目次
問題
Ⅲ-18 ある変量が下図の標準正規分布に従うとき、無作為に抽出された変量を考える。
下図の塗りつぶされた部分の面積をAとしたときの次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 変量が0とZの間の値をとる確率は、2Aである。
② 変量が-ZとZの間の値をとる確率は、Aである。
③ 変量がZより小さい値をとる確率は、0.5-Aである。
④ 変量が-Zより大きい値をとる確率は、0.5+Aである。
⑤ 変量が-Zより小さい値をとる確率は、1-Aである。

解答
正解は 4 になります。
標準正規分布の基本と本問のポイント
標準正規分布は、平均0、標準偏差1の正規分布です。
グラフは中央が高く左右対称になっており、確率密度関数で表されます。
ある値の範囲における面積は、その範囲に変量が入る確率を示します。
今回の問題では、標準正規分布に従う変数Xについて、0からZまでの範囲の面積(確率)をAとし、Aを使ったさまざまな確率表現の正誤を判別する出題です。
標準正規分布の範囲と面積(確率)との関係
- 標準正規分布のグラフにおいて「面積」は「確率」に等しい。
- 平均(0)の左右、グラフの中心で分布は完全に対称であり、「0からZまで」と「-Zから0まで」の面積は同じ。
- 「0からZまで」の片側の面積をAとおくと、-ZからZまでの面積は2Aに等しい。
各選択肢の詳細解説
① 変量が0とZの間の値をとる確率は、2Aである。
- 解説: 「0からZまで」の確率はA。2Aは「-ZからZまで」の確率となり、「0からZまで」ではありません。誤り。
- ポイント
- 面積Aは0~Z
- 2Aは- Z~Z
② 変量が- ZとZの間の値をとる確率は、Aである。
- 解説:「-Zから0まで」の面積もAとなるので、「-ZからZまで」はA + A = 2A。しかし、「A」としているため誤り。
- ポイント
- -Z~0もA、0~ZもA
- -Z~Zは2A
③ 変量がZより小さい値をとる確率は、0.5-Aである。
- 解説:Zより小さい=「左側全体」。0未満の左半分が0.5、0からZまでがAなので、合計0.5 + A。0.5-Aではないので誤り。
- ポイント
- 左全体=0.5+A
④ 変量が- Zより大きい値をとる確率は、0.5+Aである。
- 解説:「-Zより大きい」は「-Zから+∞」まで。標準正規分布の左半分(0.5)に、「0~Z」(A)が加わるので、0.5+Aとなり正しい。
- ポイント
- -Zより大きい=0.5+A
⑤ 変量が- Zより小さい値をとる確率は、1-Aである。
- 解説:「-Zより小さい」は、全体(1)から「-Zより大きい」(0.5+A)を引いたものとなるため、1-(0.5+A)=0.5-A。よって誤り。
- ポイント
- -Zより小さい=0.5-A
まとめ
この問題のポイントは標準正規分布の対称性、確率と面積の関係、そして「0~Z」「-Z~Z」の面積の使い分けです。
それぞれの確率を計算する際は、必ず「どこの範囲の面積か(左右対称性)」「Aが表す範囲」を意識しましょう。
感想
標準正規分布という語句が出る問題は多いのですが、今日のような問題は過去に出ていました。
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そうか、ちゃんと解説まで書いたんだけどなあ。
今日も間違いでした。
また解説書いてしっかりと覚えよう。