に合わないな!!
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