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平成29年度 経営工学部門 Ⅲ-27

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問題

Ⅲ-27 損益分岐点を表す次の計算式に関する組合せのうち、最も適切なものはどれか。

損益分岐点 = $$\frac{a}{b-c}$$

 abc
固定費製品単位当たり変動費売価
製品単位当たり変動費固定費売価
固定費売価製品単位当たり変動費
労務費固定費製品単位当たり変動費
売価固定費労務費

解答

正解は 3 になります。

損益分岐点とは

損益分岐点(Break Even Point, BEP)は、企業の売上高が費用固定費+変動費)とちょうど等しくなり、利益も損失も出ない「収支ゼロ」の状態を指します。
事業活動においては、この損益分岐点を超える売上を確保することで初めて利益が発生します。
損益分岐点分析は、経営判断やコスト管理、価格設定などに欠かせない基本的な手法です。


損益分岐点の計算式

損益分岐点を求める代表的な式は以下の通りです。
$$損益分岐点 = \frac{固定費}{1 – \frac{変動費}{売上高}}$$

または、製品1単位あたりで考える場合は
$$損益分岐点(販売数量) = \frac{固定費}{販売単価 – 変動費単価}$$

この式において、

  • 固定費:販売数量に関係なく一定に発生する費用(例:家賃、人件費、減価償却費など)
  • 変動費:販売数量に比例して増減する費用(例:材料費、外注費など)
  • 販売単価(売価):1単位あたりの販売価格

選択肢ごとの詳細解説

① a: 固定費 b: 製品単位当たり変動費 c: 売価

  • この場合、分母は「製品単位当たり変動費 − 売価」となります。
  • 本来、分母は「売価 − 製品単位当たり変動費」となり、限界利益(1単位あたりの利益)を表します。
  • この選択肢だと分母がマイナスになるため、適切ではありません。

② a: 製品単位当たり変動費 b: 固定費 c: 売価

  • 分子が「製品単位当たり変動費」となっていますが、本来は「固定費」が入るべきです。
  • また、分母も「固定費 − 売価」となり、意味が異なります。
  • 損益分岐点の定義に合致しません。

③ a: 固定費 b: 売価 c: 製品単位当たり変動費

  • 分子が「固定費」、分母が「売価 − 製品単位当たり変動費」となり、まさに損益分岐点(販売数量)の標準的な式です。
  • これは「固定費 ÷ 限界利益(1単位あたり)」の形で、正しい組み合わせです。

④ a: 労務費 b: 固定費 c: 製品単位当たり変動費

  • 分子が「労務費」となっていますが、労務費は固定費または変動費の一部であり、損益分岐点の分子に直接使うことはありません。
  • 分母も「固定費 − 製品単位当たり変動費」となり、意味が異なります。

⑤ a: 売価 b: 固定費 c: 労務費

  • 分子が「売価」となっており、これは分母に入るべきものです。
  • 分母も「固定費 − 労務費」となっており、損益分岐点の計算式とは異なります。

図解:損益分岐点のイメージ

● の交点が「損益分岐点」です。


まとめ:問題の要点

  • 損益分岐点は「固定費 ÷(売価 − 製品単位当たり変動費)」で求める。
  • 正しい組み合わせは a: 固定費、b: 売価、c: 製品単位当たり変動費 である。
  • 他の選択肢は、分子や分母の要素が誤っており、損益分岐点の定義に合致しない。

感想

損益分岐点くらい知ってるもんね!

でも間違ってました・・・・。

どうやら間違って覚えていた模様。これを機会にしっかりとした知識をインストール。

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語句としては多く出てくるけれど、今回のようなスタイルでの問いは初めてですね。

今後も出るんじゃないのかな??

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