令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-35

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問題

Ⅲ-35 ナドラーが提唱したワークデザインに関する次の語句と説明のうち、最も不適切なものはどれか。

① モーションマインド

② 演繹的なシステム設計法

③ 作業研究のための包括的な方法論

④ 理想システム

⑤ 要素のホッパー構造による表現

解答

正解は 1 になります。

ナドラーのワークデザインとは

ワークデザイン(Work Design)は、組織における仕事の進め方やシステムの構築を全体的・戦略的な観点から設計し直す考え方です。
その中心人物である「ナドラー(Nadler)」は、従来の作業研究にとどまらず、システム全体をどう設計すれば最適な成果を引き出せるかに注目しました。
ワークデザインは単なる作業効率化にとどまらず、組織の目的や戦略、現場の業務プロセス、そして人を含めた多面的な調整・最適化を図る考え方です。


各選択肢の詳細解説

① モーションマインド

モーションマインド(Motion Mind)」は、IE(インダストリアルエンジニアリング:作業研究)分野での「動作経済の原則(モーションスタディ)」や、「ムダ取り」など作業単体の改善活動において用いられる考え方です。
しかし、ナドラーのワークデザインは、単なる現場改善や動作分析ではなく、組織・システム・業務プロセス全体を包括的・体系的に設計し直すことを目的としています。
そのため、「モーションマインド」はワークデザインに直接結びつく考え方ではなく、不適切な語句です。

② 演繹的なシステム設計法

ワークデザインは、「どのようなシステムを作れば、どのような業績・成果が得られるか」をトップダウンで考えていくアプローチを取ります。
演繹的(えんえきてき)」とは、全体のあるべき姿(理想像)や目的から出発し、現場の具体的な構成要素に分解していく方法です。
課題や目標から逆算してシステムや業務設計を落とし込むのが特徴なので、「演繹的なシステム設計法」はワークデザインの代表的な特徴の一つです。

③ 作業研究のための包括的な方法論

従来の作業研究(Industrial Engineering)よりも広い視点で、組織全体や部門横断的な業務改善を実現するための「方法論」としてワークデザインが提唱されました。
部分最適でなく全体最適を目指す——この“包括的な方法論”がナドラーの重要ポイントです。
作業単体だけではなく、組織やシステム全体そのものを見直すアプローチだからこそ経営視点でも重要です。

④ 理想システム

ナドラーのワークデザインでは、「現状」だけでなく、「あるべき姿(理想状態)」を明確に定義し、そこに近づくシステム設計・業務プロセスの構築が強調されます。
つまり、「理想システム」は、ワークデザインのスタート地点であり、ゴールでもあります。
将来を見据えたシステム構築という点が、従来のボトムアップ型改善とは大きく異なります。

⑤ 要素のホッパー構造による表現

ホッパー構造とは、複数の要素や機能を「ホッパー=漏斗(ろうと)」のように整理し、必要な部分を組み合わせてシステムを設計する構造化手法を指します。
この考えも、ワークデザインがシステム全体像から内部構造まで体系的に捉える際に有効なフレームワークの一つです。
ホッパー構造を用いた要素の整理は、ワークデザインの枠組みと合致します。


まとめ:ナドラーのワークデザインと試験対策の要点

ナドラーが提唱したワークデザインは、「全体最適」「理想像の設計」「演繹的アプローチ」を柱とした、従来の部分最適・作業単体改善とは一線を画す方法論です。
試験では、システム全体設計、演繹法、理想システム、ホッパー構造といったキーワードがワークデザインの肝であり、現場レベルの「動作単体の改善」に偏った選択肢(今回はモーションマインド)は外すのがポイントとなります。

感想

エッ?ナドラー?誰??ってなってしまいました。

過去問への登場はなし、初登場ってことですね。

とはいえ、ワークデザインは会社の教育で学んでいたのですがね。

その割には不正解でした。

令和元年の問題、初登場ものが多く時代の移り変わりを感じさせるものでした。

さて、令和元年には(再)としてもう1回あります。

これは年号が変わったのを吸収するためだとかなんとか。

明日からは令和元年(再)で頑張っていきましょう。

ぱっと見、同じような問題ではなかった・・・・。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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