問題
Ⅲ-2 作業の標準化と作業管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 作業とは、対象物の物的、情報的な特性の人為的な変化,観察,評価,処理などであり,具体的には、作業内容を工程としてとらえると、加工、運搬、検査などに区分される。
② 作業の標準化とは、作業研究で最良の作業方法を標準作業とするとともに,平均的な熟練度の作業者が標準作業を行うときの作業時間を標準時間とすることである。
③ 標準作業と標準時間は、これを適用する職場の計画と管理の基準であるから、その作業が実施される長期にわたり改変することがない,普通的なものとして設定しなければならない。
④ 標準作業と標準時間は、標準を守るための作業条件や機械設備などを定め、作業標準書として明文化する。
⑤ 標準作業の実施とは、標準作業を行うための作業条件を整備し、その作業を担当するすべての作業者に標準作業を標準時間で行うよう教育・訓練した後,作業者に標準作業で仕事を行わせることである。

解答
正解は 3 になります。
問題の概要と背景
本問題は、「作業の標準化と作業管理」という経営工学の核心的なテーマに関するものです。
作業の標準化は、業務プロセスの効率化や品質向上、生産性向上のために不可欠な管理技術です。
この問題を通じて、作業の定義、標準化とその運用方法、標準作業・標準時間の意味について体系的に理解することが重要となります。
各選択肢の詳細解説
① 作業の定義
解説:
作業とは、対象物(物品や情報)に対して人が行う変化・観察・評価・処理などを指します。
実際の現場では、この作業を工程(プロセス)として細分化し、「加工(例:部品を削る)」「運搬(例:部品を移動する)」「検査(例:品質をチェックする)」などに分類します。
これらの区分によって仕事内容が明確になり、各工程ごとに最適な作業方法や管理方法を設定できるのです。
② 作業の標準化とは何か
解説:
作業の標準化は「作業研究」という管理技術と直結しています。
現場で最も効率的・安全で無駄のない手順(標準作業)を明らかにし、それを基準として採用します。
さらに、「標準時間」とは、平均的な熟練度を持つ作業者が標準作業を実施した場合に必要とされる時間です。
この標準時間は作業計画や人員配置の基礎データとしても活用されます。
③ 標準作業と標準時間の運用(不適切な記述)
解説:
この記述は不適切です。
理由は、標準作業や標準時間は一度決めたら永久に変えないものではないからです。
現場の状況や設備、作業者のスキル向上、新しい技術導入などによって、標準作業や標準時間は定期的に見直す必要があります。
標準を「長期にわたって改変しない普通的なもの」として固定してしまうと、現場の進化や改善が止まってしまう危険性があります。
④ 標準作業と標準時間の文書化
解説:
標準作業や標準時間を現場で浸透させるためには、「作業標準書」として明文化し、誰が見てもわかるようにします。
そこには守るべき作業条件や使うべき設備・道具なども明記し、標準を維持・徹底する工夫がなされます。
この標準書は教育訓練や品質管理、工程改善の土台資料になります。
⑤ 標準作業の実施プロセス
解説:
標準作業の実施とは、まず必要な「作業条件(設備、環境など)」を整備し、作業者全員が標準作業を「標準時間」で行えるように教育・訓練を徹底し、その後、標準どおりに実行させることを指します。
この一連の流れにより、現場全体で均質な品質と効率的な作業進捗が実現します。
表:選択肢の要点整理
選択肢 | 内容要約 | 適否 | ポイント |
---|---|---|---|
① | 作業の定義と工程への区分 | 適切 | 作業の種類を分類し管理の前提にする |
② | 標準化とは何か、標準作業・標準時間の定義 | 適切 | 標準作業・標準時間が指標であると明示 |
③ | 標準は長期に改変しないものとする | 不適切 | 標準は状況変化や改善で見直しが必要 |
④ | 標準作業・標準時間の文書化 | 適切 | 標準は明文化=作業標準書 |
⑤ | 標準作業実施のための条件整備・教育 | 適切 | 標準化→教育→実践の手順を示す |
標準作業・標準時間の関係図(イメージ)
作業研究
↓
標準作業の設定
↓
標準作業を行う平均的な作業者
↓
標準時間の設定
↓
→ 作業標準書として明文化 → 教育・訓練 → 実践
まとめ(要点)
- 作業の標準化は現場の生産性や品質向上に不可欠であり、最良の作業とその所要時間(標準作業・標準時間)を明確にすることが重要です。
- 標準作業・標準時間は、現場の改善や技術革新に合わせて定期的に見直すべきものであり、「長期にわたり改変しない」ものではありません。
- 標準作業・標準時間は「作業標準書」として明文化し、従業員の教育・訓練に活用されます。
- 作業標準化プロセスの徹底により、効率化、品質向上、安全確保など、経営工学の目的を達成できることを理解しましょう。
感想
今日は正解でした。
わかりやすいもんな。一度決めたら守り通す!事はそうそうないかと。
柔軟性はビジネスにおいて大事ですもんね。



過去問もここに全部載せきれないくらいたくさん出ています。
だいぶ頭に入ってきたぞ・・・・。