問題
Ⅲ-21 線形計画法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 線形計画問題は、目的関数式又は制約条件式の中に、1次でない関数を少なくとも1つ含む。
② 線形計画問題の実行可能解は、すべての制約条件を満たしていなければならない。
③ 単体法は、線形計画問題を解く1つの方法である。
④ 線形計画問題の制約条件は、不等式だけでなく等式を含んでもよい。
⑤ 主問題と双対問題のいずれか一方の最適解には、他方の問題の最適解に関する情報が含まれている。

解答
正解は 1 になります。
線形計画法問題の概要
線形計画法(Linear Programming、略してLP)は、限られた資源を最も効果的に配分して目的(例えば利益の最大化やコストの最小化)を達成するために、一定の条件(制約)の下で最適な答えを探す数学的方法です。
現実の生産計画、在庫管理、輸送計画など、幅広い分野で利用されています。
線形計画問題では、目的と制約の両方が「一次関数」(変数が一次、つまり指数がすべて1)で表されるのが特徴です。
各選択肢の詳細解説
① 線形計画問題は、目的関数式又は制約条件式の中に、1次でない関数を少なくとも1つ含む。
解説
ここが最も不適切な記述です。
線形計画問題では、目的関数も制約条件も必ず「一次関数」でなければなりません。
「1次でない関数(例えば $$x^2$$ や $$\sqrt{x}$$など)」が含まれている場合、それは線形計画問題とは呼びません(非線形計画問題と呼びます)。
したがって、一次でない関数を含むというこの記述は完全に誤りです。
② 線形計画問題の実行可能解は、すべての制約条件を満たしていなければならない。
解説
「実行可能解」とは、線形計画問題で与えられたすべての制約条件を同時に満たすような変数の値の組合せを指します。
例えば「在庫は0以上」「材料は最大50個まで」など、複数の条件式の全てを満たす点だけが「実行可能解」です。
制約条件を少しでも破ってしまった場合、その解は「実行可能解」ではありません。
したがって、この選択肢は正しい内容です。
③ 単体法は、線形計画問題を解く1つの方法である。
解説
単体法(Simplex法)は、線形計画問題を効率的に解くために最も多く使われるアルゴリズムです。
実行可能な頂点(コーナー)からスタートして、目的関数の値が改善されるコーナーを順にたどり、最適解に到達します。
単体法以外にも内点法など解法はありますが、単体法は線形計画法の代表的な解法です。
したがって、この選択肢も正しい内容です。
④ 線形計画問題の制約条件は、不等式だけでなく等式を含んでもよい。
解説
線形計画問題の制約条件には「不等式(例えば $$x + y \leq 5$$)」だけではなく「等式(例えば $$x + y = 5$$)」も使用できます。
等式の制約がある場合も、補助変数(スラック変数や余剰変数)を導入することで通常の線形計画問題の形に変形可能です。
そのため、等式を導入した問題も線形計画法の範囲内で解くことができます。
したがって、この選択肢は正しい内容です。
⑤ 主問題と双対問題のいずれか一方の最適解には、他方の問題の最適解に関する情報が含まれている。
解説
線形計画問題には「主問題(プライマル)」と、その問題と密接な関係にある「双対問題(デュアル)」があります。
どちらか一方の最適解を知れば、もう一方の最適解やその値に関する情報も得られる関係(双対性)が成り立ちます。
例えば、主問題の最適解を使って双対問題の最適値を計算することもできます。
したがって、この選択肢も正しい内容です。
まとめ(要点整理)
線形計画法の要点
- 目的関数式・制約条件は一次関数のみで構成される
- 実行可能解は全ての制約条件を満たす必要がある
- 制約条件は不等式だけでなく等式も含むことができる
- 単体法は代表的な解法の一つ
- 主問題と双対問題には強い結びつきがあり、最適解は相互に情報を持つ
この問題では「1次でない関数を含む」という記述は線形計画問題の定義に反するため、不適切な選択肢となります。
感想
今日は正解でした。
なんとなく、ウロ覚え、のギリギリ正解。
ちゃんと理解しておかないとだな。
でもまあ、線形っていうと一次式だよな、普通。

この手の問題は過去問にもよく出てくるのですが、線形計画法自体をしっかり解説したのは初めてです。
どうも令和になって、問題のパターンが変わってきた??