令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-11

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問題

Ⅲ-11 生産管理の用語に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 正常作業域とは、固定した肩を中心に、手を最大限に伸ばしたときの手の届く作業範囲である。

② 作業余裕とは、作業をするうえで、不規則、偶発的に発生する作業要素であるため正規の時間に入ることができない作業と、その作業特有の避けることができない作業の中断に対して与えられる余裕である。

③ 正常作業ペースとは、平均的な作業者が十分な監督の下で普通に努力して作業するときの作業ペースである。

④ 工数とは、仕事量の全体を表す尺度で、仕事を一人の作業者で遂行するのに要する時間である。

⑤ 仕掛品とは、原材料が払い出されてから、完成品として入庫又は出荷の手続が済むまでのすべての段階にある品物である。

解答

正解は 1 になります。

問題の概要

この問題は「生産管理の用語」に関する理解を確認するものです。
生産現場で使われる基本的な用語の正しい意味を把握しているかどうかが問われています。
こうした用語の理解は、生産現場での適切な作業設計や効率向上に直結するため、非常に重要な基礎知識です。


各選択肢の詳細解説

① 正常作業域

選択肢:
正常作業域とは、固定した肩を中心に、手を最大限に伸ばしたときの手の届く作業範囲である。

解説:
正常作業域」とは、作業者が無理なく安全かつ効率的に作業できる範囲を指します。一般的には「肘を軽く曲げて自然に手を動かせる範囲」が正常作業域とされます。
この選択肢のように「手を最大限に伸ばしたときの範囲」はむしろ「最大作業域」と呼ばれ、そこまで腕を伸ばすと疲労が蓄積しやすく、作業効率や安全性が低下します。

ポイント図解(例):

範囲説明
正常作業域肩を中心に肘を軽く曲げて動かす範囲
最大作業域手を最大限に伸ばした届く限界の範囲

したがって、「正常作業域」の説明として不適切です。


② 作業余裕

選択肢:
作業余裕とは、作業をするうえで、不規則、偶発的に発生する作業要素であるため正規の時間に入ることができない作業と、その作業特有の避けることができない作業の中断に対して与えられる余裕である。

解説:
「作業余裕」は、生産管理における「標準時間」を設定する際に設けられる付加時間を指します。
作業の中には、予期できないトラブル(例:工具の不調、作業場の一時的な中断)や、生理的な休憩など「避けられない」余分な時間があります。これらを考慮しなければ、現実離れした標準時間になってしまい、現場の負担が増します。
この選択肢は、作業余裕の意味を正しく説明しています。


③ 正常作業ペース

選択肢:
正常作業ペースとは、平均的な作業者が十分な監督の下で普通に努力して作業するときの作業ペースである。

解説:
「正常作業ペース」とは、その作業を行うのに十分な知識や技能を持つ標準的な作業者が、無理なく一定の努力で作業を進められる速度のことです。この速度は過度な努力や特別な遅延が発生しないことが前提です。
選択肢の説明通り、「普通に努力する」「十分な監督のもと」「平均的作業者」という条件は、正常作業ペースの定義に合致します。


④ 工数

選択肢:
工数とは、仕事量の全体を表す尺度で、仕事を一人の作業者で遂行するのに要する時間である。

解説:
「工数」とは主に2つの面で使われます。

  1. 作業全体の量(仕事量)を表す単位
  2. 特定の仕事を一定人数で実施するときの「人×時間」の積

たとえば、3人が2時間かかる作業なら工数は「6人時」となります。1人の作業者にかかる時間という意味も含まれていますが、仕事量そのものを示す指標です。
この選択肢の説明は、工数の一般的な使い方に合致しています。


⑤ 仕掛品

選択肢:
仕掛品とは、原材料が払い出されてから、完成品として入庫又は出荷の手続が済むまでのすべての段階にある品物である。

解説:
「仕掛品」とは、製造工程の途中にある製品のことです。原材料から工程を経て、完成し出荷・入庫されるまで、いずれの中間段階でも「仕掛品」と呼びます。
材料が製造ラインに入れば「仕掛品」、完成・入庫・出荷された時点で「製品」と区分されます。選択肢はこの考え方を正しく表現しています。


まとめ(要点整理)

  • 正常作業域は、無理なく安全に作業できる「自然な腕の範囲」が正しい。
  • 作業余裕は、突発的作業や中断に対応するために設けられる余裕時間のこと。
  • 正常作業ペースは、平均的な作業者が標準的な努力で作業できる基準速度。
  • 工数は、仕事量を示す「人×時間」の尺度。
  • 仕掛品は、原材料が工程に入ってから完成・出荷までの間の品物。

今回の問題のポイント
「正常作業域」の定義を誤って理解していると作業設計の精度が下がり、現場での無駄やミスにつながります。正しい用語の理解は生産管理の基本です。

感想

これは前にも似たようなのが出ました!

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少し表現は違いますが。

理解してちゃんと正解できるのはやっぱりうれしいですね。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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